メアリー・ノートン作品のページ


Mary Norton  1903〜92年、英国ロンドン生。演劇を志して舞台に立ったが、結婚後は海運業を営む夫と共にポルトガル居住。その後、事業の不振等により米国へ渡り、1943年ロンドンに戻る。1952年発表の「床下の小人たち」にてカーネギー賞を受賞。

 


   

●「床下の小人たち」● ★★
 原題:"THE BORROWERS"     訳:林容吉




1952年発表

1956年03月
岩波少年文庫
  
2000年09月
新版第1刷
(680円+税)

 

2010/05/31

 

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22年07月公開予定のジブリ・アニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」の原作。
私自身は別にスタジオ・ジブリ作品に思い入れはないのですが、娘が好きなもので、自然と幾つかの作品のある程度の部分は観ています。
本作品を読んだのも上記アニメ映画がきっかけですが、そうしたファンタジー小説があると知って興味を持った、というところです(言い訳がましいか?)。

本作品に登場する“小人”は、身長が僅か15cm程。人間から生活に必要な全てのものを借りて暮らしているため Borrowers、つまり「借りる人」というのが原題。
主人公の小人一家は、父親=ポッド、母親=ホミリー、一人娘の少女アリエッティという3人家族。
人間の家の床下に自分たちの家を作って暮らしていることから、邦題が「床下の」となる訳です。

小人たち、人間に決して見られてはいけない、見られたら最後猫をけしかけられたり、どんな危険な状況に置かれるか判ったものではない、というのがその理由。
しかし、年頃になり閉じこもりの生活に飽き始めたアリエッティは、外の世界への好奇心を高めています。
そんな折、外に出ていた彼女は、その家に療養に来た男の子と知り合い、友達になってしまう。それは果たして小人たちに幸をもたらすのか、それとも不運をもたらすのか。

借りるといっても、人間の方は貸した覚えはない訳ですから、この小人たち、人間に依存して生きる存在、というべきでしょう。
妖精でもなく、魔法が仕える訳ではなく、小さくて人間に依存する存在という以外は、まるで人間と変わりありません。
普通だからこその面白さが、本作品の魅力です。
さて、ジブリ・アニメの影響で、原作を読む子供たちが増えるのかどうか。増えるといいですねぇ、もちろん。

※“小人の冒険”シリーズ
 1.床下の小人たち
 2.野の出た小人たち
 3.川を下る小人たち
 4.空をとぶ小人たち
 5.小人たちの新しい家

             


 

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