クリス・クラウス作品のページ


Chris Kraus ニュージーランド生。アメリカ在住の作家、実験映画製作者。デビュー作「アイ・ラブ・ディック」が異色のポストモダン私小説として話題を呼ぶ。夫君はコロンビア大学教授で、先鋭的な批評誌「セミオテクスト」の叢書シリーズ編集者でもあるシルヴェア・ロトリンガー。現在ロスアンジェレウスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインの大学院創作科で教鞭をとる。

 


 

●「アイ・ラヴ・ディック」●
 
原題:I LOVE DICK”




1997年発表

2000年09月
新潮社刊
(2100円+税)

 

2000/10/14

“恋愛小説とポストモダン文学の類まれなる「不倫関係」”“前代未聞のポストモダン恋愛小説”という宣伝文句と、内容紹介に惹かれて読み出したのですが、早い段階で完全に挫折しました。
よう判らん、読み続ける根気が起きない、という一言に尽きます。
主人公である実験映像作家クリスは、17歳も年長のシルヴェア(コロンビア大学教授)という夫のある身ですけれど、夫と共に会った新進文化評論家のディックに一目で恋心を抱き、彼とセックスしたいと望むようになります。
それから、クリスはディックに猛烈な手紙攻勢をかけ始めるのですが、夫シルヴェアにも相談を持ちかけ、シルヴェアまでがクリス以上にディックに対して手紙攻勢をかける、といったストーリィの恋愛(?)小説。
主人公クリス、その夫シルヴェアとは、著者自身、著者の夫そのままの名前、職業であり、その点でも唖然とする他ありません。となると、ディックは誰?ということになるのですが、ニューヨークマガジンがこの人らしいと推測した相手に電話を架けたところ、相手が過剰反応したことから、彼に間違いなしということになったのだとか。
それだけでも凄い、と思うのですが、本書の内容となると全くこちらの理解が追いついていかない、何が何だか判らなくなってくる、ちょうど大長編読了後の疲れもあって、早い段階で完全に挫折してしまいました。
アメリカでも、本書は侃侃諤諤の議論を呼び起こしたそうですが、そりゃ当然だ、と思う次第。

 


 

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