キンバリー・ウィリス・ホルト作品のページ


Kimberly Willis Holt  米国フロリダ州ペンサコーラの海軍基地で出生。軍人である父の転勤で幼い頃より国内外のあちこちで暮らす中で、祖父母が住むルイジアナ州フォレスト・ヒルが心の故郷となる。1998年「ルイジアナの青い空」にてボストングローブ=ホーンブック賞次点ほか多数受賞。99年「ザッカリー・ビーヴァーが町にきた日」にて全米図書児童書部門ほか多数受賞。

 


             

「ローズの小さな図書館」 ★★☆
 原題:"Part of Me" 
         訳:谷口由美子


ローズの小さな図書館画像

2006年発表

2013年07月
徳間書店刊
(1600円+税)

   

2013/09/01

  

amazon.co.jp

テキサス州アマリロに家族5人で暮らしていたローズは本好きな少女、将来の夢は小説を書くこと。
しかし、父親が突然家を出て行ってしまったことから歯車は狂ってしまいます。残された一家は母親の故郷=
ルイジアナ州ホウマに住むカキ漁師の祖父の元へ身を寄せます。
一家貧窮の折り、14歳の長女ローズは母親から命じられるまま、自動車の運転など判らないのに17歳と年齢を偽って運転免許を取らされ、移動図書館バスの運転手に応募して働き始めます。
高校・大学へ進学する夢を絶たれながらもローズは、以前の教師からもらった革張りの日記帳2冊に記憶に残ったことをあれこれと書き留め続けます。
そんなローズから始まり、
息子マール・ヘンリー、孫娘アナベス、ひ孫カイルと、4代に亘ってそれぞれが本を愛する思いを繋いでいくストーリィ

もちろん図書館、本が中心となる物語ですから、代々の主人公によって様々な小説の題名が口に上ってくるのが楽しい処。時代時代によって本に対する主人公たちの気持ちや姿勢に少々変化があるのもまた楽しい哉。
そして各部に共通して登場するのは、かつてローズが運転手として働いていたこともある“
移動図書館”という趣向。
中でも主人公に与える影響が大きかったものとして
アンデルセン童話」「ハリー・ポッターが取り上げられているのは、楽しい。
最後は再びローズに戻るストーリィですが、家族断絶がなく、ローズから始まる4世代に亘って家族としての絆がしっかり愛情をもって結ばれている様子が、何と言っても嬉しい物語です。


1.ローズ:豆とコーンブレッド(1939)/漁師(1939)/川辺の少女(1940)
2.マール・ヘンリー:わな(1957)/学校をサボる(1958)
3.アナベス:おとぎ話(1973)/告げ口(1973)
4.カイル:夏のバイト(2004)/消えたハリー・ポッター(2004)
5.ローズ:いつか通った道(2004)

    


     

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