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Peter Haining 

 


 

●「魔法使いになる14の方法」● ★★
 原題:"THE WIZARDS' DEN"     訳:大友香奈子

 

 
2001年刊

2003年9月
創元推理文庫
(720円+税)

 

2004/02/28

J.K.ローリング「ハリー・ポッターに初めて出会った時、それまで思いも寄らなかった魔法使いの物語という面白さに驚喜しました。ところが本書を読むと、「ハリー・ポッター」は唐突に登場した物語ではなく、英国における魔法使い物語の伝統の結果として生まれたものであることがよく判ります。
そう言いたい程、児童向け魔法使いの物語は英国に沢山あるようです。本書はそんな魔法使い、学校、子供たちに関わるアンソロジー、14篇。
14篇の中では、魔法使いを主役にシリーズ化されている作品に、磐石の楽しさが感じられます。
ドロロ・ドゥ・ララ教授、悪魔の校長、ミスター・マジェイカ(ワルプルギスの夜)、九つの命をもつ大魔法使い・クレストマンシー(キャロル・オニールの百番目の夢)

空を飛ぶ魔術に挑む少女を描く「飛行術入門」、卵から孵ったドラゴンを巡る騒動話を描く「中国からきた卵」、少女のみる夢の秘密を解き明かす「キャロル・オニールの百番目の夢」も楽しいですけれど、圧巻は「ドゥ・ララ教授とニペンスの魔法」「悪魔の校長」。少女の良心と知恵が魔法使いを優るという展開が、短篇ながら素晴らしい。
本好きな少女が幽霊となった「なにか読むものを」は、痛烈な皮肉と言えますけれど、本好きにとっては絶句してしまう結末。
ファンタジー小説のアンソロジーとして、本書はとても楽しい一冊です。お薦め。

ドゥ・ララ教授とニペンスの魔法(E・ネズビット)
・学校綺譚(マンリー・ウェイド・ウェルマン)
・悪魔の校長(ジリアン・クロス)
・ワルプルギスの夜(ハンフリー・カーペンター)
・暗黒のオリバー(ラッセル・ホーバン)
・さがしものの神様(ジョーン・エイキン)
・ダブラーズ(ウィリアム・ハーヴィー)
・飛行術入門(ジャクリーン・ウィルソン)
・中国からきた卵(ジョン・ウィンダム)
・お願い(ロアルド・ダール)
・見えない少年(レイ・ブラッドベリ)
・わたしはドリー(ウィリアム・F・ノーラン)
・なにか読むものを(フィリップ・プルマン
・キャロル・オニールの百番目の夢(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

   


 

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