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Bonnie Garmus 米国カリフォルニア生。テクノロジー、医薬、教育など幅広い分野でコピーライター、クリティティブ・ディレクターとして働く。小説教室に通って書いたデビュー作「化学の授業をはじめます。」が全世界でベストセラーになる。 2024年現在、夫と犬の99と共にロンドン在住。 |
「化学の授業をはじめます。」 ★★☆ 原題:"Lessons In Chemistry" 訳:鈴木美朋 |
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2024年01月
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世界 600万部の大ヒット作。 文句なく、べらぼうに面白い傑作。化学エンターテインメント作にして、女性差別に対する主人公の抵抗、闘うストーリーはすこぶるスリリング! 舞台は1960年代の米国。当時、社会における女性差別はこんなにも酷いものだったのかとまず驚かされます。 そうした中で、化学研究のため少しも負けずに自分の道を貫こうと闘い続けている女性研究者が、エリザベス・ゾット。 しかし、上席の男性研究者からすれば自分より女性の方が優秀なんて許せることではない、そのうえ当時不道徳とされていた未婚のままシングルマザーとなったエリザベスは、研究所から放逐され生活にも苦労することになります。 そんなエリザベスにTVの料理番組出演を打診してきたのは、娘マデリンの同級生であるアマンダの父親で、TVプロデューサーのウォルター・パイン。 しかし、男の好みで設定された料理教師像などエリザベスは演じるつもりはなく、料理を化学的に、そして真剣に番組視聴者である女性たちへ語り掛け始めます。 エリザベスの出演する<午後六時に夕食を>は人気沸騰、公開番組となって以降、観客席の女性たちは皆、ノートと鉛筆を片手に真剣に聞き入るという風。 ※冒頭、最後のエリザベスの恒例台詞が小気味よい。 エリザベスがそこに至るまでの苦闘、それ以降のエリザベスと愛娘マデリンの闘いを描いた長編ストーリー。 エリザベス・ゾットという主人公のキャラクターが抜群に面白いのですが、その娘マデリンもまた周囲の大人たちを翻弄してみせるという点で負けてはいません。 二人に加えて、飼い犬のシックス=サーティにも人格、いや犬格?があって楽しませてくれます。 そして、二人に呼応するかのようにして、ハリエット・スローンやミス・フラスクという女性たちも声を挙げ始める展開が、気持ちを爽快にさせてくれます。 憤慨、興奮、スリリング、そして痛快、と全てが味わえる傑作エンターテインメント。是非お薦めです。 1.1961年11月/2.ウォルター・パイン/3.ヘイスティングズ研究所/4.化学入門/5.家族の価値/6.ヘイスティングス研究所のカフェテリア/7.シックス=サーティ/8.過剰反応/9.恨み/10.引き網/11.予算削減/12.キャルヴィンからの別れの贈り物/13.愚か者たち/14.嘆き/15.不要な助言/16.産みの苦しみ/17.ハリエット・スローン/18.法律上、頭に来ている/19.1956年12月/20.一生の物語/21.E・Z/22.プレゼント/23.KCTVスタジオ/24.午後のスランプ帯/25.平凡な女性/26.葬儀/27.わたしのこと/28.聖人/29.結びつき/30.九十九パーセント/31.お見舞いのカード/32.ミディアムレア/33.信じる気持ち/34.オール・セインツ/35.落第のにおい/36.生と死/37.完売/38.ブラウニー/39.各位/40.普通/41.再開/42.人事異動/43.死産の知らせ/44.どんぐり/45.午後六時に夕食を |