T・S・エリオット作品のページ


Thomas Stearns Eliot  1888-1965 米国ミズーリ州セントルイス生。28年英国に帰化。「クライティーリオン」誌を創刊、「荒地」を発表して詩人としての名声を確立。48年ノーベル賞を受賞。

 


   

●「キャッツ−ポッサムおじさんの猫とつき合う法−」● ★★   訳:池田雅之
 
原題:"Old Possum's Book of Practical Cats"    (絵:ニコラス・ベントリー)




1940年発表

1995年12月
ちくま文庫刊
第10刷
2004年11月

(660円+税)

 

2007/12/23

 

amazon.co.jp

本書は、詩人T・S・エリオットが様々な猫の姿を個性的にユーモラスに謳った15篇からなる詩集です。
そしてまた、超ロングラン・ミュージカル「キャッツ」の原作とのこと。

原題の「ポッサムおじさん」とは、先輩のアメリカ詩人がエリオットにつけた仇名とのこと。
本書を読んで様々な猫の姿に面白さを感じるのはもちろんのことですが、そもそもエリオット自身、いろいろな猫を考え出す作業をきっと楽しんでやっていたに違いありません。そんな雰囲気が本書には充満しています。

おばさん猫、親分猫、おまのじゃく猫・・・というキャラクターはまだ始まりに過ぎません。
劇場猫、ダンディ猫、鉄道猫まで至ると、もう楽しいったらありません。
また、ガンビー・キャットや、グロウルタイガー、ラム・タム・タガー等々といった本書に登場する猫の名前は、皆それなりの意味があるのです。そんな猫の名付けも、エリオットは楽しんでやっていたに違いありません。
「ガンビー」は“ガム”から、「グロウル」は“うなる”から、「ラム」は“不思議”あるいは“ラム酒”からの造語というのですから。
本書中、私が好きなのは、ダントツで鉄道猫スキンブルシャンクス。次いで劇場猫ガス、というところです。

犬は人間の忠実な友人になりますが、猫は人間の意に従おうなどとはこれっぽっちも思わない。だからこそこんな、ユニークな猫が登場するのでしょう。
詩人の悪戯心がめいっぱい楽しめる、愉快な猫もの詩集です。

猫に名前をつけること/おばさん猫ガンビー・キャット/親分猫グロウルタイガー、最後の戦い/あまのじゃく猫ラム・タム・タガー/おちゃめなジェリクル猫たちの歌/泥棒コンビ猫マンゴジェリーとランペルティーザー/長老猫デュートロノミィー/ペキニーズ一家とポリクル一家の仁義なき戦い/猫の魔術師ミストフェリーズ/猫の犯罪王マキャヴィティ/劇場猫ガス/ダンディ猫バストファー・ジョーンズ/鉄道猫スキンブルシャンクス/猫の放しかける法/門番猫モーガン氏の自己紹介

 


      

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