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John Connolly 1968年アイルランド生。ダブリン大学およびダブリンシティ大学で学んだ後、フリーのジャーナリスト。99年のデビュー作「死せるものすべてに」にてシェイマス賞、2007年「失われたものたちの本」にて全米図書館協会アレックス賞、14年「キャクストン私設図書館」にてアメリカ探偵作家クラブ賞とアンソニー賞最優秀短編賞を受賞。

 


                                   

「キャクストン私設図書館」 ★★     アメリカ探偵作家クラブ賞等
 
原題:"Night Music:Nocturnes2"      訳:田内志文


キャクストン私設図書館

2015年発表

2021年05月
東京創元社

(2100円+税)



2021/07/15



amazon.co.jp

2015年に英国で刊行された“Night Music:Nocturnes2”に収録されている短編13篇の内4篇を邦訳した短編集とのこと。

中でも楽しいのは、表題作である
「キャクストン私設図書館」。なにしろ人気小説の登場人物たちが、人々に広く知れ渡ったが故に“実体化”し、私設図書館の中に暮らしている、というのですから。
主人公は会社を引退退職した
バージャー氏。偶然、若い女性が通過する列車に飛びこむ場面を見てしまい、ショックを受けます。
さらにそれは
トルストイ作品の女性主人公=アンナ・カレーニナにそっくり。
再び現れたその女性の後をつけ、バージャー氏は
<キャクストン私設図書館&書物保管庫>に至るのですが・・・。
そこでバージャー氏が引き起こした騒動とは?

「虚ろな王」は、異世界冒険譚「失われたものたちの本」のスピンオフ、
「裂かれた地図書」は、関わった者をとんでもない事態に陥らせる怪奇書籍を巡るホラー的な連作物語。

そして
「ホームズの活躍:キャクストン私設図書館での出来事」では、シャーロック・ホームズワトソン博士が私設図書館に登場。
当時の
司書ヘッドリー氏と共に3人で、ある人物に会いに行くのですがその目的は、そして問題を解決できたのか?

※<キャクストン私設図書館>に一番多く登場するのは、やはり
ディケンズ作品らしい。オリヴァー・ツイスト等々。
フィールディング作品のトム・ジョウンズは、ここでもやはりトム・ジョウンズらしいなぁ。
バージャー氏がアンナのために何かしたい、と思うのも無理ないと思いますよ。思わず同作の問題箇所を確かめてみました。

キャクストン私設図書館/虚ろな王(『失われたものたちの本』の世界から)/裂かれた地図書-五つの断片/ホームズの活躍:キャクストン私設図書館での出来事

     


        

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