マックス・バリー作品のページ


Max Barry 1973年生、オーストラリア・メルンボルン在住。ヒューレット・パッカード社勤務の傍ら、長編小説Syrup にて作家デビュー。

 


     

「機械男」 ★☆        訳:鈴木恵
 原題:"mashine man"

 
機械男画像
 
2011年発表

2013年05月
文芸春秋刊
(2000円+税)

  

2013/06/08

  

amazon.co.jp

「機械を愛するあまり自分を機械化した理系オタク技術者を軍事企業が狙う。初めてできた彼女を守るため、機械男は死地へ赴く!」というのが出版社紹介文。
「8マン」から始まり、「6百万ドルの男」「バイオニック・ジェミー」「ロボコップ」等々こうした物語は以前から尽きませんし、今の時代ですからこの一文でだいたいのストーリィは想像つくと思います。私自身もそう思っていたのですが、まさかここまで行ってしまうと唖然とするばかり。

理系エンジニアの主人公
チャールズ・ニューマンは、勤務中にうっかりミスで自分の片脚を万力に挟み込んでしまい・・・・。
その結果義足をつける身となるのですが、最新の義足と言われてもその使い勝手に納得いかず。自分ならもっと使いやすい義肢が作れると自立型義足を創り上げるのですが、理系エンジニア故にさらに上を目指した揚げ句・・・・。
一方、チャールズの義肢に関心を示す会社は彼に大勢の開発支援メンバーをつけて大々的にバックアップするのですが、そこには軍事産業への転用意図が隠されていた。
その結果、チャールズが恋した義肢装具士の
ローラ・シャンクスまで騒動に巻き込まれてしまい、恋人を助けようとチャールズは疾走を始めるのですが、その結果は何と・・・。
 
自分の身体までパーツと考え、同じパーツなら生身より機械の方が高性能と考えたところが理系オタクのオタク過ぎるところなのですが、そこが本作品の読み処の全て。
オタク故に、義肢の動く様まで詳細に描いたところが、これまでのサイボーグものとは違ったリアルさ有り。
結局は主人公のチャールズ、細部にこだわって本質的なところを見落としていたように思うのですが、さて皆さんはどう感じるでしょうか。

    


      

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