アリス・アダムズ作品のページ


Alice Adams 1826年米国バージニア州生、46年ハーバード大学ラドクリフ
・カレッジ卒。同年結婚し、58年に離婚。その後秘書や事務員等様々な職業を経て作家活動入り。短編の名手として知られており、O・ヘンリー賞を20回、特別賞も受賞している。

 


 

●「名残りの薔薇−アリス・アダムズ短篇集−」●  ★★☆
 原題:"Roses,Rhododendron"   訳:飛田茂雄・高見浩

  


1991年発表

1991年10月
新潮社刊
(1942円+税)

 

2004/09/25

O・ヘンリー賞は1年間に発表された短編小説の中から優れた作品20篇に与えられる賞とのことですが、作者アダムズはその賞を20回も受賞しているというのですから、凄い。
本書に収録された11作品の内、7作が受賞作品。

各篇の主人公は、離婚していたり、孤独だったりと、必ずしも順調な人生とはいえない女性たちが多い。
しかし、読み進んでいくと、その主人公たちが今の生活の中に何か希望、明るさを見出していく。それに連れ、読み手の心の中にも温もりがじわじわと広がり、いつの間にか楽しい気分になっている。
何か特別に好い事が起きる訳ではありません。要は、主人公たちの気持ちの持ち様なのです。でも、それが主人公たちの新規まき直しに繋がっていく。
そんな温もりと希望を感じさせてくれるところが、アダムズ作品の魅力でしょう。ストーリィは、いずれも日常のありふれたヒトコマ。平易な文章ですんなりとストーリィに溶け込んでいけるところも魅力のひとつ。

バス乗客との触れ合いの中で、離婚したばかりの主人公が人生の楽しさを再発見する「グレイハンド・ピープル」が絶品。
旧友との再会から明るい気持ちが広がっていく「名残りの薔薇」「潮だまり」も好い。
一方、妻が黒人看護助手と浮気をしたことを知ってかえって活力が蘇る「嫉妬深い夫」、恋人への激しい欲情からふと我にかえる「ラス・ヴェガス」は、ちょっと愉快。

グレイハンド・ピープル★/暖冬/名残りの薔薇★/嫉妬深い夫/海辺で/ラス・ヴェガス/また会う日には★/アラスカ★/モリーの犬★/潮だまり★/オクラコーク島★ (※★印はO・ヘンリー賞受賞作品)

     


 

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