■渋の湯温泉「渋御殿湯」
茅野市奥蓼科温泉 TEL/0266-67-2733 無休 10-15時 800円
http://www3.ocn.ne.jp/~gotenyu/
<掲示>浴室前廊下に分析表
渋長寿湯 H4.3
単純酸性硫黄泉(H2S) 30.6℃ pH=2.7 自然湧出
総計=1605 溶存成分計=800.5 mg/kg
H=1.7 (15.5) Na=128.9 (51.5) Ca=21.9 Al=8.5 Fe(II)=0.09
Cl=201.5 (51.6) HSO4=16.3 SO4=245.3 (46.5)
H2SiO3=119.0 HBO2=16.2 CO2=783.6 H2S=20.5 mg/kg (mval%)
渋御殿湯 H4.3
単純酸性硫黄泉(H2S) 25.8℃ pH=2.7 自然湧出
総計=1415 溶存成分計=641.6 mg/kg
H=1.5 (17.2) Na=95.8 (48.2) Ca=20.3 Al=6.8 Fe(II)=0.4
Cl=151.0 (49.1) HSO4=13.6 SO4=204.1 (49.0)
H2SiO3=103.2 HBO2=12.7 CO2=754.7 H2S=18.3 mg/kg (mval%)
奥蓼科のどん詰まり、渋御殿湯が手前、奥に渋の湯ホテル(冬季休業)が並んで建っている。古い絵図ではそれぞれ「殿様湯」「姥湯」となっている。渋御殿湯のほうが大きくて立派だが、古い本館側は東北の湯治宿風で素朴。新館は鉄筋コンクリで味気ない。同地に建っていた木造3階の旧館の写真があるが小谷の山田旅館そっくりで、これが現存していれば秘湯の鄙び宿として大人気だろうと思うともったいなかった。
立ち寄り入浴は新館側(西の湯)のみが可で、本館と同じ総木製の浴舎ながら真湯の浴槽(清水の加熱循環)と冷たい御殿湯の小浴槽があるきりだから全然面白くない。こちらのみシャワーと石鹸が使えるので登山客の利用を考慮したものだろう。部屋休憩込み(2000円)だと両方の浴舎が利用できる。
本館側(東の湯)は総木製浴舎で、手前から加熱湯・長寿湯・御殿湯の3つの浴槽がある。昔は混浴だったのを仕切ったようで、女湯側も同じく3浴槽だが、長寿湯が引き込みになっているから不利。
加熱湯は循環濾過で身体を温めて冷浴に備えるもの。適当に温まったら気合いを入れて冷たい御殿湯にそろそろと身を沈める。たちまち全身鳥肌状態になるが、背筋から電気がぞぞっと伝わり脳天の蓋がぱかっと開く感じ。ぴりぴり射すような刺激と酸っぱい硫黄臭が心地よい。
長寿湯は坪湯のような深い浴槽の底がすのこになっていて、下から生温い源泉が湧き出してきている。ガス気泡を大量に伴うので湯面はボコボコ沸騰しているように見える。浴槽壁のなかほどに空いた排水口への溢流は20
L/minほど。ほかに槽内に女湯側へ通じるパイプ口がある。静止状態の湯は淡青緑色に澄みきってたいへん美しい。
底にさらさら粉末状の白い湯花が大量に溜まっているから、人が漬かると舞い上がって白濁湯になる。レモン様の酸味と炭酸味が明瞭で明礬系の渋味がなく、柑橘系炭酸飲料のようでとても美味しい。サラサラとした絹をなでるような軽い浴感が特徴的で、濃い酸性泉のような締め付けるような厳しさはなく長湯が楽しい。
浴後はほとんど温まらないから速攻で部屋の炬燵に飛び込んでしまうが、しばらくするとまた漬かりたくなる不思議な魅力をもった湯だ。(2002.12.26-28宿泊)
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