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木曾御嶽山周辺の湯巡り byやませみ


【第3回】 巌立峡と湯屋温泉


とっても涼しい巌立峡の渓谷


なかなか豪快な三条の滝
巌立峡Pから遊歩道がある


巌立峡「ひめしゃがの湯」

 A/ 重量感のある赤湯、優良日帰り
 10-21時 火曜休 600円 TEL/0576-62-3434

大きな日帰り施設。下島温泉の入り口にあるが、温泉は全く別物らしい。
売店には健康食品や薬草・ハーブが処狭しと並べられ、博物館のようで楽しめる。薬草園も併設し、薬膳レストランが地元でも人気あるそうな。お風呂は内湯の加熱浴槽と冷浴槽が温泉で、露天風呂は真湯。ほかにサウナや泡風呂、打たせ湯などもありメニューは豊富。

内湯の大きな加熱浴槽(40℃)には湯口から20L/min投入され、これはなんと掛流し。経費がかかって大変だと思うが、泉質へのこだわりは嬉しい。オレンジ色が強い美しい赤褐色の濁り湯で、透明度は10cmくらい。見た目どおり、お湯はかなりの重量感があり、トマトジュースに浸っているような気分。

小振りの源泉冷浴槽は26℃。これはたいへん気に入った。冷たいプール温度くらいなので無理せず入れる。深さは1m以上もある。加熱槽に比べて赤色が薄く、少し緑がかって見えるので、鮮度は高いようだ。細かい泡付きがあるらしく、肌がピリピリする感覚がとても爽快。浴後の清涼感に優れており、皮膚がサラサラになると同時に、体内はほかほかで心地よい。重曹泉と炭酸泉の特徴を合わせ持つ優れた泉質だと思う。

館外に立派な飲泉所が設置されているので、ただで源泉に触れるには好都合。蛇口から出るガス量は少ないが、透明な湯に手を浸すと大きな気泡がたくさん付く。薄い塩味を伴う濃い重曹味。強い鉄錆び味とともに、炭酸の辛味も強い。うっすらとした硫黄臭と軽い油臭もあるが、これは余計な感じ。やや飲みにくいのは、24℃という半端な水温のせいだろうか。(2001.7.26)

<DATA> 分析表は脱衣所に掲示。飲泉所にも許可証を掲示。
 ひめしゃが1号 (H.1.7.分析)
 Fe(II)-Na-HCO3・Cl 24.3℃ pH=6.84 湧出量測定不能(ガスをともなう間欠のため)
 溶存成分計=8.30g/kg 成分総計=8.80g/kg
 Na=1988.3 Fe(II)=27.5 HCO3=4864.1 Cl=956.9 HS=0.2
 CO2=503.6 H2S=0.3 (mg/kg)


ひめしゃがの湯の外観、ユニークな造り


玄関横にある立派な飲泉所
なま温くてちょっと飲みにくい


加熱掛流しの温泉浴槽は美しいオレンジ色


源泉のままの冷浴槽、とっても爽快


湯屋温泉「奥田屋」(泊)

 B/ 飲泉は炭酸味たっぶり
 11-14時 500円 要確認 TEL/0576-62-3006 宿泊8000-12000円

創業340年、現在の当主で28代目の老舗なんだそうである。宿のパンフは異例にでかく、開湯の由来が詳細に書かれており資料価値大きい。道路に面した建物はツタのからまる古風な木造洋風建築で、江戸川乱歩調といった印象。ただし、川に面した客室(新館)は昭和40年代の冴えない鉄筋建築で、かなりボロい。宿泊料金は料理の差だそうだが、8000円でも充分な品数と量がある。自家栽培のソバが夕食に付き、これはなかなか美味。朝食には鉱泉粥がつく。

浴室は男女が別棟。女湯は新館下にあり、ここは最近改装したようでわりときれい。川に面しているが、対岸に遊歩道があるため目隠しに御簾がかけられちょっと薄暗いのが残念。男湯は旧館に付属し、かなり年季が入って薄汚れている。岩組み(真湯)と石板つくり(温泉加熱)の2つの浴槽が並んでいるが、これはもともと男女別に仕切られていたのをぶち抜いたように見える。奥の温泉浴槽へは、真湯浴槽をざぶざぶ通って行かなくてはならない。

温泉浴槽には、岩をくり抜いた湯口から44℃に加温された湯が3方へちょろちょろ出ている。流れ際に赤褐色の析出がこぶ状に盛り上がっており、愛嬌のある造形。冷たい源泉の出る蛇口もあるので全開にしてみたが、3L/minくらいしか出てこない。浴槽がわりと大きいので、アワアワの状態にするのはちょっと無理。41℃の適温に調整された湯は、少し緑がかった褐色の濁り湯(透明度10cm)。はっきりしたつるすべ感(3)を伴ない、なかなか良い浴感だが湯の新鮮さは感じない。

掛流しではなく、細い塩ビ管で吸入しており、加熱循環しているようだ。浴槽にもたれ掛かると「イテテ!」、鉄錆び状の析出が内壁全面を覆っているのだ。どうやら湯の入れ替えはほとんどしていないように思われる。源泉pH6.4なのに「つるすべ」するのは、長期間加熱循環しているうちに炭酸が抜け、pHがアルカリ性に偏った結果ではないかと推測する。単純炭酸泉ならただの真湯になってしまうところだが、成分が基本的に重曹泉なので、炭酸イオン(CO3)を生じてつるすべ湯になるのだろう。しかし、炭酸泉としての効能は完全に失われてしまうように思う。

玄関口と館内の2カ所に飲泉所があり、蛇口をひねると大量のガスとともに温泉水が間欠的に出てくるが、10秒もすると止まってしまう。自噴泉なので湧出にはある程度のガス圧が必要なのだろう。継続的な湧出量は1 L/minにも満たないかもしれない。明瞭な塩味と苦味をともなう濃い重曹味で、鉄錆び味と炭酸のピリピリも強力。湯口では一瞬だけ硫黄臭を感じる。旨いとはいえないが、パワーを感じる味と香りだ。しっかり飲泉したせいか、胃腸の具合がすこぶる良い(^.^)。(2001.7.26)

<DATA> 浴室に掲示はない。玄関の飲泉所に分析表と飲泉許可証を掲示。
 あけぼの泉 (S51.3.分析)
 CO2・Fe(II)-Na-HCO3・Cl 11.4℃ pH=6.4 湧出量5.1L/min
 溶存成分計=4.50g/kg 成分総計=6.45g/kg
 Na=1187 Ca=115.7 K=51.8 Fe(II)=17.97
 HCO3=2057 Cl=932.9 CO3=0.30 HS=0.18
 CO2=1947 H2S=0.56 (mg/kg)


奥田屋玄関の建物、ツタがからんで良い雰囲気

玄関脇の渋い飲泉所、
「炭酸泉」の石碑はかなり古いものだ


館内の飲泉所、ガスと共に勢いよく噴き出す。

加熱の温泉浴槽、炭酸の
気配はないが「つるすべ」の湯

<湯屋温泉について>
木曾御嶽山の周辺には炭酸を含む温泉が多いですが、湯屋はその筆頭格。川沿いの田園地帯にひらけた静かな温泉地です。旅館は7軒あります。道路に面した建物は小振りなので、温泉街のようには見えませんが、奥行きが大きくて新館を増築している旅館が多いように見えます。いずれも自家源泉を所有していますが、湧出量が非常に少ないのが難点で、どこも源泉の使い方には苦労されており、小さな加熱浴槽と、循環濾過または真湯の大浴槽・露天風呂を併用している旅館が多いようです。ちょっと離れた「合掌苑」の源泉は、CO2=7909mg/kgという強力な炭酸泉(おそらく日本一)だそうですから、こちらに行かれても面白いでしょう。

岐阜県小坂町・小坂町商工会ホームページ
http://www.town.osaka.gifu.jp/


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