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伊豆南部の湯めぐり byやませみ


【第4回】 下田市の温泉-2

 

■河内(こうち)温泉「金谷旅館」


  静岡県下田市河内114−2 TEL/0558-22-0325  無休 9-21時 700円(土休1000円)
  http://homepage2.nifty.com/kanaya/

<掲示> 玄関に分析表
  金谷温泉(オボウの湯) S56.4分析
  単純温泉(Na・Ca-SO4・Cl) 55℃ pH=8.2 湧出量記載なし
  総計=401
  Na=86.2(74.9) Ca=22.8(22.7)
  Cl=61.2(33.0) SO4=107.2(42.7) HCO3=70.6(22.1) CO3=1.2
  H2SiO3=41.1 CO2=2.9 mg/kg (mval%)

千人風呂は内装が新しい材木で張り替えられ、浴槽底も全て板張りになりました。より明るい雰囲気になったそうですが、当日は雨模様で寒かったため浴室内は湯気が真っ白くこもって一間先も見えない状態です。屋根には立派な湯気抜きが拵えてあるのですが、天井がかまぼこ状に板張りされているので通気が遮断されているせい。女湯のほうは湯気抜きがしっかり機能していてクリアだったそうですから、混浴を考慮してわざと湯気で見通せないように仕掛けてあるのでしょうか? ぼんやり見えるブロンズ像に長々と話しかけている親父さんがいて笑ってしまいました。

浴槽のサイズは12x5mほどもありますが、湯口は入口近くの1カ所のみで48℃の湯が50 L/minほどの投入。端のほうではさすがに湯はちょっとなまり気味。排出がよくわからないのですが、これだけ大きいと浴槽縁からの溢流でも相当量になるでしょう。深いほうの浴槽底にすのこ口が2カ所あり、露天の湯口へ通じているように思えました。

泉質にはとくに個性はないですが、ボウ硝系で肌あたりが柔らかいのとぬるめなので長湯むきです。以前はもう少し濃い湯だったらいいのにと思っていましたが、この浴舎には薄い湯こそふさわしいと感じるようになりました。こんな大きな風呂に濃い泉質を満たしたら、湯の劣化が気になって仕方ないでしょう。

宿泊者専用の家族風呂「一銭湯」は2浴室あり、フロントで入浴中の札を借りる方式です(無料)。古い部分が残るのは屋根だけだそうですが、ザラザラのコンクリ打ち浴槽と板壁という形で、東北の昔の共同湯はみんなこんな感じだったなと懐かしいものがあります。木樋の湯口から48℃の湯が10 L/minくらい投入されており、3x1.2mの細長い浴槽が3つに区切られて43℃・40℃・37℃の温度差がつくようになっています。電球1個だけのぼーっとした灯りの下で、古き良き時代の伊豆はどんなだったろうなと想像をめぐらしました。(2003.2.24-25)


宿泊者用の一銭湯は懐かしい雰囲気

松の間に泊りました




■蓮台寺(れんだいじ)温泉「旅館弥五平」


 静岡県下田市蓮台寺 TEL/0558-22-2202  随時 500円

<掲示> 玄関ロビーに分析表
  源泉名記載なし* S62.6分析 蓮台寺天泊神社境内
  単純温泉(Na・Ca-SO4・Cl) 49.1℃ pH=7.7 湧出量記載なし
  総計=548
  Na=102.7(61.4) Ca=52.5(36.0)
  Cl=71.0(27.4) SO4=203.5(58.0) HCO3=60.1 CO3=0.2
  H2SiO3=32.6 CO2=18.7 mg/kg (mval%)
  *) 共同源泉と思われる

温泉集落のいちばん奥、吉田松陰寓寄処(村山亭)の向かいです。このあたりがかつては蓮台寺温泉の中心部だったのでしょう。今は人家に囲まれてのんびりした趣のある風情です。創業明治6年という老舗ですが、それ以前は湯治客を無料で泊める湯宿だったそうです。篤志家だった弥五平さんの気風は今の女将さんにも受け継がれているようで、立ち寄り客にも気取らず丁寧な対応が暖かいです。

浴室は3カ所で、プールのような大浴場、明るいタイル張りがレトロな女湯もありますが、古い形式を守る「薬師の湯」をまず薦められます。通常は男湯ですが、お客の少ないときは家族風呂で使用できるそうです。

薬師の湯は2x2mの掘り下げ形式の深めの石風呂で、4つに仕切られた浴槽の底にそれぞれ穴が空いています。古い写真には湯口はないので、かつては自然湧出の源泉浴槽だったのでしょう。穴に石をはめこんで湯量を調節していたようで、こういう形式は伊豆の古い温泉では普及していた方法だそうです。今は湯口から45℃の湯が50 L/minほど投入されて43℃前後の熱めになっています。

左手前には別のパイプで50℃くらいの注入があり、キリキリ食い込むような感覚におもわず「うー良い」と唸ってしまいました。湯にはさして特徴はないですが、眠気さましの一湯には最高です。(2003.2.24)


落ち着いた風情の宿です

旧い形態をとどめる薬師の湯

プールみたいな大浴場もあります

歴史ある温泉地の名残りがあちこちに


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