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やませみ 道東湯巡り byやませみ  2001年6月

【第4回】 中標津と別海


開陽台から見る標津平野
 地球が丸く見える(ような気がする)

川北付近のとある町道
 向こうに見えるのは国後島


中標津保養所温泉旅館

 A/ のんびりできる優良日帰り、宿泊もできる
 中標津町東20条北8丁目 TEL/01537-2-0368
 7-2130時 500円 無休

中標津市街の中心部をはずれ、トーヨーグランドホテルの交差点を北にはいる。橋を渡ってまもなく、保養所の案内表示(小さい)のついた砂利道が右手にあるので、道なりに進むと、どん詰まりの山際に白っぽい、いかにも保養温泉らしい建物がある。町外れなのでとても静か、そばに池もあって野鳥の姿が濃い恵まれた環境にある。

館内には食堂と畳の休憩用大広間もあって、私好みのゆっくりくつろげるタイプだ。道東ではこの手の長居できる施設は意外に少なく、内地風といえるかもしれない。入口の売店に、昔懐かしいお菓子がいっぱい売られているので、客の年齢層が知れる。かなり昔からあるようで、全体に少し年季が入っているが、掃除が行き届き清潔。

浴室は随分と広々としている。天井も高くて通風が良いので、爽快感に溢れている。20人は優に入れそうな大浴槽と、三角形の小浴槽のシンプルな構成。大浴槽は15L/minほどの掛流しだが、浴槽に比較して投入量が少ないように思う(41℃)。小浴槽のほうが投入量は20L/minと多いので、湯は新鮮だがかなり熱め(43℃)。2.5x5mくらいの黒っぽい石造りの露天風呂も設置されている。こちらは10L/min程度のちょろちょろなので、38-9℃と長湯向きの温め。池が見えて開放感が高い。

僅かに緑色を帯びた透明湯で、微塩味のまろやかな優しい湯。小浴槽のみ微白濁の笹濁りで、湯口ではっきりした硫黄臭が感じられる。ここがつるすべ度(2)が最も大きい。露天は少し緑色が濃いように見えるが、これは底の石が緑っぽいせいかもしれない。茶色の湯ノ花が散見される。浴室に入ったときは、かすかに甘いような匂い(モール臭か?)と、灯油のような軽い油臭を感じたように思うが、すぐに判らなくなってしまった。食塩泉に期待される温もり感よりも、浴後のさっぱり感のほうが印象に残った。先を急ぐのでなければ、昼寝しながら半日ゆっくりしたい優良な日帰り温泉だ。(2001.5.31)

<DATA> しっかりとした掲示がされているのは立派
 中標津保養所温泉 中標津1787-1
 46.5℃ pH=8.4 600L/min(動力)
 Na-Cl弱塩泉 HCO3=58.8 CO3=15.7 HS=tr 総計2.795g/kg
 (S57.3分析)


中標津保養所温泉の外観

中標津保養所温泉の内湯小浴槽
 ちょっと笹濁り

中標津保養所温泉の露天風呂
 湯が緑っぽく見える
 


中標津マルエー温泉「ホテルマルエー」

 調整中のため日帰り15時から 400円 無休

1カ月ほどかけて改装したとのことで、幸か不幸か再開初日の一番風呂であった。以前の写真と比べると、平屋だった浴室部分に3階の張り出し棟が増築されている。浴室は都会型ビジネスホテルと同じ仕様で、情緒のかけらもないもの。浴槽部分は縁の石板が黒みかげに変わっているほかは、マル秘湯の写真と同じ構造。

浮遊性の白色湯花のほかに、沈降性の川海苔様の大きな藻類片が大量に舞っており、試しにちょっとかじってみた。無味でやはり海苔と同じ食感だった。結構いけるかも。浴槽隅の湯面ぎりぎりに排出口が設けられ、湯花をすくい取るようになっているが、あまり効果を発揮していないようだ。

無色透明、微塩味でほぼ無臭、湯口でも硫黄臭は感じられないが、曖昧模糊とした温泉らしい匂いはある。つるすべ度(3.5)はかなり強いが、期待したほどではなくやや拍子抜け。(2001.5.31)

<DATA>掲示表は制作中なので、コピーをもらった
 源泉名記載なし 中標津町西1条北2丁目
 47.6℃ pH=8.8 162L/min(動力)
 含SーNaーCl Fe^2=0.1 HS=2.9 HCO3=120.0 CO3=29.2 総計2.006g/kg


ホテルマルエーの外観
左工事中部分の1階が浴室

ホテルマルエーの内湯浴槽
湯守さんが湯花をすくっている


浜の湯公衆浴場

 A/ 共同湯にしては豪華、温冷浴が楽しいお値打ちの湯
 別海町尾岱沼港町120 TEL/01538-6-2132
 10-2230時 360円 第1・3月曜休 7・8月は無休

戸田旅館・楠旅館の並びにあるが、やや奥まっている*。白っぽい外観でわりと瀟洒な感じ。入口から見ると小さいが、奥行きは随分とある。受け付けには品の良いおばあさんが独りで番をしていたが、終業直前に見知らぬ男が現れたので、ちょっとびっくりしていた。驚かせてすいません、浴室は妙に細長く、浴そうが片側に寄っている。奥の方の大きいのが2号泉、手前の小さいのが1号泉となっている。それぞれ投入量は50、100L/minもあり、景気良くドバドバと掛け流されている。源泉温度から見て、双方の熱交換で温度調整しているように思う。浴槽ではそれぞれ41-42℃、38℃でぬるめの適温になっている。

外には存外に広い露天風呂のスペースがある。これも2号泉と1号泉の浴槽が設置されている。2号泉のほうは浅い・深いの段差がある浴槽で、投入量は60L/minくらい。43℃の熱めになっている。小さいほうは、1号泉の源泉そのままが100L/minも投入される冷水浴槽だ。温冷を交互に漬かると、たいていの疲れは飛んでいきそうに心地よい。男女の仕切部分には水車が設置され、勢い良く回転しているが、これは何の用途だろう?

2号泉は微緑色透明、塩味は中くらい。明瞭な新鮮鉄味がある。露天の湯口ではかすかに油臭を感じたが、それほど特徴ある湯とはいえない。1号泉のほうが面白く、淡褐色の薄い重曹系(?)のモール泉。やや渋い味がする。内湯ではそうでもなかったが、露天の冷たいのはやや強いつるすべ度(3.5)と明瞭なタマゴ味硫黄臭が感じられ、アルカリ性単純硫黄泉といってもいいように思う。ウナベツに色を付けたような感じ。この冷たい源泉浴がえらく気に入ったが、大雨でゆっくり漬かれなかったのが残念至極。こんな豪華な湯に銭湯料金で入るのが申し訳ないような気持ちになる。お値打ちの湯。(2001.5.31)

*パンフには食事処「炉ばた番屋」が併設とあるが、今は空き地になっている。

<DATA> 別表のみ掲示。本表の用意なし
 1号泉: アルカリ性単純温泉 28.4℃ pH=9.3 450L/min(自噴)
 2号泉: Na-Cl 58.5℃ pH=7.8 300L/min(自噴)
 (それぞれ、S57.5、S58.1分析)


浜の湯の内湯
 茶色っぽいのが1号泉

浜の湯の露天風呂
 なかなかの雰囲気


尾岱沼温泉・戸田旅館

 C/ 木製浴室は良いのだが(宿泊)
 別海町尾岱沼港町133 TEL/01538-6-2221
 日帰り不可

白い外観の新築のきれいな旅館。全22室。宿泊料金は8000円・10000円・12000円の3段階で、これは料理の違い。料理自慢の宿という評判だったが、シマエビの漁期にはちょっと早く、カニには遅すぎたので、量は出るが全然大したことはない。ホタテだけは4年物の巨大さで圧倒された。

男女各1の総木製の内湯浴室のみ。黒っぽく湯に馴染んだ木製浴槽の感触はたいへん良い。ただし、むやみに沢山あるシャワーと鏡が、浴室の雰囲気を台無しにしている。だいたい男湯になんで鏡が必要なんだ?浴槽角の太いパイプから熱い源泉が100L/minほどもじゃんじゃん投入されているのは大変景気良いが、大量加水しないと入浴温度にならないのが残念だ。20L/minくらいに絞っても充分じゃないのかな?

湯は淡黄褐色の中塩味。薫製のような軽いモール臭があるが、ほとんど無臭。僅かにつるすべ度(1)を感じる他は、あっさりした特徴のない湯というしかない。(2001.5.31)

<DATA> 掲示なし、忙しそうだったので分析表の所在は聞けなかった。
 尾岱沼(戸田旅館)源泉 Na-Cl 50℃? 詳細不明


戸田旅館の浴室
 深い木製浴槽はたいへんな貫禄だ
 


清乃湯公衆浴場

 AA/ 清潔な共同湯、泡々の高貴なモール泉
 別海町別海西本町
 15-21時 360円 日曜休

国道243と道道8の交差点付近にあるが、1本裏道なので気付かないだろう。海老茶色の地味で小さい外観なので、全く目立たない。新しい建物でたいへんに清潔だ。近くの別海町交流センター「郊楽園」のほうが有名なので、こちらはひっそりしている。午後4時の銭湯タイムだったが、お客は他にだれも来なかった。受け付けのおばさんも暇そう。

内湯1個のみの極めてシンプルな浴室。例によって窓が少ないので、換気はあまり良くない。2x4mの浴槽には、湯口から源泉のままが100L/min以上もドバドバ投入されている。源泉温度がちょうど温めの入浴温度なので、とびきり新鮮な湯を贅沢に堪能できる。泡付きが良い湯で、湯の表面に大きなあぶくが浮いているほか、湯の流入するあたりが気泡で白く濁っているように見える。湯口を浴槽内に設置したら、もっと泡付きの良い湯になるだろう。

浴室を開けたとたん、スコッチウイスキーのような高貴かつやや硬質なモール臭に包まれる。油臭や硫黄臭は伴わないので、これが純粋なモール臭なのだろうかと思う。湯は赤みがかった褐色の透明。アールグレイのような濃色系の紅茶を連想させる。ただし味は、弱塩味のほかに薬っぽい重曹味と鉄味もする意外に複雑なもの。pHが低いせいかつるすべ度は限りなく(0)に近く、泡付きを除く浴感はあまり豊かではないが、誰もいないときにもこんな湯が滔々と溢れているかと思うと、愛しい気持ちにさせる佳品だ。(2001.5.31)

<DATA> 立派な分析表が掲示されているほか、アジア五カ国語の入浴心得があって面白い。
 清乃湯温泉源泉
 41.5℃ pH=7.7 420L/min(動力)
 Na-Cl弱塩泉 K=59.4 Ca=49.4 Fe(II)=0.4 HCO3=527.8 CO3=tr 総計6.217g/kg 


清乃湯の全景
 喫茶店みたいな外観

清乃湯の内湯
湯の落ちるあたりの白濁は細かい泡のせい


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