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山梨の湯巡り9 [1] byうつぼ



■鶴の湯温泉「馬頭館」

(東京都奥多摩町、時間要問合せ、1,000円(タオル・茶菓付)、0428-86-2151)
http://www.okutama.gr.jp/kojin/stay/batoukan/index.html

奥多摩の鶴の湯温泉は、南北朝時代の延文年間(1356〜61)以来650年の歴史をもち、江戸時代には武州多摩原村温泉と呼ばれ、小河内ダムの完成により奥多摩湖の湖底に沈むまで、湯治場として栄えてきたといいます。

「その昔、弓矢で射られて傷ついた一羽の鶴が、崖から湧出する温泉に身を浸して傷を癒し、元気に飛び去ったのを見て初めてその効験を知り、人々が浴する様になり「鶴の湯」と呼ばれるようになった」と伝えられています。

長らく湖底に沈んだ”幻の温泉”と云われてきましたが、平成3年、水没した「シカの湯、ムシの湯、ツルの湯」の3源泉を合流し、湖底からポンプで汲み上げて「鶴の湯温泉」として復活。奥多摩湖畔の旅館や販売所にタンクローリーで配湯されています。

源泉はR411青梅街道「鶴の湯トンネル」の西側にあり、タンクローリー用の給湯施設の他に、観光客用に源泉が流されています。ぬるめでヌルすべ感があり、しっかりとした甘いイオウ臭とたまご味のする存在感のある源泉です。
   
鶴の湯温泉を使用している宿はけっこうありますが、ネット情報でよさそうだったここにしました。R411青梅街道、奥多摩湖に架かる峰谷橋を渡ってすぐを右折し急な坂道を登ってすぐ。コンクリ造箱形の建物ながら、玄関まわりは重厚な造りで雰囲気があります。

浴場は玄関を上がらずに裏手にまわったところ。檜風呂(檜造1.2人)と大風呂(タイル貼3.4人)が別棟でありハダカ移動不可。どちらかの入浴で、両方チェックしましたが湯面からイオウの気配が感じられた大風呂にしました。空いているときは家族で貸し切りができるようです。

奥多摩湖と湖を渡るドラム橋(浮橋)を見下ろす小さいながらも明るい浴室に、味のあるタイル浴槽がひとつ。
赤茶に色づいた石の湯口から熱湯を投入で他に側面注入あり。側面吸湯ありオーバーフローなしの循環仕様。カラン4、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。土曜14時で独占。カランはぬる湯に調整するとほこほことした味になるので、一部温泉使用かも。

かすかに白濁したお湯には少量ながら白い湯の花がただよい、よわいヌルすべのあるやわらかなお湯。湯口でかすかなタマゴ味?。甘いイオウ臭がうっすらと湯面で香りびっくり。湯口ではイオウ臭は感じられなかったので、注入湯が源泉かもしれません。熱湯のせいもありますが、えらくあたたまるお湯です。

成分の薄い源泉のローリー&循環湯とは思えない満足度の高いお湯で、よほどお宿の湯づかいがうまいのでしょうか。奥多摩というと、どうも薄い源泉のバリ循ゲキ混み湯を連想してしまい、なかなか足が向かないのですが、予想を上まわるいいお湯でした。

単純硫黄温泉(Na-(CO3)・HCO3型) 30.2℃、pH=9.68、370L/min掘削揚湯、成分総計=0.341mg/kg、Na^+=87.5mg/kg (98.76mval%)、F^-=2.4、Cl^-=11.0 (8.07)、HS^-=4.6、HCO_3^-=64.7 (27.60)、CO_3^2-=52.2 (45.31)、陽イオン計=88.8 (3.85mval)、陰イオン計=156.5 (3.84mval)、メタけい酸=96.0、硫化水素=---- <H3.7.1分析>

〔2004年9月レポ〕


「馬頭館」の玄関

「馬頭館」の檜風呂

「馬頭館」の大風呂

鶴の湯温泉の源泉


■金山鉱泉「山口館」

(大月市、10:00〜16:00(時間確認要)、500円、0554-22-3398)

大月周辺には興味をそそられるお湯は少ないですが、ここはなんとなく気になっていました。中央道「大月」ICからだと、東京方面に戻り、中央本線を跨ぐ「私立病院」信号の立体交差の側道を左に入り、新大月橋を渡って道なりに県道512金山大月線に入ります。 浅利川沿いの道を2〜3q走り橋倉鉱泉への道を左に分けると俄然道が狭くなり、直前1qほどはすれ違いもままならない荒れた舗装路となるので、山道の運転に不慣れな人はきびしいかも。

山梨百名山、雁ケ腹摺山の登山口の少し手前の道沿いに「山口館」があります。前の道はほとんど車通りがなくいたって静かで深山の秘湯の趣。明治35年開業の歴史をもつ7室のこぢんまりとした山の宿で、道を挟んで土沢の清冽な渓流が流れ下っています。

宿のパンフによると、「金山鉱泉は、戦国時代、武田家の隠し金山で、金鉱採掘に従事した人々を療養させたと云われ」、いわゆる”信玄の隠し湯”とのこと。廊下の奥、階段を数段のぼると男女別の浴室。手前の浴室に入りました。男女湯とも総木造(檜?)1.2人の小さな浴室なので、貸切(家族風呂)にすることが多いようです。

岩組みから突き出た茶色の析出付の竹筒から30L/minほどの熱湯投入で、側面注入&側面吸湯がありますが、これは追い焚き用かと思います。浴槽横の切れ込みからの流し出しもあり、加熱半かけ流しかも?カラン2、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。お盆時期12時で独占。冷水カランはカルキ臭なく、源泉使用かも?

やや熱めのお湯は、かすかに微濁し白と茶色の浮遊物あり。湯中にこまかな気泡が舞っていますがアワつきはほとんどなし。ほぼ無味無臭でわずかにキシキシとした湯ざわりがあるやわらかなお湯で、熱湯のせいもありますがよく温まります。分析書の掲示はなく帳場にもなし。パンフに記載の分析書(現地では見当たらなかった)によると、温度12℃、硫化(水)素中量、硫酸中量・・・とあります。

さして個性のあるお湯ではないですが、カルキ臭もないし、かなり温まるし、独占できればけっこう趣ふかいお湯ではないでしょうか。渓流沿いで紅葉がよさそうなので、秋が深まったらまた再訪してみたいです。

〔2004年10月レポ〕



( 10月 5日やませみさんからコメント)

金山鉱泉は、山梨大学による1981.10分析で以下のように記載されています、
  泉温12.8℃(気温12.0℃) pH=9.62 - L/min
  Na=45.8 K=0.27 Mg=0.41 Ca=3.1 Fe(II)=0.037
  Cl=11.5 SO4=23.0 HCO3=76.45 H2SiO3=52.0
 

「山口館」の外観

「山口館」の手前の浴室

「山口館」の奥の浴室

けっこう溢れています


■田野鉱泉「大和村福祉センター 田野の湯」

(大和村、9:00〜16:00、600円(村外)、0553-48-2747)
http://www.vill.yamato.yamanashi.jp/welfare/days.html

山梨の湯巡り6でレポしたやまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」の手前にある公共施設が日帰り開放しています。かつて田野鉱泉にあった数軒の鉱泉宿はいずれも廃業し、そのうちの1軒の跡地に建設されたもの。

道路沿いに日帰り入浴の看板を出し、受け入れにも積極的なようですが、入浴時間が16時までなので要注意。 典型的な公共系福祉施設ながら、B1階の浴室まわりはわりあいに雰囲気よくまとめられています。

男女別の浴場には、内湯(黒みかげ石枠タイル貼12人以上、ジェット×2付)と露天(岩組鉄平石敷4人、軒下タイプ)。露天からは日川対岸の山々の緑が望め、風も通ります。カラン3、シャワー・シャンプー、ドライヤーあり。お盆時期14時で独占〜2人とゲキ空き。

内湯は白く変色した石の湯口からの大量投入で、軽い底面吸湯 or 自然流下のようですがけっこうな量のオーバーフローもあります。湯口のよこにホースが繋がれたカランがあってやや冷たい水(たぶん源泉)が出ます。露天は岩の湯口から大量投入でこちらも軽い底面吸湯 or 自然流下ありでオーバーフローなしの循環仕様。

適温のお湯は、無色透明でカルキ臭(露天のほうが強い)。強い浴感はないものの、アルカリ性らしいヌルすべが感じられ、浴後は涼やかな爽快感の高いお湯。カラン(ホース)から出る源泉は冷たく、たまご味+甘いイオウ臭&ヌルすべはアルカリ性の硫黄泉を感じさせるすぐれもの。夏場なら加熱しなくても入れそうな温度なので、源泉槽がほしいところです。

鼻をつくカルキ臭がどうにも邪魔ですが、福祉センターという施設の性格と年齢高めの客層を考えるとやむをえないところか・・・。個人的には、ここより料金は高くて混みますが、源泉槽のあるやまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」のほうがおすすめかな。

掲示されていたT教授の解説によると、「(田野鉱泉は)明治期より湯治場として利用され、22.1℃、pH=10.3、53L/minの自然湧出泉を使用」とのこと。また、玄関に掲示の「鑛泉定量分析試験成績書」(昭和12年)によると、硫化水素臭を有し、無色無味アルカリ性反應を呈する。蒸発残留物=119mg/L、硫酸曹達=0.0212、炭酸曹達=0.0358、硫化水素=0.0002、珪酸(メタ)=0.0209(単位不明たぶんg/L)で、なぜか「硫黄泉に属するものと認む」とされています。

〔2004年10月レポ〕



(10月 5日やませみさんよりコメント)

田野鉱泉は、やはり山梨大学による1978.03の石川館源泉の分析では、
  泉温20.6℃(気温10.0℃) pH=9.30 13.4 L/min
  Na=32.8 K=0.38 Mg=0.004 Ca=0.00 Fe(II)=0.00
  Cl=2.52 SO4=11.0 HCO3=95.01 H2SiO3=42.7
硫化水素の分析はされていません。
(10月 6日うつぼからお返事)

金山鉱泉、田野鉱泉の成分データありがとうございました。
金山はデータ上は温泉に該当(規定泉:メタけい酸=52.0mg/kg)なんですね。
田野は、源泉ホースでは温泉法規定の総硫黄1mg/kgはありそうな気配がありましたがどうでしょうか。
 

「大和村福祉センター 田野の湯」の外観

「大和村福祉センター 田野の湯」男湯内湯

「大和村福祉センター 田野の湯」の男湯露天
 


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