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諏訪・佐久の湯巡り [4] byうつぼ



稲子湯から海ノ口に降りる途中に温泉施設があったので偵察しました。道端に木造りのけっこう立派な小屋があり、大きさからするとなかに浴槽があるかも?(当然施錠で内部不明)。小屋の横には足湯らしきものがあり、塩ビパイプが差し込まれていますが止まっていました。

小屋の壁の掲示によると、名称は松原湖高原カラマツの湯(仮称)、Na・Mg・Ca-炭酸水素塩温泉(中性低張性高温泉)で泉温45.2℃。適温の含土類重曹泉とはいかにも良さげですが、源泉に触れられなかったのは残念。

カラマツの湯

カラマツの湯の足湯?




■海ノ口温泉(鹿の湯)「鹿の湯旅館」
        
(長野県南牧村、時間要問合せ、550円、0267-96-2820)
http://www.ytg.janis.or.jp/~nobeyama/yado/type/16sikanoyu/index.html

R141から北側に少し入った8室のこぢんまりとした一軒宿。ふつうは海ノ口温泉に含まれていますが、独自源泉を持っており、詳しい地図では”鹿の湯”として独立した温泉マークがついています。

国道からの入口は狭いものの、看板が出ているのですぐわかります。ここも国道から少し入っただけなのに山深い雰囲気。庭先ではニワトリが遊んでいました。何ということもない民家風の建物ながら、館内はとてもきれいに手入れされていて居心地がよさそう。浴場の手前にきっちりと温泉分析書原本のコピーが掲示されているのも好感がもてます。

階段をのぼった奥に男女別の浴室があります。窓の小さい暗めの浴室に、石造3〜4人の小ぶりの浴槽がひとつといたってシンプル。カラン3、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。平日14時で独占。

木の湯口から投入で、底面吸湯ありオーバーフローなしの循環仕様。やや熱めのお湯は、無色透明で弱重曹味無臭。弱いながら重曹泉系のツルすべがあり、やわらかで入り心地のいいお湯です。遊離炭酸=277mg/kgなので非加熱源泉に浸かりたいところですが、泉温13.6℃は夏場でもさすがにキビシイかな?

正直、さほどインパクトのあるお湯ではないものの、ご主人は親切そうな方で、とても落ち着いた雰囲気があるので、ゆったりと滞在するにはいいお宿かと思います。

Na-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉 13.6℃、pH=6.7、湧出量不明、成分総計=1871mg/kg、Na^+=321mg/kg (69.00mval%)、Mg^2+=43.4 (17.65)、Ca^2+=46.9 (11.57)、Fe^2+=0.1、Cl^-=179 (23.64)、SO_4^2-=47.1、HCO_3^-=884 (71.43)、陽イオン計=425.2 (20.23mval)、陰イオン計=1102 (20.29mval)、遊離炭酸=277、メタほう酸=28.6 <H元.11.17分析>

●ご主人の話だとやはり独自源泉、この近くの温泉宿はだいたい独自源泉をもっているとのことです。

〔2004年9月レポ〕


「鹿の湯旅館」の玄関

「鹿の湯旅館」の男湯


■海ノ口温泉「ホテル湯沢館」

(長野県南牧村、時間要問合せ、500円、0267-96-2116)
http://www.cconsult.co.jp/YUZAWAKAN/

海ノ口温泉には数軒の宿があり、たぶん一番奥にある温泉宿です。駐車場脇に源泉らしき赤茶に色づいた岩の湯口(傍らに石碑あるも読みとれず)があって、ぬるいお湯がザコザコ流されていましたが、あまりにも無造作に流しているので「排湯かも?」と疑い、味も臭いも確認しなかったのは失敗でした。後で確認すると、やはり源泉のようです。

客室31室とかなり大きな旅館ですが、何となく活気が感じられなかったのは訪れた時間のせいかな? 長い廊下を渡った奥に、男女別の浴室があります。露天はないですが、広い窓越しに日本庭園がひろがるなかなか味わいのある浴室。浴槽は、主浴槽(石枠タイル貼10人以上、熱め)、ジャグジー槽(同4人、ぬるめ)の2槽。
カラン5位、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。平日15時で独占。

主浴槽は、ジャグジー槽からの流れ込み+側面注入で底面吸湯ありオーバーフローなしの循環仕様。ジャグジー槽は、赤茶に色づいた岩の湯口の奥で2系統のパイプから出る熱湯とぬる湯を混合。湯口のそばにはコップがおいてありました。主浴槽への流し出しとオーバーフローがあって、流路は赤茶色に変色しています。

お湯は、主浴槽とジャグジー槽で全然ちがいます。主浴槽は、ほぼ無色透明で無臭。あまり温泉らしさは感じられません。対するジャグジー槽のお湯はとても個性的。緑茶色ささにごりで弱塩味+重曹味+旨味+弱金気味+微炭酸味の複雑な味は、群馬の滝沢温泉の露天飲泉所に似た感じ。

金気臭と焦げ臭があり、ほてらずに肌にしっとりと馴染んでくるような上品な浴感。キシキシとツルすべが複雑に入り混じる湯ざわりで、浴後は充実した爽快感に包まれます。かなりの濃度感があるので、成分総計は千や2千のレベルではないような気がしますがどうかな?

長野県が今年7月に実施したアンケート調査によると、第1浴槽が30%程度加水、常時加温の浴槽内循環。第2浴槽が源泉100%加温なしのかけ流しとあるので、おそらく、第1浴槽が主浴槽で第2浴槽がジャグジー槽かと思います。

個人的にはかなり好みのお湯で、とくにジャグジー槽の湯口の鮮度感には感心しました。惜しむらくは、お湯のいいぬる湯槽のジャグジーがうっとうしいこと。どうしてもジャグジーが要るならば主浴槽に置き、ジャグジー槽は注入なしの源泉ぬる湯槽にすれば、このすばらしいお湯をしずかにゆったりと味わえるのですが・・・。

それでもかなり個性的なお湯なので、近くを通ったら立ち寄りをおすすめします。とくに駐車場よこの源泉は一見の価値ありです。

館内には簡易掲示のみで、含食塩重曹泉とのこと。ネットで調べてみると、どうやら泉温30℃台のNa・Ca-炭酸水素塩・塩化物温泉(低張性中性温泉)のようです。

〔2004年9月レポ〕


「ホテル湯沢館」の外観

「ホテル湯沢館」の男湯

「ホテル湯沢館」の男湯のジャグジー槽

「ホテル湯沢館」の源泉


■八ヶ岳海尻温泉「灯明の湯」

(長野県南牧村、10:00〜21:00、800円、0267-91-4111)
http://www.cconsult.co.jp/toumyou/

このエリアでは数すくない日帰り施設。以前入ったときの個性的なお湯が印象に残っているので再訪しました。たしかONKEN21さんのレポがあったかと。畑のなかに民芸調の重厚な外観はなかなか味があり、館内も民家風の木を活かした渋いつくりで好感がもてます。

男女別の浴場は、内湯(石枠タイル貼15人位、適温)、ジャグジー槽(同1人、ぬる湯)に露天(岩組鉄平石貼10人、適温)という構成。連れによると女湯には桶風呂があって、ここのお湯はなかなかすぐれモノだったようです。露天は、塀に囲まれていますが風は通り、背伸びすると見慣れない形をした八ヶ岳東面が望めます。カラン5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。平日16時で2〜6人と空いていました。

内湯は、岩の湯口からぬる湯(源泉?)を10L/minほど投入+熱湯の底面注入で、窓側側溝への上面排湯(他に槽内排湯もあるかも)。ジャグジー槽は、岩の湯口からぬる湯(源泉?)を少量投入で少ないながらオーバーフローあり。お湯の鮮度感は高く源泉かけ流しかと。(長野県のアンケート調査によると、源泉100%加温なしのかけ流し)

露天は、岩の湯口から熱湯を投入で、上面排湯口からの排湯+かすかな底面吸湯?。露天まわりには石灰華の析出が盛大に出ています。すべての湯口は赤茶色に色づいているので、除鉄はしていないのでは?

内湯と露天のお湯は、かすかに黄色がかった透明(内湯は水色のタイルなので綺麗なうすグリーンに見える)で茶色の浮遊物があって無臭。(内湯ではごく軽い薬品臭) ジャグジー槽は、無色透明で湯口では弱塩味+弱重曹味+旨味+弱金気味があって海ノ口温泉に似ています。弱いながら墨系のアブラ臭とガス臭が感じられました。

ここもキシキシとツルすべが微妙に入りまじる湯ざわりで、ほてりのない上品な浴感。重曹泉らしい浴後の爽快感はすぐれものです。なんといってもジャグジー槽が秀逸で、この日は空いていて入り放題だったのはラッキー。このエリアで800円は高いですが、個性的なお湯をのんびりとした雰囲気で楽しめる良質な施設かと思います。(HPに100円割引クーポンあり)

Na・Mg-炭酸水素塩・塩化物温泉 32.1℃、pH=6.8、37.5L/min掘削自噴、成分総計=3435mg/kg、Na^+=477.2mg/kg (55.59mval%)、Mg^2+=154.5 (34.04)、Ca^2+=45.5 (6.08)、Fe^2+=1.5、Cl^-=326.4 (24.56)、HS^-=0.01、HCO_3^-=1712 (74.84)、陽イオン計=735.5 (37.34mval)、陰イオン計=2049 (37.50mval)、メタけい酸=92.3、メタほう酸=80.6、遊離炭酸=478.0、硫化水素=0.02 <H8.10.28分析>

●HPには、「八ヶ岳の硫黄岳から流れる湯川渓谷に古くから涌き出る温泉を利用しました。(中略)温泉の効能成分を損なわないため直接ボイラーで沸かさず熱交換方式により加熱しております。また、24時間新しい源泉を毎分40リットル補充していますので常にフレッシュな温泉にご入浴いただけます」とあり、湯づかいにも気を使っているようです。

〔2004年9月レポ〕


「灯明の湯」の外観

「灯明の湯」の男湯内湯

「灯明の湯」の男湯露天

「灯明の湯」の男湯ジャグジー槽


■リゾート色の強い八ヶ岳山麓、歴史や文化の香り高い諏訪、素朴な一軒宿の佐久とそれぞれ趣が違い、泉質も多種多様な諏訪・佐久エリア。温泉大国信州では比較的地味ですが、バラエティに富んだ湯巡りが楽しめる面白いエリアではないでしょうか。


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