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常磐の湯巡り [6] byうつぼ |
■カンチ山鉱泉「富士屋旅館」 いわき市内に潜む秘湯。R6常磐バイパス「住吉」交差点を東に折れて、すぐのT字路信号を右折(県道66)します。少し走るとY字路があるので斜め左に行き最初に出てくる歩道橋の交差点を左折。立派な道をしばらく走ると左手の奥まった斜面に看板があります。 廊下の奥に浴室が2つあり、空いている方に適宜案内しているようですが、行ったときは両方とも空いていて奥の浴室へ。こじんまりとした浴室には、1人入ればいっぱいの古びたタイル貼浴槽がひとつ。壁面には富士山と鯉のきれいなタイル絵がはめこまれています。 適温のお湯は、緑褐色で透明度50cmくらいのにごり湯。茶色の浮遊物がたくさんただよっています。微重曹味で湯の網温泉「鹿の湯松屋」に似た漢方薬を思わせる苦っぽいような独特な薬臭。からだに染み渡るような浴感があって、入るほどに気持ちが落ち着いていくようないいお湯です。温まり感はさほど強くはありませんが、浴後なかなか冷めません。 浴後、女将さん?と少し話しをしました。薪焚きなのでお湯がやわらかいとよくいわれる。”カンチ”とは、地元の方言で”やけど”のことで、とくに皮膚病関係に特効があり、アトピー治療で滞在する人もいるそうです。 いわき周辺にはこのような小規模な鉱泉がたくさんありましたが、近年、廃業の動きが目立っているようです。入った限りではどれも味わい深い魅力をもっているので、何とか頑張って続けていって欲しいものです。 分析表なし、鉱泉? |
![]() 「富士屋旅館」の外観 |
![]() 「富士屋旅館」の浴室 |
![]() もうひとつの浴室 |
■神白(かじろ)温泉「国元屋」 小名浜港にもほど近い丘陵地にある明治16年創業の歴史ある温泉旅館。R6常磐バイパス「住吉」交差点を東に折れて県道26(小名浜環状)に入り立派な道路を2kmほど走り、左手に看板がある交差点を左折。あとは看板に従います。 浴室はこじんまりとして、タイル貼4.5人の浴槽がひとつ。カラン3、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。休日11時で独占〜2人。女湯も何人かいたようで、日帰り客がけっこういそうです。 やや熱めのお湯は、黄色がかって微濁し茶色の湯の花がただよっています。微重曹味にイオウの残留臭があり、源泉カランでは甘いイオウ臭が明瞭に香ります。かなりはっきりとしたツルすべのある入り心地のいいお湯。飲泉所の水にも微重曹味と甘いイオウ臭が感じられました。ここは古くから「胃腸の名湯」として知られていたようです。 宿の佇まいもいいし、お湯にもけっこう特徴があるので寄ってみる価値はあるかと思います。 Na-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉 12.4℃、pH=8.8、自然湧出湧出量不明、成分総計=1.326g/kg、Na^+=411.1mg/kg
(96.65mval%)、Cl^-=284.1 (42.52)、HS^-=0.7、SO_4^2-=242.3 (26.75)、HCO_3^-=305.5
(26.59)、CO_3^2-=21.7、陽イオン計=424.3 (18.50mval)、陰イオン計=855.8 (18.84mval) <H2.4.6分析> |
![]() 「国元屋」の外観 |
![]() 「国元屋」の男湯 |
■志保の湯温泉 その後、小名浜で魚市場を見て、またしても魚を食べてからR6〜R289と経由して阿武隈山地に入りました。 塙町東部の山あいにある8室のこぢんまりとした一軒宿。文明18年(1486年)、この地を訪れた粟田道興法親王が”志保の湯の山”と詠み込まれていますので、相当に歴史は古そうです。 浴室は大小ふたつありますが、この日は小さい方が男湯。二面採光の明るい浴室には、冷たい源泉槽(タイル貼2.3人、打たせ湯付)とやや熱めの加温槽(タイル貼2人)があります。源泉槽は、源泉の打たせ湯(29℃、かなり高さあり)投入でオーバーフロー。加温槽は、側面注入でこちらもオーバーフローがあり、ともに源泉かけ流しかと思います。カラン2、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。休日14時で独占〜2人。 お湯は、無色透明で微石膏味に微石膏臭+ほのかな甘いイオウ臭?かなり明瞭なヌルすべがあり、加温槽ではかすかにアワつきもありました。 源泉使用の本格的な冷温交互浴が楽しめますが、源泉槽はかなり冷たいので冬場はきびしいかも。浴感おだやかなお湯で、ロケーションも落ち着いているのでのんびりじっくり入る湯治向きのお湯かと思いました。 分析表は2種類ありました。 |
![]() 志保の湯温泉の外観 |
![]() 志保の湯温泉の男湯 |
![]() 志保の湯温泉の女湯 |
■湯岐(ゆじまた)温泉「岩風呂(共同浴場)」 志保の湯からもほど近い湯岐温泉は安土桃山時代、天文年間の開湯伝承をもつ歴史ある温泉場です。山あいの盆地のようなところに3軒の宿が点在しており、どこも自炊ができる湯治宿のようです。たぶん温泉集落なんでしょう、隠れ里のような好ましげな佇まいをみせています。共同浴場は「山形屋」のそばにあり、入浴も「山形屋」で受付しています。 共同浴場は混浴で浴室のすぐよこに脱衣所があります。目隠しがないので慣れない女性はキビシイかも。加温槽 (2人、適温)と源泉槽(7.8人、ややぬるめ)の2槽があり、自然の岩とタイルを組み合わせた異色の浴槽。 お湯は、無色透明で微石膏味に微石膏臭。弱いぬるすべがあり包み込まれるようなやさしい湯ざわり。薄いながらほこほことした浴感があって身体が軽くなるような快感度の高いお湯。これは名湯かと。量はさほど多くはないですがアワつきもあります。 ここは湯治場の雰囲気とあわせてゆったりと味わうお湯のような気がします。年をとったら泊まってみたいと思いました。 単純温泉 39.8℃、pH=9.8、湧出量不明、成分総計=0.1452g/kg、Na^+=25.2mg/kg、Cl^-=6.5、HCO_3^-=26.9、CO_3^2-=33.8、HSiO_3^-(ヒドロメタけい酸イオン)=38.0 <H6.9.27分析>
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![]() 湯岐温泉「岩風呂(共同浴場)」の外観 |
![]() 湯岐温泉「岩風呂(共同浴場)」の浴槽 |
その後、大子、袋田など奥久慈の温泉エリアを抜けて帰りましたが、さすがに疲れたのと時間切れでまたの機会にしました。温泉地としては語られることの少ない常磐エリアですが、味わい深いお湯がたくさんありました。魚も美味しいし、空いてるし、充実した湯めぐりが楽しめるのではないでしょうか。
最後に今回行きたかったのですが未湯に終わったいわき周辺のお湯を付記しておきます。 |