イオン重量の計算方法

重炭酸第一鉄のイオンの例をとりあげます。重炭酸第一鉄は、下の式で表すように、鉄(II)イオン(陽イオン)と炭酸水素イオン(陰イオン)に解離します。

   重炭酸第一鉄 Fe(HCO3)2  →  鉄(II)イオン Fe2+  +  炭酸水素イオン 2(HCO3)-

重炭酸第一鉄のうち鉄(II)イオンと炭酸水素イオンの重量比が分かれば、もとの重炭酸第一鉄の重量が分かっているので、イオンの重量が分かります。重量比は物質の分子量の比から計算します。分子量とは、その物質を構成する原子量(炭素C原子の質量を12としたときの各原子の質量)から計算します。

具体的には重炭酸第一鉄 Fe(HCO3)2は、Fe(1つ)、H(2つ)、C(2つ)、O(6つ)で構成されています。その分子量は、以下のようになります。

   Fe(HCO3)2    55.85 + 1.01 * 2 + 12.01 * 2 + 16.00 * 6 = 145.89

鉄(II)イオン Fe2+は、Fe(1つ) で構成され、炭酸水素イオン 2(HCO3)-は、H(2つ)、C(2つ)、O(6つ)で構成されます。イオンになると元の原子から電子が増減しますが、電子はあまりにも軽いので電子の重さは無視できます。分子量は、以下のようになります。

   Fe2+        55.85
   2(HCO3)-     1.01 * 2 + 12.01 * 2 + 16.00 * 6 = 90.04

鉄(II)イオンと炭酸水素イオンの重量比は、55.85 : 90.04 すなわち 38% : 62%  という割合になります。もとの
重炭酸第一鉄は 24.00mgなので、鉄(II)イオンと炭酸水素イオンの重量は以下のとおりとなります。

   Fe2+        24.00mg * 38% = 9.19mg
   2(HCO3)-     24.00mg * 62% = 14.81mg


各元素の原子量
元素 H O C S Na Mg Ca Al Fe Cl Si K
原子量 1.01 16.00 12.01 32.07 22.99 24.31 40.08 26.98 55.85 35.45 28.09 39.10


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