1996年8月4日

〜1996年〜



暑い夏
この年の夏はとても暑かった。気温もさることながら仕事もとても熱かった。 梅雨が終わる頃から多忙を極め、年が変わってしばらくするまで生きた心地が しないぐらい忙しかった。毎朝PCの電源を入れると深夜2時以降に 飛んできた数十本のメールを読む事から仕事が始まる。一本一本がとても重要な 内容で対応するのに相当な時間がかかる。全部処理し終えるとだいたい夕方になり、 その日やらなければならない本当の仕事が夕方から始まって深夜までかかる。 そんな日々を延々と過ごしていた。 メールは数が増えてくると大変だ。読むのも大変だが、メールを読んで対応を終え、 次々にメールを読んでいくと少し前のメールの対応が必要なかった事に気がつく事も あったりする。受信したメールはざっと全部読み、一通り頭に入れてからパズルを 紐解くように整理していく必要がある。毎朝メールを受信し、画面にメールの受信数が カウントされていくのを見るのがとても憂鬱だった。 便利さが過ぎると面倒が増えると実感したものだった。

しかし、負けないのだ!

◇ ◇ ◇

さようなら、寅さん・・・
1996年8月4日。寅さんが天国に旅立った。この事実を知ったのは数日後に 海外に行く飛行機の中だった。ここ数年の映画の中の寅さんは明らかに以前と違っていた。 声もかすれておかしい。年に二本公開していた映画が数年前から一本になり、 寅さんも歳をとってしまったと思っていたが、まさか病に冒されているとは 思いもしなかった。激務でテレビすらまともに見る暇のない私は、追悼番組や ニュース番組などもほとんど見る事ができず、とても悲しかった。 この事はずっと後になっても悔やまれてならない。寅さんの映画を一本一本 集めるようになったのはこの翌年からの事だ。

さようなら、寅さん。そして人生の新たな楽しみをありがとう。



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