■学生生活の終わり
東京の学校に進学してからアルバイトに時間を使い過ぎて、あまり勉強はしていなかった。
そんな中でこれからいよいよ就職活動だ。
とうとう俺も就職か。やだなぁ・・・。自然とそんな思いが頭を駆けめぐる。
これから自分で会社を見つけ、スーツとネクタイ姿で就職試験を受けて面接をする。
考えただけでも憂鬱になる。自分がネクタイとスーツを着て仕事をする姿がイメージできず、
考えるととっても不安になった。
就職と言えば以前見たTBSドラマ「ふぞろいの林檎達」が思い出される。
今でもサザンの歌を聞くだけで当時の記憶が蘇る。茅ヶ崎市から来てるから「チガサキ」、
大和市から来てるから
「ヤマト」、キザな顔つきをしてるから「キザオ」、「やっぱさぁ」が口癖なので
「ヤッパサ」。何故か「バカボン」と呼ばれてるヤツ。みんなニックネームで
呼び合い楽しく遊んだものだった。そんな関係もいずれ就職してバラバラになれば
簡単に会えなくなるに違いない。そう考えると寂しく思えて仕方がない。
それからしばらくして学校に来ていた求人票から1社を絞り、試験を受ける事になった。
しかし運の悪い事にその時に限って昼間っから山手線が故障で止まってしまって大幅に遅れ、
さらに駅に降りてから会社の場所が分からず、もたついている間に見事に試験に遅刻
してしまった。汗だくになって走って試験会場に行くと白い目で見られ、言い訳などは
全く通用しない雰囲気。時間の約束はたっぷり余裕を持たないといけない。その時
初めて時間を守る厳しさを学んだ。結局その会社は予想通り不合格だった。
そして2社目。1社目の不合格の経験を活かして時間にたっぷりと余裕を持ち、試験に
臨んだ。そして合格。この会社に就職する事が以後の自分の人生に大きな影響を
及ぼす事になろうとは、この時は知る由も無かった。年が明けた3月、学生生活の
終わりを告げる最後の卒業式に出席する為、私は仲間と共に九段下の日本武道館に
向かっていた。