木津川、宇治川、桂川の三大河川が合流し、淀川になる「淀川三川合流部」は、日本でも希な巨大自然風景を創っています。周囲に目を移せば、南に歴史的自然環境保全地域に指定された男山、北西に天王山の緑が対峙しています。この地域はも古くから陸上交通はもとより水上交通の要衝の地として栄え、南北朝の乱、山崎の合戦、鳥羽伏見の戦いなどの歴史の舞台ともなりました。
また一方で、美しい自然の恵みや経済活動を支えてきてくれた木津川ですが、それは川の付け替えや背割り堤の築堤など、デ・レーケなど世界の知恵を借りながらの「水と人との知恵比べ」の場でもありました。今は、多くの野鳥や魚たちがここに住む巨大な自然空間となっており、京阪沿線上のにおいても、唯一の緑の固まりで、そこに漂う空気の質さえ変えています。いまここを交流拠点として、いろんな人が交わる公園化の動きがあります。そこで、どんな公園をめざすのか、そのシンボルづくりに一つの提案をするものです。
★タワーの考察
1.シンボル施設の考え方
(1)シンプルであること
巨大な自然空間に作られる施設は、近代的なものほど、その情景を台無しにするものです。機能的でシンプルな形の中にこそ「美しさ」があり、愛される形ではないでしょうか。シンプル・イズ・ベストです。それは奇抜な施設が多くの維持管理費を要するのに比べて、シンプルは 最小限の維持管理費 で済むと効果があります。
(2)郷土とのつながり
永く施設が愛されるには、一つに希少性や世界の有名施設の名声にあやかるという方法があります。しかし、それには、そこにあって不思議でないもの、つまり、郷土の歴史や伝説といったものとの深いつながりなど、その施設の存在理由を明確にできることが不可欠といえます。また、そこを訪れる人々の心の旅情をくすぐることが必要です。
(3) 人が集うところ
人が集うところとは、どんなところでしょうか。一つに 火のあるところ(焚き火・光)、二つに 水のあるところ(小川・噴水)があげられます。水に関わりを持ち、光 をコンセプトに することを提案します。
2.光のタワー
なぜ「光」なのかでしょうか。1 8 8 0年、発明王エジソンは八幡の竹を白熱電球のフィラメントに使って実用化に成功しました。「光」は八幡から生まれたのです。 光のタワー「灯台」のあるまちが、これから提案する三川合流部におけるシンボル施設です。
(1)なぜ「灯台」なのか
灯台は、光そのもの 。エジソンが八幡の竹を使って世界に灯した光。八幡市は光と切っても切れない深い縁がある。灯台はその光そのものです。
(2)私たちの未来を指し示す光
灯台は、船の航路を指し示す光。それは私たちの未来を指し示す光でもあります。
(3)人の心の旅情をかき立てる
「喜びも悲しみも幾年月」の映画化等にみられるように、人の心を揺さぶるものが「灯台」にあります。
(4)めざすは川の灯台
岬には灯台があります。ここで作るのは「河川の灯台」です。河川灯台の例は、それほど多くはありません。ましてや、岬に立つ灯台と同規模の河川灯台の例は、日本では皆無でしょう。海外には、ライン川に河川灯台が存在するとのことです。日本唯一の河川灯台というのはどうでしょうか。
3.灯台だからできること
次に灯台だからできることを掲げてみました。
(1)光ページェント
レーザー光線による光のページェント。光の芸術祭の開催 ができます
(2)スポットライトによるコンサート
灯台からのスポットライトで、夜のコンサートを演出 することができます
(3)展望台
三川合流点を 3 6 0度みられます
4.こんな灯台がほしい
シンプル・イズ・ベスト。灯台の材料は花崗岩で作ります。メンテナンスを最小限にするためです。 灯台は下からライトアップ をしましょう。京都タワーのようにライトアップによって、白く生える灯台・・・想像しただけで、とても楽しいではありませんか。「あなたはどこにお住まいですか?」「八幡市です」「八幡市って灯台のあるまちですか 」「そうですよ。日本唯一のね」というような会話ができるまちにしたいものです。
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