知的障害児施設 Q園における実習教育の枠組みについての一提案
(一貫した実習プログラムと補助教材の必要性について)
はじめに
毎年学園には実習生が多く来る。平成16年度だけでも、50名近く来園し、延べ日数は150日と多くの時間が割かれている。実習形態は、半日の体験実習から24日間の社会福祉士実習まで様々である。しかし、例えば保育実習と高校生の体験実習では意味合いは違うとはいえ、実習の意義は、利用者と関わるといった「体験そのもの」にある。
とはいえ、体験そのものをどのように捉えるのか。学園がなぜ存在するのか。翻って、学園で生活している園生のことを理解するとは何か。あるいは、仕事として関わるとは何か。考えて欲しいことはたくさんある。しかし、半日の体験実習では体験したことが整理されないままに終わるし、10日間の保育実習であっても十分に理解することは困難である。
これまで実習生の受け入れに対し、我々職員は概ね好意的に遇し、丁寧に指導をしてきた。その中で仕事に対する熱意や利用者との関わりについてのコツなどを教えてきた。こうした熱意が伝わり、例えば保育実習の学生から来てよかったとか指導してくれた職員に感謝しているという言葉もこれまでも聞かれていた。
本年度、もっと実習を充実したものにしたいということで、いくつかの改善を行っている。例えば、毎年、保育実習ではケース記録の閲覧を行っている。しかし、これまでは漫然と読むだけで、自己流でメモを取っていくだけで効率的ではなかった。そのため補助のシートを作成し、項目に分けて効率的に整理できるようにしたなどである。
本論では、まず本年度は、実習生はどのようなことを考えているのか。実習担当者はどのようなことに気をつけて指導しているのかを明らかにするためにアンケートを実施している。そのアンケートの結果と分析を行う。次に実習形態を大まかに分け、その意義と実際におけるプログラムについて述べる。そして、本年度用意した補助教材のシートについて説明する。このプログラムとシートは学園での実習教育の意義をより明確にできると考える。
本論に入る前に、簡単であるが施設概要と実習受け入れ状況を述べる。
・施設概要
Q園は知的障害児施設として県内初の民間施設として昭和34年に設立される。施設の目的は、児童福祉法24条に明記されている。それは、知的障害を入所でもって保護することである。そして基本的な生活の場を提供することである。
児童の構成は、定員60名に対し、学齢児童が24名(男17名)、加齢児童が26名(男17名)である。障害では、中度から重度の利用者が多い。また、主に自閉症が重複している利用者が多い。他、てんかん、ダウン症である。
作業状況では、午前中は自閉症のためのプログラム、最重度の知的障害の作業、外作業と3つに分かれ、午後は学齢男子、女子、最重度、中重度と4つに分かれている。土曜・日曜・祝日はこのようには分かれず、女子、男子と分けられる。
職員体制は、施設長ほか、指導部(現場)補佐、総務(事務)補佐1名ずつ。現場職員は看護士を入れて20名。調理部門は栄養士を含み7名。事務員は2名である。
現場の勤務形態は、月に4〜5回の宿直他、遅番、早番、放課後支援事業を行う。
・実習受け入れ状況
大まかに、体験実習と保育実習、社会福祉士実習に大別できる。
A大学医学部(半日)、A大学看護学科(二日)、高校による個人研修、K養護学校の新任研修(1日)を体験実習として括り、34名が行っている。そのうち、24名が医学部による。
保育実習は、14名行っているが、内6名がM短期大学である。
社会福祉士実習は2名である。
第1章 アンケート結果と分析
第1節 実習生へのアンケート
今回アンケートを実施した目的は、実習を経ることでどのような意識の変化があったのかなどを明らかにするためである。また、アンケート自体が実習生の負担にならないように、実習終了時の5分から10分で書ける簡単なものとし、A4用紙1枚とした。なお、あらゆる実習生を対象にしたため、実習形態によっては質問内容が若干そぐわない項目もあったが、その点は説明し理解を求めている。また、無記名で実習評価などに一切関係しないことを約束し、記載中やアンケート箱に入れるまで席を外すなど配慮を行った。その理由は、実習生は実習に来るまで教育機関から過剰なまでの心身共に縛りを受けてくる[1]。そのため、実習生には実習評価が悪くならないようにとか無難にこなそう等の心理が強く働いている。よって、このアンケートはいっさい評価に関係しないことを念を入れて話す必要があった。
また、アンケートを実施するにあたり、いくつかの先行文献の項目などを参照した[2]。
なお、できるだけアンケートの記載をお願いしていたが、実習受け入れ担当者が不在の時に終了し、アンケートの記載をせずに終えたケースがいくつかあり完璧ではなかった。さらに、本年度2名が社会福祉士実習を行っているが、アンケートの実施が1名のみであった。そのため分析は比較の観点から困難なため、アンケート結果の表記は割愛する。
設問1 実習をはじめて(1〜3日)あなたはどのような心情を持ちましたか(一つのみ)
ねらいとして、初日に抱いた、あるいは実習に入った時点での心境を聞くことであった。しかし、アンケートは実習終了時に書くため、最初に印象があったことを書くのか、終わった時点で実習そのものを振り返っての心情なのかは不明である。さらに実習場面のみに限定されたものであり、「自己との具体的・直接的関わり合いの薄い理念的態度は好意的であっても、現実的に自己関与の度が強い生活場面になると好意度が低下することがある」(石川〔2001,P.25〕)ともいわれ、建て前の部分があることを考慮する必要がある。
とはいえ、大半の実習生は役立つと答え、実習に対し肯定的な気持ちを抱いたと考えても良さそうである。
少数意見ではあったが、辛い、嫌である、不安であると応えた実習生もいる。このことについては、後に具体的な理由でも述べられるが、自分の中の偏見に気づいての自己嫌悪や利用者にたたかれたりしてどう対応して良いか分からなくて耐えたことがあったためであった。
設問2 1.で選んだ理由はどのようなことですか。簡単でよろしいので述べてください
具体的な記載では、文のセンテンスからエッセンスを抜き出し分けている。また、記載がなかった実習生もいたため、設問1の回答者と一致していない。いずれも、設問1の感情や思いに違いはあっても具体的な記述になると、それは利用者との関わりが中心であり、それに対し、勉強になったとか貴重な体験になったといった感想を多く持っている。また、障害に対する知識不足で特徴の把握や対応面で不安だったとか、心の距離とか自分自身の問題として置き換えて接している様子がうかがえる。
体験実習では、設問1で肯定的イメージ(役に立った)を抱いた理由は、貴重な経験をしたからと答えた人が最も多かったが、利用者が人なつこく近づいてきたとかコミュニケーションの取り方を知ったと答えている人が複数いる。このことは、利用者とどうか変わったらよいか分からないという不安と共に、そもそも利用者はコミュニケーションがとれないと思っていたからに他ならない。そこには利用者へのイメージの変化が読みとれる。その一方で、辛いとか不安と応えた理由では、気持ちはあるのだが自己表現できないままに戸惑いながら終了した学生によるものが多い。
保育実習では期間がある実習であり、むしろ自分の実習がうまくいくのかが関心の中心になっている。例えば、知識がないことに対する不安や障害者と関わる上での特徴面に意識が向いている。少数であるが、職員が紹介してくれて気が楽になったとか、ケースを読ませてもらったとか施設全体として社会的能力の向上に熱心に取り組んでいたことを挙げている学生もいる。
設問3 実習中に悩んだことや疑問、困ったことはありましたか。
保育実習では悩みを抱かなかったと応えた人は皆無であったが、体験実習では数名存在している。これについては、ふれあうままに疑問を抱かずに時間が経ってしまったとか、何らかの疑問点があったもののそれが何か分からず(意識化できず)に実習が終了してしまったと推測する。
設問4 3であると答えた方で、それはどのようなことですか。
悩みを抱いたのは、アンケートの流れもあって、やはり利用者に関することが圧倒的に多い。もっとも印象に残っているのが利用者であっても、職員の対応などで苦労したとかといったことは反省会では話題として挙がることもあった。
設問5 それはどのようなことですか。具体的に述べてください。
利用者にとって体験実習で来る実習生達は言うことを聞いてくれるちょうどよい遊び相手である。また利用者は半日や短期間で帰っていくことを理解をしている。つまり、後腐れ無く遊べる人たちであり、そのため利用者は目一杯甘える傾向にある。また、体験実習の多くは医学部であるがその日程は土曜日の半日である。土曜日は業務自体に作業メニューがなく、体育館で遊ぶなどが大半である。体育館で遊べるのはコミュニケーションがとれる利用者であり、そうした利用者とのふれあいの中での悩みになる。例えば、強く叩かれて困ったとか何度も部屋に誘われたとか相手の要求にどう答えたらよいのかと言った悩みが多く見受けられる。
保育実習に関しては、10日間であるため、いくらか障害そのものへのアプローチが見られる。また、日常生活上のやりとりでどのように接するのがよいのかということが中心になっている。アンケートの記載欄が十分でなく、幾分抽象的な表現が多いが、煎じ詰めると利用者にどの程度介入すればよいのかが悩みの中心である。パニックになるのではないかという悩みが複数回答されているが、自分の知識や経験不足からくる力量の不安感。実習生としてどの程度許されるのかという気兼ねが働いているといえる。例えば、利用者の注意したり叱ったりすることがはたして正しいことなのか。また、そうすることで利用者に嫌われるのはないか。こうした具体的な心情についてしばしば実習生から話を聞くことがあった。
設問6 それはどのように解決しましたか。
体験実習においては、時間的なこともあって自分自身で解決したことにする場合が多い。また、職員から実習の感想を聞かれた際に設問5のような悩みをうち明けて納得する。また、解決することができないまま消化不良のまま終わったと思っている学生も存在する。これについては、設問1において不安に思ったとか辛いと思った学生に多く見られている。
保育実習では、逆に職員の説明によって解決する人が多い。これは、担当制ということもあり、実習記録のやりとりや日常の実習時間内での会話のやりとりの中で徐々に納得していくと考える。障害理解や具体的な関わり方については、日常業務に関わっていく過程や職員が利用者への接し方を観察する中で解決していく。なお、保育実習のその他は、実習初日に階段から突き落とされた怖い体験の後、実習をしていく中で割り切ってむしろ吹っ切れたといった記載が添えられており、自分自身で解決しつつ、実習記録のやりとりなどから徐々に納得させていったと言える。なお、実習巡回の先生などに相談する中で解決できたことがあるではという視点で設問を用意したが、少なくても今回はなかった。
設問7 その他、実習をとおしての感想、疑問、批判何でもよろしいので自由にお書き下さい。
実習を行っての全体的な感想を述べている。体験と保育実習で共通しているのは利用者に対する印象の肯定的な変化である。自分の中での偏見がふれあう中で変わったとか個性に気づいたといったことである。なおこうした体験そのものの効用として、石川(2001,P.32)の研究調査において「自発的接触経験のある人は、知識の高低に関わらず概して知的障害児に対する態度が好意的であった」とする結果や阿尾他(2000,P.207)の調査では、障害者との一日ふれあい体験をした90人の中学生が「障害児・者に対して非好意的な印象を持っていた27人中26人が「一日ふれあい体験」の後に好意的な印象に変容した」といった結果などがある。
また、実習をとおしてやりたかったけれどもできなかったことや知りたかったことなど今後の課題として感想を残す学生もいた。
体験実習ではよい体験だったと応えた人が圧倒的に多いが、その他施設生活全体への感想が多く、体力のいる仕事だとか皆が生き生きと生活しているという印象だったといった記載が多い。その一方で、コミュニケートをとってこない利用者に対しての関心や興味なども伺える。体験実習は、ただ単にふれあうといった印象を抱きがちだが、体験実習であっても施設全体への印象や生活全般に対する観察がなされているのが分かる。
保育実習は、設問5,6からどのように利用者と関わるのかが焦点になっており、職員に対することや自分が利用者と関わって抱いた印象が中心になっている。時間的な経過と共に障害理解などの勘違いなどに気づいたなど、自己内省するような記述もある。また、配属されたセクションによっては自閉症がいないグループがあり、そのことによって自閉症に興味があったものの接する時間がなく残念であったという記述もあった。これは、体験実習におけるコミュニケートのなかった利用者への関心・興味と共通する。
いずれにしろ、体験であれ保育実習であれ、いろいろな利用者(障害者)と関わりたいという意識が働いており、実習そのものに臨む学生の意欲はたいがい高いし、なにかしら得るものがあると言える。
次節では、実習を担当した職員へのアンケート結果を述べる。
第2節 実習担当者のアンケート結果から
実習担当者とは保育実習で実習記録をとおしてコメントした職員を対象としている。実習生と違い、仕事の合間に簡単に答えられるように選択肢を多くしてアンケートを作成する。実習においてどのようなことを中心に指導をしたのか。実習を担当してどのようなことに悩み、大変だったのかを聞いた。
なお、アンケートのいくつかの項目については先行文献を参照[3]したが、実習生へのアンケートに比べて先行文献は著しく少なかった。
設問1 実習を担当して、どのような気持ちでしたか。(一つのみ)
様々な感情があるとはいえ、ある意味、一番強く思った感情をたずねるという意味で一つのみの選択とした。実習担当を指名されて疲れたとか負担感があったと答えた人は皆無であり、業務に対しての刺激と捉える人がほとんどであった。このことは、実習生を担当することに対し、前向きな気持ちが強いと言える。
設問2 実習生に関わる場合、どのようなことを特に伝えますか。(一つのみ)
現場ではこれらの項目は一緒くたに存在している。例えば、利用者の特性を踏まえた上で関わりがあるし、関わりそのものも施設の役割や業務の内容からは切り離せない。そして、実習ではこうした項目は包括的に会話を通じて指導が行われている。しかし、あえて一つだけを選択し、実習指導する上で、実習担当者がどのようなことに力点を置いているのかを明らかにするねらいがあった。どのタイミングや時期(序盤、中盤、終盤)に指導したことが印象にあったかは不明であるも、実習生との関わりの中でもっとも意識化されたことはなにかが分かる。
実習生用のアンケートとも連動するが、実習生は利用者との関わり方に最も興味を抱く。そのことについて質問されたり、困っている際に助言する場面が多く、そのため指導も利用者との関わり方に多くの時間が割かれたものといえる。その他、職員の役割と利用者の関わり方をセットで教えていると答えている人もいた。とっかかりとして、関わりの基本となる障害理解について力点を置いた職員もいる。
設問3 設問2で選んだ理由について簡単に述べてください。
利用者の特性と利用者の関わりは具体的な記述においてほぼ一致しており、実習の目的、障害児の理解とコミュニケーションの取り方についての各人のスタンスが示されていると言える。サンプルが少なすぎるものの、障害について理解してもらいたいという共通の意識が浮かび上がっている。また、仕事としてのあり方も含まれており、障害に対して一貫した認識を持って業務を行うことの重要性について意識して指導しているのが分かる。
設問4 実習担当中に苦労したこと、悩んだことや困ったことはありましたか。
長年保育実習を受け入れていることもあり、実習を担当し指導することに対して、ある意味慣れや当然視から悩みなどがないと答えた人が2名いた。しかし、設問5でも述べるが、それなりに苦労する面があると答えていることから、実習を担当することは、ある意味平常業務に負担をかけている面があるといえる。
設問5 「ある」と答えた方に、それはどのようなことですか。具体例があれば記入して下さい。(複数可)
評価を下すことについて悩んだと答えた人が最も多い。それは基準として、どの程度が優・良・可・不可なのか。例えば「挨拶がよくできたのかどうか」など、それはそもそもの優劣を付けるのに困る項目である。また、例えば「施設、機関の目的、方針を理解する」(河野他〔2000,P.55〕)など、意識的に指導しなかったことについてどのように評価してよいのか分からないなどがある。さらに、こうした評価が実習生の今後に影響することを考え、無難に評価したという担当者から話もあった。このことは、評価を下すことは様々な意味で重く受け止められていると言える。
次には、実習のコメントを毎回書くのが困難であったことと答えた人が複数いた。このことについては、次の具体例でも述べられているが、負担感が強かったと言える。
どのように伝えたらよいのかとどのくらい理解しているのかというのは、実際に関わっている中で、アドバイスしたことがうまく伝わっているのか。実習生が困っていることや疑問に対してうまく答えることができたのかなど指導上のコミュニケーションの悩みである。
設問5 具体例
具体例においては、記録を書くことと評価を下すことが関係している。以前は、その日にいる職員が実習記録のコメントを書いていたが、今年度は実習担当者が実習期間をとおしてコメントを書くこととした。誰が書くのかということを明確にすることで、指導に一貫性が図れると考えたからである。しかし、逆に自分(担当者)が見ていないことに対しては適切なコメントが書けないという問題も明らかになった。評価を下す際、不在の際の記録へのコメントなどは在勤の職員やそのときにいた職員と話し合いながら行うと、ある程度負担感が軽減されるのではないかと考える。
設問6 5における悩みなどはどのように解決しましたか。
設問4,5で実習記録へのコメントや評価を下すことが多くの悩みであったこともあって、そのような問題は、自分自身で解決せざるを得なかったといえる。実習指導教員に相談したことは評価の意味合いについて訊ねたケースである。また、実習生と話し合いを重ねる中で解決したことは、設問4でどのくらい理解しているのか分からないと答えた人であった。
設問7 その他、次に実習を担当する際に何か抱負や反省などがありましたら述べてください。
感想としてサンプルが少ないが、共通して、よりよい実習をするための建設的な意見が多い。また、その一方でゆっくり関われなかったとか時間が足りなかった。実習に入る際にもっとコミュニケーションを図る必要があったなどの自己反省も見られる。いずれにしろ、実習生に対して時間を設けて話し合う必要があるといえる。
設問1では自分自身の刺激になるとほとんどの人が答え、負担感が強かったと答えた人がまったくいなかった。にもかかわらず、内実には記録のコメント、評価を下すことなどに苦労していることが明らかになった。さらに、よりよい実習を行うためには、実習生に対してコミュニケーションをとる時間をより多く設ける必要があると考えていることが分かった。このことから、実習担当者は実習生に対して好意的で暖かいまなざしを持っていると言える。
以下、これまでのアンケートを踏まえて考察を加える。
第3節考察
第1項 実習生の気持ちについて
(1)不安について
アンケート結果では、実習は役に立ったとか楽しかったといった肯定的な答えが多かった。しかし、利用者とどのように関わればよいのかなど悩みもあり、実習開始から慣れるまで時間差はあるが、実習生は緊張もするし、不安な気持ちを抱いているといえる。それは半日の体験実習であれ24日間の社会福祉士実習であれ、実習がうまくいくだろうかとか受け入れてくれるのだろうかという気持ちを持っており、それは切実ですらある。そして、些細な場面や職員との何気ない会話などで深く悩んだり、落ち込んだりする。さらにこうした不安な気持ちが続くと、こんな施設に来るのではなかったとか、実習そのものが苦痛になる[4]といわれる。
どのような言動や状況で不安になったのかなど微細にわたって学生の心情を聞いてそれに対して適切な励ましや助言でもって慰めるほど職員は暇ではないし、むしろストレスを抱えてしまう。しかし、こうした不安な気持ちに対してまったく配慮しないと実習生のみならず実習担当者にとっても苦痛になりかねない。やる気のなくなった実習生ほど担当者はストレスを抱えてしまうからである。よって以下の点について留意をすることによってある程度実習生は前向きな気持ちになると考える。