実習教育マニュアル
1.目的
これまで実習とは、担当になった職員(以下、担当者)が実習日誌にコメントを記載し、日常業務の中で責任を持って指導することであった。実習受け入れ担当者(以下、受け入れ係)は、実習計画を立て、担当者を振り分けるだけで良かった。
しかし、そもそも実習教育とは、事前訪問、実習初日のガイダンス、反省会を含み、総括的に行われるものである。この点については、決してガイドラインがあったとは言えなかった。さらに、反省会は受け入れ係が行うものの、不在の場合は行わない場合もあり、あっても十分話し合うことなく終えることもあった。
受け入れ係は、実習生と最初に会う職員であり、最後に見送る職員でもある。そういう意味で受け入れ係は、不安と緊張の中、学園の門をくぐる学生の道案内をする重要な役割がある。
よって、良き道案内として受け入れ係がどのようなことをすればよいのかを今一度整理する。そして、総括的にだれでも行えるレジメを提示する。
2.実習実施計画
実習実施計画は要するに、どのような日程で誰が担当するのかを決めることである。実習は、担当を必要としない体験実習と担当を必要とする保育実習、社会福祉士実習に分けられる。担当が必要とは、実習記録のコメントの記載を要する実習を指す。しかし、必要としない体験実習の場合でも、その日の配属されたグループ・クラスのチーフが業務内容の説明などをする責任がある。
実施計画は【内部起案】で決済をもらう。
記載で必要な事項は、
- 氏名
- 期日
- 種別(保育、社会福祉士、体験実習など)
- 所属(○○大学△△学部など)
- 実習担当者(職員)
- クラス・グループの配属
- 勤務形態・時間帯(平常、遅番、宿直の割当日、実習・休憩時間)
- 行事参加の有無(その場合の時間)
- 食事提供の有無・料金の支払方法
- プログラムの有無(ケーススタディがあるのかなど)
- その他、実習の目的や学生の傾向などを備考として載せると親切である。
実習受け入れに関しては、様々な書式や方法があるものの、
実習を受け入れの承諾書→実習生の履歴→実習の詳細
と文書が発送されてくる。その都度、必要事項を記載、決済・公印をもらい、綴りに挟んでいくこと。また必要に応じて郵送すること。公印や郵送は【発送文書】での決済となる。
実施計画は実習の日程や氏名が分かった時点で作成する。
前年度から依頼されるケースもあり、文書が不明である場合、前年度の書類で確認すること。
次年度の依頼文書が来る場合もあり、綴りのインデックスで見易いようにして次年度の計画に盛り込んでいくこと。
また、評価表などが先に送付される場合もあり、紛失しないように保管する。
実習終了時に、学生と出席簿、評価表などの文書の確認、提出の期日、実習日誌を受け取りに来る場合はいつ来るのかを打ち合わせする。日誌などを学生が受け取りに来る場合は、事前に公印をもらうなど必要な手続きを済ませておくこと。
実習記録は実習終了から二日以内には学生に提出をさせる。その後、担当者に必要なコメントと評価を記載してもらう。提出期限もあるので早めがよい。
実習終了日には実習日誌や実習評価は係がまとめて、【発送文書】で伺いを立てる。公印(主に、実習評価表の施設長の欄)や必要なところに社判(住所、W学園、施設の種別など)を押してもらい、発送の手続きをする。
評価表などを郵送する場合は、コピーを取って綴りに挟めておくこと。同様に、手元に残らない発送文書はすべて写しをとっておくこと。
3.打ち合わせ
教員と学生が同伴して来園するケースと教員のみが来るケースがある。単なるあいさつから、昨年度の経過とともに今年も依頼するといったものがある。いずれにしろ、応対は受け入れ係が行う
会う日取りは施設の都合に会わせてくることがほとんどであり、自分の都合で会える日を設定すると良い。しかし、先方の都合がつかない場合は、チーフ以外に話をしておくと良い。
定期的に来るのは、M短期大学、A大学看護学、A情報ビジネス専門学校である。巡回指導では保育実習、社会福祉士実習である。
中には学生と一緒に来るケースがあるが、その場合は、実施計画ができている場合は日程などを教えると良い。
A大学医学部は、初年度にガイダンスを行いに大学に出向き、説明をする。
→原稿は別項参照
4.事前訪問
事前訪問は保育実習、社会福祉士実習が行う。施設側として、学生自身が実習計画を策定する基礎情報の提供である。
これは、【事業概要】を参照すること。必要ならコピーをとり配布しても良い。
そのほか
- 実習の勤務時間、内容
- 施設側での実習生の配属内容、クラス・グループ・遅番・早番・行事の参加の有無
など聞かれた範囲で答えると良い。
→実施計画があればそれをもとに説明をする
最後に園内を案内すると丁寧である。
5.ガイダンス
ガイダンスは、実習初日に行われる。
事前訪問が行われた実習形態では、大枠一日の日課についての説明と実習実施計画に基づいたスケジュールの確認程度で良い。具体的に、掃除用具・着替え、トイレなどの場所やクラス参加などの時間帯などを再度説明すると丁寧である。(マスターキーの貸与も行う)
事前訪問を伴わない体験実習は、ここで施設概要や障害の特徴などの説明を行う。また、実施計画に基づいてスケジュールを説明する。または園内を案内する。
ここでは、実習の入り方として、障害者のイメージはどのようなのかなどを明らかにし、それをもとにガイダンスを行うと良い。→シート1を使用(別項参照)
保育実習・社会福祉士実習に関しては、【こぶし】(文集)【事業概要】を貸すとよい。
6.巡回指導
巡回指導は保育実習1回、社会福祉士実習は2回行われる。
学生の実習状況について聞くことをメインにしており、はじめに学生と面接させるのがよい。必要に応じてそのときの担当者からの状況を聞きたい教員もいるので、できる範囲で担当者の参加を促す。受け入れ係は応対程度でよく、担当者が全く不在の場合は、その代行を務める。
7.反省会
実習の反省会は、そのときに担当した職員と実習生が同席し、1時間程度話し合うことを目的とする。できれば受け入れ係が司会を務め、会話をスムーズに引き出すのが望ましい。
- 実習の感想〜期間を通してどうだったのか
- 印象深いことは何だったのか
- 施設に対する要望
- どのようなことが勉強になったのか
といったことに、コメントを交えながら将来その実習生が福祉の現場で務める際の助言をしてあげると良い。
8.そのほか
実習教育については別項参照
2005.8.13