第4部 労働者意識・専門性・倫理の連関

 これまで福祉施設〜現場を取り巻く言説を労働者意識・専門性・倫理(以下、各要素)を論じてきた。
結論を先取りすれば、現場の中で各要素は密接につながっている。しかし、ともすれば、これまで専門性が強調されるあまり、労働者意識が軽視され、労働者意識が強調されるあまり、倫理性の重要性が否定されることがある。論文という体裁をとる以上、どこに光を当てるか、強調するのかによって各要素が取捨選択されるのは仕方のないことかもしれない。
本論でも、これまで挙げたほかに現場には多様な要素あり、論じ切れなかったことやあえて取り上げなかったことなどが存在している。しかし、それを承知に上で、本論では、できるだけ大きく、現場の中で何が問いとなるのかを目配せし、論じてきた。
 第4部は、各要素がいかに連関しているのかについて述べていく。そのことによって、上述のように、一方が強調されるあまり、一方が無視され、否定されることを避け、より総体的に現場を論じていくこととする。そして、それを手がかりとして、いかに一施設職員が自律的精神と思考を獲得できるのか、各要素との連関の中で考察をしていく。

 なお、第4部は、第1部〜第3部までの考察をまとめ、各要素の連関をモデル化する。そのため、これまで論じてきたことがすべてであり、第4部の本文には引用や註は行わない。ただ、本論全体に影響を及ぼした論文や著書を主要参考文献としてあげることとする。

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