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        ●蓬莱学園の冒険!!〜南方発放課後メール●
             ★メールニュース★
            【1999年8月10日号】
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●塔探索情報/塔の中は戦場!
 モーゼを装着した生徒たちの報告によると、塔の中は戦場だった。
 空間がゆがんでいるせいか、塔の内部は外側から見た以上に広く、感覚的に
は学園全体がすっぽり入るのではと思うほどだ。
 しかも、中はいくつかのブロック(便宜上、こう表現するだけで、実際に区
切りがあるわけではない)に分かれているらしく、場所によって全く異なる性
質の戦争が行われている。
 生徒たちは、各自の判断でこの戦場を駆けめぐっており、いずれはこの正体
が判明するだろう。
 この戦場において、空間異常学のサダム・アッサーラ講師はこう説明してい
る。
「私自身、塔内部に踏み込んでいるわけではないので断定は出来ないが、報告
から判断すると、塔の内部はある要素を共用する空間が寄せ集められていると
考えられる。入り口付近は、戦争が共用要素になっていると思われる。よく、
ミステリーの短編集などで、密室やアリバイものなどの作品を集めたアンソロ
ジーが出版されているが、それと似たようなものと考えればわかりやすいだろ
う。塔の内部すべてがそうなのか、別の場所では別の共用要素が存在するのか
は、今後の生徒たちの報告を待たねばなるまい」

●異常気象の猛威!
 8月6日、宇津帆島全土で異常気象が発生した。
 各地で地震、雷、火事、親父が観測、他にも屋内竜巻や濃霧の発生、地面か
ら降る雨、時空の混乱などが確認されている。
 これまでも、島の各地で異常気象は確認されていた。南部密林で頻繁に起こ
る突発的氷河期、津波、重力異常などはよく知られているし、教室や大講堂で
も、収容された生徒たちの熱気で台風が発生したのも一度や二度ではない。
 それでも、同じ日に各地で一斉に異常気象が発生するのは非情に珍しい。生
活委員会の発表によると、塔の出現以降、学園の異常現象の発生度が上昇して
いる。
 幸いにも、異常度の上昇が、予測を可能にしている。この日の異常気象も、
気象予報士の放り投げたゲタが、延々と回り続けたという。生活委員会気象部
では、錬金術研究会、雨乞い同好会、恐山愛好会などの協力で、異常気象の発
生日を予測、公表していくことを発表した。

●謎の深まる手話研究会/アイテム交換開始
 手話研究会は、8月10日からモーゼに記された色の数値に見合ったアイテ
ムとの交換を行なうと発表、塔入り口付近に交換所を設置した。
 モーゼにはそれぞれに異なる3色のメーターが存在しており、それが何を示
しているのかは謎のままだった。今回の発表で、それらの色と数値が、アイテ
ム交換のための貨幣としての役割を持つことがわかったが、根本的説明にはな
っていない。そもそも、何を基準に数値が上下するのかはいまだ不明のままで
ある。
 しかも、発表された交換用アイテムのリストを見るかぎり、専門的団体でも
製作は困難ではないかと思われるものが多数含まれている。
 公安委員会は、これらのアイテムの製作・入手過程を手話研究会に問い合わ
せてはいるものの、納得のいく返事はもらっていない。モーゼの一件といい、
手話研究会に対する疑いの目は一層強くなったといえるだろう。
 だが、肝心の生徒たちは「便利だからいいんじゃない」「いちいち追求して
いたらきりがないよ」と素直にこの展開を受け入れているようだ。
○手話研究会のコメント
「各種アイテムを取りそろえております。モーゼの数値が溜まった方は、どう
ぞご利用ください」

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