2021.6
ヤングケアラーを知る
ヤングケアラー(家族のケアを担う子どもたち)ー現状とその背景(濱島淑恵)
- 身体的介護を大人の代わりに担っている子どもという意味が強いが,精神的,感情的な意味でも介護を引き受けていなどケアを広くとらえている.年齢的には18歳未満であるがオーストラリアでは25歳までヤングケアラーとされる.
- 全国の中2と高2を対象とした調査では,約4〜6%がヤングケアラーとされた.祖父のケアが多いが,次いで母であるが母は,精神疾患が多い.その他,病気や身体的機能の低下である.内容としては家事が多く,毎日任されており,一日約1時間程度が多い.その一方で,4時間以上,8時間以上というハードなケアラーもいる.
- デメリットとして,忙しいため忘れ物をしやすくなる.欠席する,部活動に参加できない,友人と過ごせない,勉強がゆっくりできない.精神的に不安定になる.衛生面での配慮に欠けてしまう.
- ヤングケアラーは社会の構造が生み出した問題である.家族がケアをすることを当然視し,ケアを家族内で完結させよう等することで子どもがいつの間にかキーパーソンになってしまっているケースもある.ケア役割の家族依存の強さ,それにもかかわらずケアを担う家族への支援の弱さ,さらにひとり親の世帯や経済的に困窮する世帯がヤングケアラーの背景にあると言える.
- ヤングケアラーはあまり自覚していないことがある.またお手伝い程度という感覚であったりする.しかし,周囲の無理解は彼らを見えない存在にしている最大の要因と言える.→少し手を差し伸べるようなそんな関わりのあるモノがあれば良いと思う.
子ども家庭福祉の視点から見るヤングケアラーの抱える課題(初谷千鶴子)
- ヤングケアラーの抱える問題は,場合によっては虐待やネグレクトなど子どもの人権侵害となる可能性がある.一方で,親や兄弟に対する愛情,義務感などから,自分が家族のケアをすることはあたりまえと思い,周りからの期待に応えるためにケアを行っている場合がある子どもたちは少なくない.
- 事例2題.親の疾患により子どもがいつの間にか家事をせざるを得ない状況になっていること.子どもの異変を察知して対処したことが書かれている.
- 無自覚であるとか,家のことを知られたくないとか,かわいそうと思われたくないなどなどで潜在化する傾向にあるのでは無いか.あたりまえのように相談できて,支援されるような社会の認識が求められる.
- 確かにケアラーの置かれる環境はキツイが,それでも目に見えない絆,単にかわいそうと言って表現される事象の中に,親子の愛情もまたあるのである.
- この人なら言えるという信頼できる他者と出会えるかどうか.また小さな異変などに気づけるかどうか.
- 子ども未来応援気づきチェックシート千葉県の取り組みで,貧困の発見に役立つが,ケアラーなどにも役に立つ内容となっている.