2018.2
地域福祉推進のための民間財源

新しい地域福祉の推進と民間財源（山岡義典）

• 我が事まるごと共生社会において，NPO法人の意義はより高まっていく．そのためには継続的に活動してもらうための財源の強化などが必要である．
• 行政の活動…財源の理解は分かり易いが，NPO法人のは複雑であり，支援系（見返りを求めない寄付や会費）と収益など課税となる収入，そして，組織内での会費など小口であるが安定的な財源と，委託事業費など行政からもたらされる収入と縦と横の軸が存在する．
• 特に会費の拡大，クラウドファンディングや企業の協賛や団体会員，あるいは定期的な寄付や募金などの努力は，安定的な収入確保につながっていくと言える．
• 助成金は，行政系と民間系があり，それぞれ特徴があるがいずれにしろ助成されるに値する活動をすることが前提になる．それが拡大されると委託事業として行政から例えば調査をお願いされたり，提携や協力関係の元で事業が行われることがある．
• 休眠預金の活用として，子どもおよび若者にかかる活動，生活困窮者などを対象として予定されているようであるが，まだ具体的なことは決まっていないため今後の動きに注視する必要がある．

共同募金推進に向けた取り組み（阿部陽一郎）

• 共同募金の歴史は長く，敗戦後にさかのぼり，現状では地域社会再生のために使われる，地域貢献の機能に転換していくこととなった．
• 2016年の中央共同募金会の答申では，参加と協働による新たすけあいの創造と題され，硬直性や不透明性への回答が求められるようになっている．そして，募金による共感よりも集めることに力点が置かれてしまっている現状への反省が為されている．
• 地域で活動している，あるいは活動を推進するために共同募金を使う，あるいはテーマを決めて募金をして，そうした活動をしている団体へ集中的に寄付を行うなどの工夫がされている．

地域共生におけるファンドレイジングの可能性（鴨崎貴泰）

• ファンドレイジングとは資金調達の意味で，NPOや社会福祉法人が必要な資金を集めることを意味する．
• NPOの資金源には，寄付金，会費，助成金，補助金，事業収入，融資・社会的投資などがあるが，自由度が高いのは寄付金や会費である．
• NPOの本質は，団体が単独で社会の問題解決に取り組むことではなく，その活動を通じて社会的な課題を人々に知らせ，理解してもらい，その課題解決への参加者を増やして社会をより良くしていくことである．寄付などの支援を募る過程で団体と人とがつながり，支援の輪が広がることで問題解決が促進される．それは地域共生社会のための活動にもつながっていく．
• 寄付金などの集め方については，既存の寄付者への協力を得るとか，潜在的寄付者はどのような属性なのかを見極めるとか，ドナーピラミッドを使った分析をするとか．簡単に言って，間口を広げる一方で，リピーターを増やし，かつ寄付額のアップなど寄付者を育てる取り組みが求められる．
• 地域活動におけるファンドレイジングは，ふるさと納税が挙げられる．これは返礼品ばかりに注目されているが，地域活動をしているNPOを指定することもできる．例えば，犬の殺処分をゼロにしているNPOに納税することで，その件の殺処分がワーストワンからゼロになったなどがある．