2005.10
サービス評価の活用方法

江草安彦「社会福祉におけるサービス評価の意義と課題」
福祉分野におけるサービス評価の取り組みとして、すでに1990年以降すでにイギリスでは第三者評価が行われ、質の向上などが図られている。この仕組みが日本における苦情解決や第三者評価事業の導入に影響を与えている。〜第三者評価は法律では義務づけられてはいない。評価を受けたがらない事業者に対して、評価機関における認証をPR活動に利用できると言うことは、事業者の意識改革になる。
行政の監査はマイナス部分がないかをチェックするが、第三者ではどこがプラスなのか、さらにのばすにはどのようにすればよいのかという視点の相違がある。あるいは、評価の結果良い物であった場合、公開をし利用者にとっても良い施設という評価にも繋がる。あるいはそこで働く職員のモチベーションにも役立つ。
第三者評価が事業者に優劣をつけるといったネガティブ志向ではなく、受ける側もよりよい福祉サービスを作り上げていこうとする思いが大事である。(改善点を次年度の事業計画に盛り込むとか)また、有識者によって検討が重ねられた調査項目を評価する能力と態度が調査官に必要になってくる。特に、指摘する際にも受けた側が納得できるような説明や姿勢が必要である。利用者から選ばれる施設のみならず、利用者にとって最も適したサービスを提供するという専門性が必要である。(調査官が告発型であったり、こうあるべきだと一方的だと自信をなくす)

関川芳孝「解説:サービス評価を活用するポイント」
サービス評価は、単に第三者評価だけではない。行政監査も会計や職員配置などを点検することでサービスの質を確保する。また福祉オンブスマンのような人が施設を訪問することも評価に値する。苦情解決などもプロセスの一部である。福祉施設を経営する事業者団体においてもサービス評価基準を定め、調査員が会員施設を訪問調査し、評価内容を公表するという活動も存在する。
国はガイドラインを定め、都道府県レベルで評価機関を認証する仕組みの設置を定めている。第三者評価に対する信頼性を確保するためには、評価機関の独自性を認めつつ、やはり基本となる枠組みが必要と考えた。平成16年「福祉サービス第三者評価事業に関する指針について」(通知)が出されている。第三者の受審は、職員全員を対象に改めて法人の経営理念を浸透させ、サービスの質を継続的に改善する取り組みを徹底する格好のチャンスとなる。保育所運営費や措置費の弾力化の恩恵を受けるために第三者評価を受審するのも動機として分からなくもない。しかし、本来の目的からすれば本末転倒である。
あるいはなぜ評価がCだったのかという根拠を明らかにし、説明する評価者が求められる。あるいは、評価を受ける目的、意図(経営機能を含める・市民感覚・中立、公平性など)に合致した評価機関を選べるように機関のプロフィールや評価の傾向などの情報公開が必要である。

「福祉分野におけるサービス評価の動向」
厚労省では平成15年から3年間にわたり都道府県による福祉サービス第三者評価事業の推進体制を整備するため、国庫補助事業「第三者評価機関育成支援事業」を実施しており、平成17年はその最終年度に当たる。加えて平成16年に厚労省より通知が示され、都道府県推進組織に関するガイドラインに基づき、設置を進めている。
2005.12.14

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