1997.3
社会福祉の専門職制度の今後

座談会「社会福祉の専門職制度の今後」

社会福祉士法の制定のながれ
社会福祉主事の資格は、任用資格であり、専門職としてほど遠いということで、その頃(昭和25年頃)に結成された日本社会事業学校連盟では、社会福祉教育のカリキュラムを共通にしようといった検討が行われた。
昭和30年頃、すでに社会福祉士の法案があったのだが、なぜか労働組合や学会からも反対意見が多かった。その根拠は、福祉の職場に働く中に専門職という身分制度を作って上下の関係を作るのはいかがなものかという論理。
昭和46年に中央社会福祉審議会の職員問題分科会が「社会福祉士法」の制定試案が出されるが同意を得ず。少なくとも福祉行政は公務員の常識で処理すればよい。他の部署でもまれた人間関係なの中で学ぶとか、また、主事資格の取得が進まない状況を醸し出す。
昭和61年に、時の厚生大臣が専門職が福祉業界でないのはいかがなものかという発言を受けて、専門職制度が一挙に進む。中央社会福祉審議会も3審議会合同企画分科会を設置。〜福祉士法制定を迎えていく。

社会福祉士のこれから
1.受かったら終わりではなく、生涯研修体系の必要性。
2.社会福祉士を利用した開業の問題
3.社会福祉士の実態が見えない。対外的に地域の人たちとの交流を。
4.国際化。「国際ソーシャルワーカー連盟」への加入の準備
5.資格制定10年目であり、資格問題の検討事業

介護福祉士のこれから
介護福祉士の社会的認知の問題は、ヘルパーや寮母が利用者の身近な存在で多くの時間を共有しているが、代弁できる立場でありながら、今までは他職種の共同作業などにおいて発言の場が少なく、弱い立場に置かれていた。そのあたりをどう改善させるか。

医療では、MSW、PSW、等の協会で資格制定の動きはあるが、福祉士の資格をとりあえずベースにして特定の研修を受けた人を認容するということにする。しかし、現実には慢性疾患など障害と疾病が併存するケースが多く、両者の密接な連携が求められる。

福祉士の任用資格かが一挙に進まないのは、社会福祉主事を規定した社会福祉事業法の延長線上で、老人福祉法などの各領域の職員の要件が定められているという経緯があるからである。社会福祉士の視座でこれらの要件を新しいサービスのあり方も含めて見直すという作業が必要になる。
(名称独占は、国際的な流れでもある)

社会福祉士のこれからの任用性について
たとえば、弁護士や医師などは任務規定がある。社会福祉事業については業務規定で行っているから任務規定はない。そこの所を今後明確にしていきたい。

一つには、精神障害者や入院・通院患者の雇用、社会復帰を含めた自立支援分野のSWの役割は、今後必要なるし、児童に関しての調整など、心理、司法、教育、医療など幅広い専門知識が問われてくる。そうした、他職間の調整なども必要になる。(住宅、建築なども範囲になる)

社会福祉士・介護福祉士養成の現状と課題

受験資格の拡大の背景
1.在宅福祉への移行に伴う、施策メニューの拡大。業務分野の拡大。
2.医療における看護補助についても、社会福祉施設で行われているものと同様に評価する。
3.各関係団体からの拡充の要請があった

メモ
介護福祉士については、実務経験が3年であれば受験資格が発生するという現場に納得のいくものであったが、社会福祉士は、実務経験の考え方には官尊民卑のような部分があり、地方公務員の「司」職については5年以上のキャリアがあれば受験資格があるとされながら、その他の経験は実務経験と見なされず、養成課程に入り直さなければならないことになる。
社会福祉士の実技試験について、客観性の保持や評価の基準。ペーパーテストをどのように担保にするのか。
待遇について、介護保険の導入に際して、行政でもそれなりの待遇を与えるべきではないか。適切な待遇条件を検討する必要がある。資格の有無を加味しながら、配置転換や昇格できるシステムをもっていないと、資格を取る動機付けが弱くなることが考えられる。また、関連して、フレックスタイムの導入など、パート労働にもきちんとした身分保障や給与保障を考える必要がある。
さらに、介護保険の導入や様々な職種(教育、司法、医療)において福祉士が、任用資格として有効になれば採用の幅が広がる。〜転職の可能性

いずれにしろ、名称独占。業務独占にしても、どのような活用があるのか。

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