マツヨイグサ (待宵草)


 アカバナ科に属する北アメリカ原産の帰化植物で、江戸末期に観賞用として日本に入ってきた。花期は5〜8月。

 マツヨイグサは、夕方になると鮮やかな黄色の花を開くが、翌日には萎んでしまい、色も黄色から赤に変わる。漢字では「待宵草」と書き、宵を待って花が咲くというので付けられ名で、朝顔や夕顔と同じように開花時刻に因んだ命名である。マツヨイグサ属には、他にもオオマツヨイグサ、コマツヨイグサなどがあって、いずれも黄色の花が美しいが、中でもオオマツヨイグサの花が最も大きくて見事である。
 竹久夢二の歌ですっかり有名になった「宵待草」は、オオマツヨイグサを指している。夢二が待宵草と宵待草を取り違えてしまったのだそうだが、国語辞典によると宵待草はオオマツヨイグサの異称とあり、別名として認知されているようである。また月見草と呼ばれることもあるようだが、月見草は別にある。マツヨイグサと同じアカバナ科マツヨイグサ属で夕方に花が咲く点は似ているが、花の色は白である。と言って、マツヨイグサを月見草と呼ぶのは間違いだと言うわけではないようだ。国語辞典によると、月見草とは本来の月見草を指す場合と、マツヨイグサ属の植物全体を指す場合とがあるそうである。太宰治が「冨嶽百景」の中で「富士山には月見草がよく似合う」と書いているが、これはオオマツヨイグサのことを指しているとのこと。因みに、オオマツヨイグサが日本に入ってきたのは、マツヨイグサより少し後の明治のはじめである。