勇者ゆたえると七人の侍(誤)
●第1話●
おーれーはライアーン♪


 お待たせしました。いよいよ超本格的無頼派冒険日記(無国籍風)がスタートします。まず最初にお届けするのは、バトランド王国の王宮戦士であるライアンが繰り広げる、めくるめくような1人旅でございます。まずは、お手並み拝見。


第一章 王宮の戦士たち

 ある朝、我が主であらせられるバトランド国王が、それがしを含む王宮戦士たちを緊急に呼び集めたのでござる。何とも蟲惑的な幕開けでござる。あるいは煽動的な導入部とも言えるでござる。国王のお呼びであるからして、眠いとかだるいとか腹減ったとか不平不満を言うことなく、我ら王宮戦士たちはお城の中庭に集まったのでござる。

「えー、コホン。みなのもの、大儀である。これより王様から、そなたたちにじきじきにお話がある。耳の穴かっぽじて、心して聞くように」

 これは王のおそばに使える大臣の言葉でござる。大臣は国王のご威光を自らの力と勘違いし、最近タカビーなのでござる。いつか叩っ斬るでござる。

 王の話を要約すると、大体こんな感じになるでござる。

最近子供たちが急にいなくなっちゃうみたいなー。
今朝もイムルの村から母親たちが泣いて助けを求めに来てるって感じー。
王としてほっとくわけにはいかないしー。
みんな調べて報告してほしいってゆーかー。
行ってらっしゃーい。

 なぜコギャル口調なのかは不明でござるが、それはともかく、それがしもこの噂はテレビのワイドショーで見て知っているでござる。みといせい子が神妙な顔でレポートしていて、たいそう腹が立ったでござる。いつか叩っ斬るでござる(なぜ)。

 そうこうしている間に、他の戦士たちはすったかたったった〜とものすごい勢いで城を出たのでござったが、探偵の基本(誰が探偵だ)は「人に話を聞くこと」であり、まずは城の中で聞き込み調査を始めることにしたのでござる。

「ようライアン。まだこんなところをウロウロして、相変わらずのろまだな。他の連中はイムルの村に行ったんじゃないのか?」

 それがしに向かって何という口を....。本来なら即刻叩っ斬るところでござるが、話の後半で何ともユーザーフレンドリーなヒントをくれるので(予定)、とりあえず峰打ちで勘弁してやるでござる。


おとなげない2人

ライアン様。どうか他の戦士たちに遅れを取らぬよう、がんばってくださいまし」

 若いナオンの言葉にうっとりしている暇は、超多忙な身のそれがしには無いのでござる。今は礼を言う余裕もないが、この事件が解決した暁には、必ずや無事な姿で城に戻り、お礼に叩っ斬るでござる(再びなぜ)。

 バトランド城の巨大な城門を出ると、すぐに城下町の目抜き通りに出るでござる。城下町は、お城の兵士になりたかったご老人や昼間っからブラブラしている若人などで賑わっているでござる。

 それがしの基本装備は「どうのつるぎ」と「かわのよろい」であるが、よくこんな装備で今まで王宮戦士だなどと威張ってきたものでござる。いや、別に威張っていたわけではないのでござるが(どっちだ)。そして所持金はたったの50G(ゴールド)。これでは何も買えないので、仕方なく着の身着のままで町の外へ出てみるでござる。目指すはイムルの村。

「このお城から西の洞窟を抜け海沿いを行くと、イムルの村ですわ」

 若い女性からこのような貴重な情報を頂戴できるとは、わがはいもまだまだ捨てたものではござらん....ではなく、かたじけない。この旅より無事に帰った暁にはお礼のしるしに斬り捨てごめんでござる(意味不明)。

 実は最初の目的地であるイムルの村へ行くには、途中でダンジョンを通らねばならない。まだレベルが低いそれがしには、風来のシレンのようにがんがんダンジョンへ入り込む余裕はないのでござる。それがしは王宮戦士。そしてこれは現実でござる。ダンジョンで死んでしまっては戦士の名が廃るのでござる。

 朝(多分)に城を出て、城の周りで化け物退治に励んでいると、やがて昼になり、日が傾き、しまいにはとっぷりと世が暮れてしまうのでござる。12時間労働どころの話ではない。このままでは過労死してしまうでござる。残業手当もほしいところでござる。有休休暇の残りも気になるでござる。休日出勤の代休は何ヶ月以内に取らないといけないのであるか(意外と社会派)。(誤)

 レベルがひとつ上がって調子に乗っていると、夜になり、2匹のバブルスライムに出会ってしまった。レベルの低いそれがしにとっては強敵でござる。1匹を倒しほっとしたところに、2匹目の攻撃を受け、まんまと毒に冒されてしまったでござる。毒に冒された部分は、最初ヒリヒリし、やがて焼けるように熱くなるのでござる。ジュラシック・パークでござる。怖いのでござる。

 毒に冒された身体を引きずりながら、夜の平原をお城に向かうそれがし。ロマンス・グレーナイスミドルっぷりに、若いナオンの黄色い声援が聞こえるようでござるが、それはおそらく毒に冒されたための幻聴であろう。いや、まいった。

 では、今宵はこれにて。ごめん。


 とりあえず再スタートを切ってみましたが、あんまり変わんない? (笑)

 ということで次回もみんなで一緒に冒険しましょう。

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