筆者=野村 仁
掲載=『Free Fan』No.31(2000年12月)
 
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「鳳来問題」経過報告2000年8月〜11月=

●「クライマーズネット愛知」 (2000年8月29日)
 宗宮誠祐、高木豊、松岡尚子が発起人となって、「クライマーズネット愛知」が発足した。
 8月29日の第1回会議(日進市スポーツセンター会議室、19時〜21時)では、鳳来問題の経過説明(特に5月連休中の経緯)、栃ノ木沢の岩場を取り巻く状況確認、栃ノ木沢の岩場への対応が話し合われた。そして、次の点が指摘された。
1.「栃ノ木沢方面の岩場(小屋裏、影の大物)とそのアプローチを含む岡崎教育林への立ち入り禁止の看板が設置されました」という表現は、8月29日時点では正確な表現とはいえない。表現の変更が必要。
2.パラダイス・治山水などでのクライミングについては、駐車場問題以外にはこれを自粛する理由は見つけにくい。
 このことから、以後、治山水・パラダイス方面の開放をめぐって論争がかわされることになる。

「小屋裏」エリア入口にて

 このほか、以下の事項が話し合われた。
(A)「ネット愛知」のおもな活動内容案
・愛知県のクライマーの連絡網を整備し、正確な情報を配信する。
・岡崎市にご挨拶にうかがう。
・ルート整備のカンパ活動の強化。
(B) 会議中に提出された意見
・第1回クライマーズネット愛知参加者から、何名かを鳳来問題メーリングリストへ登録するように「愛する会」に要請。(宗宮)
・「岡崎教育林への立ち入り禁止の看板が設置……」というチラシの文言の変更を提案。(宗宮)
・「栃ノ木沢の岩場への対応」について、以下のような意見があった。
「自主規制をはずし、早期にこの方面でのクライミングを再開したほうが、今後の活動を考えると、むしろ better なのではないか。駐車場問題も、例えば土日や連休に人出が固まらないよう平日に分散して行く、どうしても土日しか行けない人は極力乗り合わせをする、などすれば、当面は駐車場があふれかえることもないのではないか」(松岡)

●パラダイス、治山水等の開放について
 「ネット愛知」からの指摘を受けて、若林は鳳来問題メーリングリスト(以下「ML」)でパラダイス、治山水方面の開放を提案。以後約2週間続いた論争は、「クライマーの会」のメンバー個々の基本姿勢を問うものとなった。

 以下はMLの発言からの抜粋。
本当に状況が許すのであれば開放には賛成。ただし駐車問題は残されているし、クライマーのマナーやモラルの問題もまだ時間がかかる。そのあたりのことは、もう少しじっくり時間をかけて話し合ったほうがいい。(井上9/14)
パラダイス・治山水はこの秋から開放するのが妥当。「岡崎市が立ち入り禁止を打ち出した」→「栃の木沢でのクライミング禁止」→「その後の大騒動」という図式を1日でも早く取り除いたほうが、これからの展開にプラスになる。(松岡9/14)
岡崎市は16人いる所有者のうちの1人にすぎない。岡崎市がどうやらOK、季節的に良いから開放というのは「危ない」のでは? 駐車場問題、ボルトや汚いスリングなど、まだ火種は残っている。所有者の立場で考える必要がある。(保科 9/19)
栃の木沢方面開放の前にやるべきこと:
1) カモフラージュされたボルト・終了点への打ち替えのさらなる徹底。
2) 残置物排除のさらなる徹底。
3) その他清掃作業の継続。
4) 駐車場問題の解決。
5) トイレ問題の一般クライマーへの啓蒙活動。
6) 以上について「ここまでやりました!」という作業報告書の作成。そのうえでの、
7) 地主へのあいさつ。
「現地での対策」だけでなく、「地元以外のクライマーの態度・マナー」が向上したとだれもが思えるようになってからでないと。(井上9/20)
今回の活動は、偉そうに言えば、鳳来クライマーの自立を実現することで、結果我々が地元の理解を得る所に帰着点がある。今はじっくり自分たちの自立に向けてやるべきことをやる期間だと思う。「地元民のマイナス評価のなかで幸運にも使わせてもらえているエリアがあるんだ」という現状認識を忘れてはならないと思う。既存の開放エリアも、スジでは地主の了解を取らずに「無断で」登っているエリアなのだから。(高橋9/20)
栃ノ木沢の駐車場問題は、止める場所と台数を指定して、一杯だったらあきらめるか、キャンプ場に有料で止めさせてもらって歩く、というような啓蒙をして、後は良識に任せるというのではどうか。「所有者の許可問題」については、所有者の許可を得ずになし崩し的に登る「グレー式」か、きちんと許可を得て堂々と登る「正攻法」かの間で揺れているのが本音。(宗宮9/20、OPINIONも参照)
栃ノ木沢のクライマーが使う駐車スペースにも地主は存在する。もし川合区の共有地だとしたら、区の了解をとらなくてはならない。「パラダイス」「ウェーブ」は川合区の共有林、「治山水」も地主は川合の人。少なくとも川合(地元)関係にはきちんと許可をとるべきだ。(保科 9/20)
一部エリアの自主規制廃止についても、ある程度の基本姿勢を作り、より多くのクライマーに協力要請のうえ、できればより多くの賛意を集約した後に行なう必要があるのではないか。(安井9/24)
パラダイスをオープンするにしても手続きがある。駐車場問題の解決、川合区へのあいさつ、また当然だが、終了点・ハンガーのチェック、迷彩ハンガーへの交換など整備をしてからの話。(若林9/28)
 このように、MLではパラダイス、治山水等の開放(正確には「自粛」解除)はまだ早いとする意見が多かったが、MLだけで結論を出すことはできず、次回の鳳来会議で話し合うことになった。


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