筆者=野村 仁
掲載=『Free Fan』No.30(2000年9月)
 
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「鳳来問題」の経過 2000年8月まで=

●「入山禁止」まで
 1年前のロクスノ1999年秋号に、鳳来の記事が載った。コンセプトは「10〜11前半のクライマーにすすめる鳳来ガイド」。まねき猫、奥の院、軍艦岩、パラダイスを写真入りでガイドして、栃ノ木沢から各岩場へのアプローチを図入りで紹介した。
 この記事は、今回の入山禁止に直接結びつく原因とはいえないにせよ、いろいろな意味で象徴的だった。私は鳳来にほとんど行ったことがないので、記事の影響を確認することはできなかった。しかし、これ以後、「鳳来に来るクライマーが倍増した」「わけのわからん人が来るようになった」との声が聞かれる。鳳来を訪れるクライマー層が、従来とは変わりつつあったのだと思われる。

入山禁止の区域 (photo: Hoshina)

保科雅則氏サイト「鳳来湖情報」(旧版)より
・2000年4月:パラダイスの所有者に依頼されて下草刈りをした作業者が、岩場周辺の大便に怒る。岡崎教育林の管理人に「ウンコの畑」「石を置いてその上に乗って作業した」と伝えた。この話がパラダイス所有者に伝わっているかは不明。
・日時不明:栃ノ木沢車止め手前の道路脇の駐車で、岡崎教育林から材木を運ぶために来た4トン車が進入できず引き返した。
・5月:GWをむかえ、多くの人が鳳来を訪れた。
・6月6日前後:斎藤修氏他がボルダリング中に、立入禁止措置になるという話を(キャンプ場の)管理人から聞く。その時は、「パラダイス方面の糞尿」が問題であるという話であった。

 鳳来クライマーから第一声が発せられた。私が見たのは、日進市スポーツセンターに集まるクライマーのホームページだった。

「Climbing Bears in Nissin」より
[栃木沢方面の入山禁止の可能性について](2000/6/8)
 パラダイスロックなどのエリアを含む、栃木沢方面への入山が禁止になる可能性が出てきました。
 これは今週の火曜日、岡崎キャンプ場方面にボルダリングに行ったクライマーが、キャンプ場斜面への立ち入り禁止の看板を見かけ、キャンプ場の管理人に話を聞いたところ、「4月に地主がパラダイス方面に下草刈りに行った際、一面の排便跡に憤慨し、6月15日(12日?)以降の栃木沢方面の入山を禁止する」とのことでした。
 トイレ問題については以前から何度も言われていることなのですが、何も改善されることなく、残念ながら今回のような事態を招いたと言えるかもしれません。
 今後、地元クライマー、JFA(日本フリークライミング協会)関係者らが、栃の木沢周辺のエリアが登攀禁止にならないよう、地元との話し合いをすすめていく模様ですので、以下の点についてご協力ください。
・しばらく栃木沢方面への入山を控える。
・トイレの問題について周りに啓蒙する。
 この文章は無記名だが、書いたのは若林伸一郎氏と思われる。これに引き続いて若林氏は鳳来常連の仲間とともに、各方面へ岩場の清掃を呼びかけた。私も横浜ビックロックで大岩あき子さんに声をかけられ、初めて鳳来の状況を知らされたのだった。
 6月10日、約20名のクライマーが、栃ノ木沢周辺(影の大物、小屋裏、パラダイス、治山水、軍艦岩)、ガンコ、ひょうたん、まねき猫、鬼石周辺の清掃作業を行なった。すべての岩場に用便、ペーパーが残されており、とくに鬼石は目に余る汚れかただった。クライマーばかりでなく、ハイカーのものと思われる用便もあり、また、女性の生理用品が捨てられていた岩場もあった。14日には名古屋の田中氏が単独でオレンジ周辺の清掃作業を行ない、こちらも、かなり汚れていたという。
 このときの体験をベースとして、クライマーが守るべきマナー項目が明らかになっていった。ネットでの発言をみると、糞便の山を処理した経験のあとでは「とても岩場でする気がしなくなる」「少しくらいなら…という気にもなれない」、そんな感想が目についた。用便と残置物、駐車問題によってクライマーは自分たちの首を締め、ほかの岩場へも禁止措置が波及しかねないとの危機感が増していた。

 6月15日、岡崎教育林への立入禁止の看板が建てられた。

「やくたあもにゃあ掲示板」より
[岡崎市教育林] ホシナ(6/16)
 6/15に岡崎市教育林に看板を設置するということなので、(斎藤)修さんと現地に行ってきました。
 岡崎市役所の管財課から2名が来て立ち入り禁止の看板を設置しました。岡崎市としては、クライミングの事故による管理責任を恐れているというのが本音です。
 また教育林は岡崎市の土地で、それを使用するには岡崎市民で使用許可を得ている者というのが条件なので、クライマーは勝手に人の土地に入って勝手なことをやっている、とのこと。いままで何の挨拶も無かったというのも看板設置に至った理由だそうです。−以下略−

「Climbing Bears in Nissin」より
[栃の木沢方面への立ち入り禁止の看板] 若林伸一郎(6/16)
 昨日6月15日、間違いなく岡崎教育林への立ち入り禁止の看板が立ってしまいました。私自身は、現物見ていないので詳しい内容はいえませんが、クライミング禁止、ではなく立ち入り禁止ということらしい。
 今回の流れとしては、
1.岡崎の山に入って活動しているやつらが居る。(クライミング)
2.しかも自分のシモの始末も出来ないらしい。
3.事故が起こっても責任とれないぞ。
4.キャンプ場の近くでも岩登りしてる。
5.じゃあ立ち入り禁止。――ってな感じらしい。
 私が直接お話を伺ったわけじゃないので、週末に保科氏、斎藤氏に話を聞いて正確な情報をお伝えします。
 ですから、提案書の上部分はもう起きてしまった事となってしまいました。−以下略−
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