筆者:宗宮 誠祐
掲載:『Free Fan』No.31、2000年12月
 
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地主さんへの「正面玄関」式のもつ特性(続)

 以上のようなことからも、そろそろ今までの「まあ黙認という形で」とか「登ってもいいけど、知らなかったことにしておいてね」という「勝手口」式から、なるべく早く「正面玄関」式に切り替えていくのが「あるべき姿」だと思います。
 しかし、「正面玄関」式の場合は、当然いくつかのエリアを失う覚悟が必要になってくるので、なるべく多くのクライマーに「もし交渉がうまくいかなくて登れないエリアが発生しても、クライミングを文化として認知させるために、そのリスクを甘受しよう」という啓蒙活動が必要になってきます。事後承諾だとかなりのリアクションが予想されます。

乳岩

 また、さすがに、「正面玄関」式の結果「鳳来クライミング全面禁止」というのではつらいと思うので、交渉をはじめる前に、この「事故ったときに地主さんが管理責任を問われかねない」というリスクのインフォームド・コンセントを行ったら、どの程度の岩場が存続可能かを、それとなく調査検討しておく必要があると思います。
 もちろん「鳳来クライミング全面禁止」になっても、そのリスクにひるまずに正面から堂々と交渉しようという考え方もありますよね。トルシェ監督も「たとえ死んでも(ブラジルに負けても)、自分の哲学を貫く。負けても本望である」と言ったそうですし……。トルシェって「日本人」だったりして……。
 冗談はさておき、ポイントは皆さんのコンセンサスはどうかということです。
 もし皆さんのコンセンサスが「正面玄関」式でということになるのなら、それは「一つの見識」ですし、しばらくは不本意だけど、今までのような黙認グレイの「勝手口」式でいこうという場合も同様だと考えます。
 ただし、繰り返しになりますが、「正面玄関」式は「マナーを守りますからお願いします」に「管理責任についてのインフォームド・コンセント」をプラスしたものであるべきだと考えています。この点にふれないのはアンフェアだし、将来、なぜ管理責任についてのインフォームド・コンセントを尽くさなかったのだということにもなりかねませんから……。

 閑話休題。
 岡崎市につきましては「正面玄関」式を視野に入れながら、堂々と正面からいろいろとご提案させていただきたいと「個人的には」思っています。この点については、本メーリングリストとクライマーズネット愛知でさらに議論を深めたいと考えておりますので、皆様のご指導よろしくお願いいたします。([鳳来問題ML]No.150、9/21付)

(追記:2001/9/22)
 以前からその法的な効力が疑問視されていた「免責同意書」について、やはり「公序良俗に反するので無効である」という判決が、ダイビング事故の訴訟に対して、最近2例、相次いで判示された。よって、「誓約書」についても、その法的な効力は判然としない。何らかの工夫が必要と思われる。

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