鳳来の岩場を愛するクライマーの会

2007年5月13日 作成



簡単な補足説明】
自粛解除とはどういう意味なのか?



自粛解除とは?いったい何のことを言っているのか、さっぱりわからない人もいるかもしれない。そこで少し説明を加えておきたい。
まず、大前提として確認しておきたいのは、クライミングとは個人の自由な行為であって、だれからも束縛を受けないということだ。簡単にいうと「他人に迷惑をかけなければ、どこでも自由に登ってかまわない」わけである。
だが現実には、自由に登れない事態もしばしば起こってきた。それにせよ、できるだけ制約を少なくして、自由に登れる状態のほうに少しでも近づけたい。そのほうがクライマーとしては理想だと考えているのである。
ところが、あろうことか、当会ではクライマーが自分で自分に足かせをはめるようなことをやってきた。それが「クライミング自粛のお願い」であった。アクセス問題という妖怪にとりつかれたために、こんなことになってきたのだ。心ない一部の人たちは、まるで「愛する会」が権威ある監視組織のように君臨して、「クライミングを禁止」している、などと陰口を言っていたかもしれない。

だが、じつはだれもクライミングを禁止しているわけではない。岡崎市教育林についていうと、正確に
 
軍艦岩のクライミング
ぐんかん岩のクライミング
〔本文と写真とは関係ありません〕
は「立入り禁止」であって、条例のどこにもクライミング禁止とは書いていない。実際に、教育林内を通ってハイキングをしたり、山仕事に通ったり、といったことは、岡崎市では容認しているようである。
「愛する会」の同エリア入山自粛は、岡崎市から正式にクライミングを許可してもらうための交渉をやっていくので、その交渉が続いている間は市側に気配りして、クライマーはおとなしくしていよう、というものだった。
また、かつては鳳来全域でトイレ問題やらギア残置問題やらが猛威を奮っており、岩場周辺は目に余る状態になっていて、それを正していく必要があった。岡崎市教育林の入口に立入り禁止の看板が立てられたのもそのときで、鳳来全域がクライミング禁止になりかねないとの危機感のもとで、もっとも危険な火種になりかねなかった岡崎市教育林については、ともかく入山を自粛しようということになった。当時のクライマーはほぼ全員一致でそう取り決めたのだった。
「鳳来問題」と呼ばれた騒動から7年間、鳳来を訪れるクライマーは「愛する会」からの提案事項をほぼ忠実に守ってくれた。実際、トイレ問題、残置問題にせよ、全国のどこのエリアと比較しても、鳳来の鬼石あたりはキレイなものである。駐車スペースの事情や、よいテント場もなく不便なのによくガマンしてもらい、それが7年間も続いている。
新たに鳳来にやって来る若い人たちも、この岩場だけはアクセスとマナーの問題を先輩に伝えられ、そのうえで来ているのではないだろうか。ちょっと羽目をはずすようなことがあっても、だれかが注意してくれているのにちがいない。
とにかく、鳳来で目にするクライミングマナーは見事だと、私自身はこれまで感じることが多かった(最近1〜2年の状況はわからないが……)。
鳳来ではもう久しく問題は起こっていないので、鳳来の全エリアで、「クライミング自粛」のごとき不自然なことは止めにしたい。
クライマーひとりひとりが考えて、どこで登っていいのか、どこで登るのは問題が起こりそうで危険なのか判断してほしい。そして、もし不幸にして、あなたのとった行動のせいで問題が起こってしまったなら、クライミング人生すべてを賭けて対処し、問題が解決するまで取り組まなくてはいけないだろう。昔、鳳来で問題が起こったとき、多くのクライマーがそうしたのと同じように。
そのようにしてクライマー自らが登るエリアの伝統を守っていくことは、5.14や五段を登るのと同じくらい大切なことではないだろうか。
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(記=「愛する会」広報係・野村)

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