---えどめぇるまがじん---

銀座・三河屋・バックナンバー
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銀座・三河屋

再生ものがたり (2)

「外観」 「ウインドディスプレー」

 去る11月20日、江戸スローフードの店「銀座・三河屋 本店」が、銀座八丁目の金春通りにオープンしました。この日を目指して、それはそれは、めまぐるしい毎日を送ってきたプロジェクトチームの試みが結実する、運命の瞬間です。
 もちろん、『えどまが』チームが、このイベントを見逃すはずもありません。ということで、今回は、オープン当日の模様と店内の様子、そして、選び抜かれた江戸食のいくつかを、『えどまが』の視点から、たっぷりご紹介させていただきます。


資生堂パーラーの角
左側のピンクの建物が資生堂パーラー。その昔、「銀座・三河屋」があった一角です。
この角を右折、さらに最初の角を左折すると、左手に江戸食の店「銀座・三河屋 本店」があります。
自分サイズのお箸が見つかる!
 この日は、朝からあいにくの雨模様。吐く息も白く、銀座中央通りを新橋方面にてくてく歩いていくと、ありました、ありました、資生堂パーラーのピンクのビルが。このモダンでエレガントな建物を目印に、手前の角をひょいと右に折れ、最初にぶつかる通りが、金春(こんぱる)通り。昔日の銀座の面影が残るこの通りを左(新橋方面)に曲がれば、ほどなく「銀座・三河屋 本店」にたどり着きます。
 さて、さっそく店内を覗いてみると、おお、悪天候にもかかわらず、なかなかの盛況ぶり。 間口が狭く奥行きのあるこぢんまりとしたスペースに、選りすぐりの江戸食とその解説パネルがわかりやすく展示されています。
 店に入って最初に目が行くのが、入口すぐ右手のお箸コーナー。上質の竹を職人の手で一膳一膳ていねいに削った、銀座・三河屋オリジナルの箸が並んでいます。芳香があり、ほどよくしなる竹は、繊細な箸先の「仕事」が大切な和食に最適の素材。ただし、竹材で細く丈夫な箸先を作るには、素材の選定も含め、熟練の職人技が不可欠なのだそうです。
 また、その人の手の大きさに合った箸のサイズがあるという考えから、銀座・三河屋では、16〜26センチまで、9段階の「箸サイズ」を用意。設置のパネルで手の長さを測ると、その場で自分にピッタリの箸サイズがわかるようになっています(「手の長さ+3センチ」というのが、その人に最も扱いやすい箸の長さ)。銀座にお越しの際は、ぜひ、こちらで、ご自分の箸サイズをお確かめになってはいかがでしょうか。

お客さん
この日は、雨天にもかかわらず、出足も上々。こだわりのラインナップに、皆さん、興味津々の面もちでした。
店内風景1
店内は上品で見やすいレイアウト。
手前が「銀座・三河屋」オリジナルの箸コーナーです。
箸各種:800〜1,200円
箸のマイサイズ
こうやって手の長さを測ると……
その場で自分にピッタリの箸サイズがわかります。ちょっと、ワクワク♪

梅びしお資料
店長おすすめの「梅びしお」(陶器入:1,800円)。酸味も塩辛さもごく控えめで、梅本来の風味が生きています。
(写真は説明パネルですので、実際の商品体裁とは異なります)
驚きの味わい「梅びしお」
 混み合う店内をきょろきょろ物色していると、ユニフォーム姿の女性がニコニコしながらこちらに近づいてきました。
 「はじめまして、店長の福田喜美江です」
 おお、この方が、江戸食の店「銀座・三河屋 本店」の店長さん! 調理師免許を持っていて、食べ物と美容・健康の関係についても、かなり詳しいとの噂。今日が初日ということで、ちょっぴり緊張の面もちです。
 「こちらの『梅びしお』、もうご試食になられました? 梅はアルカリ性食品ですから、酸性に傾いた現代人の体に、とってもいいんですよ」(福田店長)
 ご存じの方も多いと思いますが、梅びしお(梅醤、梅びしょ)とは、梅肉をつぶして裏ごししたものに、かつおぶしや調味料を加え、練り上げたもの。保存がきくので、白飯に、梅肉和えにと、昔から各家庭ごとのレシピで、重宝に扱われてきた食品です。
 しかしですね、実はワタクシ、梅干しが大の苦手。だから、これは、ちょっと……とお断りしようと思ったのに、「まあ、まあ」と、たっぷり梅びしおを盛った匙を差し出されてしまいました。うう、店長、そんな殺生な。
 しかし、ここで引いたら女がすたる。え〜い、ぱくっ! うげえ〜っ、う、うげ……げ、げ、げ??? あり? ツンとするようなイヤな酸味がないっ! あの、のたうちまわるようなしょっぱさもないぞ。あ、上品なかつおぶしの風味がする。わ、梅の香りがふわ〜んと広がる。ありり? もしかして、コレ、かなり、おいしい……です、ね?
 「梅本来のやさしさと香りが詰まっていますでしょう? ホンモノはこんなにおいいしいという見本のような商品です。梅肉和えが苦手な方にも自信を持っておすすめできます」
 まさに、店長さんのおっしゃるとおり。この「梅びしお」は、いつまでも口の中に梅の香りが残る、やさしい味わいで、梅干し嫌いのワタシですが、そのままでも十分おいしくいただけました。そこらの梅干しにありがちな“ケミカル&ソルティ”なえぐさがまったくないので、いろいろな使い道がありそうです。
 ヘルシーで、日持ちがして、そのまま舐めてもおいしくて、使い勝手がよくて、しかも、陶製の器入り。これは、ケーキや和菓子よりもオツな「オトナの手みやげ」になるかもしれませんよ。

 
煎酒
これが、『えどまが』イチオシの「銀座・三河屋 煎酒」。
お歳暮など、健康が気になる方へのギフトにもピッタリ。まずは、ご自宅用に一本、いかがですか?
台所のオールラウンドプレイヤー
 「銀座・三河屋 煎酒」登場!

 さて、お待たせいたしました。前回でも、ちらりとご紹介した「銀座・三河屋 煎酒(いりざけ)」(300ml:550円、600ml:1000円)の登場です。
 「銀座・三河屋 煎酒」は、日本酒に梅干しと花がつおを煮詰めてつくる江戸時代の煎酒をヒントに、銀座・三河屋が独自に開発した食卓調味料。再生プロジェクトの根幹をなす主力商品であり、料理監修の福田さんはもちろん、われわれ「えどまが」チームも、その開発の試行錯誤を見守ってきた、思い入れのある商品です。
 梅の酸味と醤油の風味がやさしく溶け合い、低塩分(一般の醤油より塩分40%カット)&ノンオイルなのに豊かな味わい。いわゆる「かけ醤油」として、刺身や蒸し魚、冷や奴、和え物に使えば、その懐かしくも新鮮な味わいに、うぴゃっと舌が喜ぶこと、請け合いの傑作です。また、どんな素材にも不思議なくらいしっくりなじむので、いろいろな組み合わせをお試しいただくと、思わぬ味の発見があるかもしれません。冷蔵庫に一本あるだけで、かなり頼もしい万能選手になるのではないでしょうか。
 ちなみに、オープン初日のお買い上げ第一号は、やはり、この煎酒。「煎酒ってなに?」と、説明パネルの前で立ち止まるお客さんが多く、そこですかさず、小さく切った豆腐にかけてご試食いただいたところ、たいていの方が、あっさりお買い上げくださったとのこと。うーん、もしかして、来年あたり、ブレイクしちゃうかも?

江戸料理百選コーナー1 こんなに広い、「江戸料理コーナー」。名著『江戸料理百選』も、実際にご覧いただけます。
豪華試食セット オープン記念ということで、特別に出していただいた「豪華・試食セット」。右が「牡蠣しぐれ煮」、左が「蛤胡椒煮」。どちらも大粒・肉厚の特選素材です。
やったぜ、「江戸料理百選コーナー」
 そして、皆さん、われらが『江戸料理百選』関連コーナーがココ! こんな目立つ場所にばば〜んと設けられていますよー。
 こちらのパネルを見てご注文いただくと、『江戸料理百選』の著者「なべ家」主人・福田 浩さん心づくしの江戸前料理が、ご自宅に届くシステムです。もちろん『江戸料理百選』からの献立もばっちり入っています。
 「本日は、オープン記念ということで、ほとんどのメニューがご試食になれますので、気になる商品がありましたら、ぜひ、お申し付けください」(福田店長)
 そ、それじゃ、この「季節限定メニュー 牡蠣しぐれ煮」ってえ、高そうなヤツも、食べさせていただけます?
 「ハイ、どうぞ、こちらにご用意させていただきます」
 うれしや、うれし。スタッフの方に導かれ、小さな試食テーブルに着くと、出てきた牡蠣の、なんとぷっくり愛らしいこと。ぱくりっ。むぐむぐ。じう〜っ。
 う〜、しみ出る、しみ出る。この、ふっくらした牡蠣の旨味。そこに柚子と生姜のアクセントがほんのりと。う・ま〜いっっ!
 この「牡蠣しぐれ煮」は、厳選された大粒の牡蠣が15粒前後(約250g)入って、3,000円。このほか、12月現在の季節限定メニューには、「穴子の信楽煮」(250g:5,000円)、「蛤胡椒煮」(15粒前後<約250g>:3,000円)、「鮑飯」(2個<鮑貝殻入>:5,000円)などがスタンバイ中。素材の入荷状況、注文の混み具合にもよりますが、通常、1週間以内にできたてのお料理が届くそうです。
 また、定番商品では、われらが『江戸料理百選』でもおなじみの「玲瓏(こおり)豆腐」(6個<容器入>:3,000円)はじめ、「鳥しぐれ」(2瓶:2,000円)、「江戸前玉子焼き」(4個:2,300円)など、親しみやすいメニューがそろっています。
 と、魅力的な商品が目白押しなわけですが、「銀座・三河屋」の商品すべてを、ここでご紹介することは、とてもできません。詳しいメニューについては、「銀座・三河屋」のWebサイトをご参照ください。

いらっしゃいませ〜
ユニフォーム姿も爽やかな店長の福田喜美江さんと、プロジェクトリーダーの神谷さんご夫妻。
あせらない、急がない、我はスローフードなり
 さて、最後に、福田店長に「銀座・三河屋」オープンにあたっての抱負を伺うことにいたしましょう。
 「はい。この店に是非とも足をお運びいただいて、体の隅々にしみわたるような、やさしい江戸食のおいしさを体感していただきたいと思います。そして、心から納得して私どもの商品をお買い上げくださるお客様を、少しずつ少しずつ、口コミなどで増やしていきたいと考えています」(福田店長)
 食べてもらったら、わかる。その自信があるから、急がない、あせらない。それが江戸スローフードの店「銀座・三河屋」のポリシーのようです。一見、無器用。だけど、実はすごく緻密な戦略なのかもしれません。
 数人のお客さんで一杯になってしまう小さなショップですが、ここを訪れた方には、きっと、食に関する新たな発見と喜びがあることでしょう。
 また、インターネットがここまで普及した現在、グルメ情報は瞬くようなスピードとスケールで世界中を駆けめぐります。東京の銀座八丁目発。この、古くて新しい銀座・三河屋の「江戸スローフード」は、いったい、地球上のどのあたりまで届くことでしょうか(柚木ぽん)。


地図
 
 
銀座・三河屋 本店
 東京都中央区銀座8丁目8番18号
 TEL:03-3571-0136
 FAX:03-3571-0157
 営業時間:11:00〜20:00/日祝・休
 E-mail:edo-info@ginza-mikawaya.jp
 URL:http://www.ginza-mikawaya.jp

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