Software Review vol.6

ファイヤープロレスリング for Wonder Swan・・・Produced by (c) 加賀テック (\.3980)

昨今、ポリゴン当たり前状態のプロレスゲームの中にあって、2Dながらもプロレスゲームにこのソフトありとプロレスファンの間でも評価の高い人気シリーズのWS版。開発元のゴタゴタのせいで発売が遅れに遅れていたのですが、オクラ入りせずに無事に発売されました (良かった良かった)。

画面構成はSFC版ファイプロXに似ています。実際のゲーム画面だけでなく、レスラーを選択する画面とかも含めてです。もしかしたらグラフィック自体はそのままコンバートしたのかもしれません (それくらい良く似てる)。まぁ、2D画面のグラフィックとしてはこれ以上の展開は望めないかもしれません。ただ、このゲームの場合WSのモノクロ液晶自体に問題があるのですが、同じようなスタイルのレスラーの対戦では見分けが付かなくなってしまいます。技をかけてるつもりがかけられてたり、逆に関節を極められてると思ってボタン連打したら関節解いたり。まぁ、com対戦ではどうしようもないかもしれませんが、対人対戦をする時は似たような選手を選ばないのが賢明でしょう。

登録されているレスラーと技の数はホントに多いです。多分隠しレスラーも居ると思うし、自分でレスラーをエディット出来ることを考えると1人では手に負えないくらい膨大なバリエーションが存在するといって構わないでしょう。ただ、問題はそれらのデータがまったく無いこと。マニュアルにもそれらのデータの一部どころかかけらも掲載されていません。これらのデータをすべて解明するのは個人では無理でしょう。攻略本の発売を期待したいところですが・・・ハードがハードなだけにあまり期待できないかもしれません \(^_^;)ぉぃ。誰か解析してWEBで公開してくれないかなぁ (他力本願モード)。

技に直接関係する操作系ですが、様々な技を出すために多くのボタンを使うことになっています。走るボタンがスタートボタンというのはまだ我慢できますが (WSカラーになるとすぐ横に電源ボタンが来るので押し間違えたりしないか非常に不安)、スペシャル技を出すのにYボタン全部押しというのは納得いきません。元々、PCエンジンでオリジナルが発売された時にはパッドのボタンが少ないこともあり、A/B同時押しすることで技のバリエーションを増やしたというのは分かります。しかし、WSの場合は押しやすいかどうかはともかくとして遥かに多い数のボタンがあるのです。スペシャル技だからといって4つボタンにすることはなく、1つにしても良かったはずです (方向キーから手を話さなければならないから結構押すのが面倒で使わないという人も居るだろうから)。特にWSのボタンはお世辞にも押しやすいとは言えません。それを4つ同時タイミングで押すというのは、リアルタイムのゲームでは無理があります。ファイプロの場合、技が決まるかどうかは体力やタイミングや各種能力値で決まっているのだから最初からスペシャル技を使おうなどと考える人は少ないはずです。

またグラフィックに関して少し気に入らないのが、カウントや制限時間の表示にシステムのフォントをそのまま使っているということ。そのため、背景などに溶け込むこと無く無様な白抜き表示になってしまっています。リングやレスラーのグラフィックが描き混まれているだけに余計に目立ってしまい、手抜きという印象を受けてしまいます。さらに、サウンドもイマイチ。BGMに関しては良く出来てると思うのですが効果音が迫力不足です。カウントの音もそうだし、観客の応援とかブーイングとかももっとやりようがあったのでは?と思います。もしかしたらグラフィックに容量を取られてサウンドにまで凝る余裕が無かったのかもしれませんが、音も重要な要素の一つなのでもうちょっと頑張って欲しかったですね。

モードは結構用意されています。中でも目玉なのは興行モードでしょう。各団体毎にマッチメイクをし、各団体のカラーにあった試合で観客を動員するというもの。上手くクリア出来れば次の団体の興行に移り (より厳しい条件でのクリアが必要となる)、失敗すれば終わり (コンティニューは可能)。マッチメイクは楽しいですが、試合はかったるいです。オートにしてしまうと勝手に変な試合してしまうし、たまに上手くいくこともありますが総じて評価は低いです。かといって全試合自分でプレイするのは・・・やっぱりツライですね。全試合終了後に評価が出てくるのでマッチメイクに関してはすぐに解答というか一例を知ることが出来ますが、試合運びや団体のカラーを出すのはナカナカ難しいです (真のプロレスマニアならばカンタンかも?)。

他には今までのシリーズにもあったトーナメントやイリミネーションマッチ、ワンナイトマッチなどがあります。どれもスタンダードなモードですが、イリミネーション以外のモードで対戦相手をランダムでセレクト出来ないのが個人的には残念。自分で選ぶとどうしても同じようなタイプのレスラーばかりになってしまうし意外性が無いのでランダムで選手が選べるというのは非常に重宝していたんですが。

何となく粗削りというか、何とか発売に漕ぎ着けたという感じが強いソフトです。もちろん、それなりに楽しむことは出来ますが最後までクリアしようとか極めようとかいう情熱は涌いてきません。まぁ、これはゲームが悪いのか自分自身のモチベーションが無いからなのかは分かりませんけどね。おそらくWSで続編が出ることはないと思うのですが、もし出るとするならば以上で述べた問題点をクリアしたモノにして欲しいですね。もっとも、GBAでファイプロAがリリースされるらしいので個人的には気持ちは既にそっちに向いてますが (WS版を買う気はないってことね (笑))。ただ、WS発売当初に出た新日本プロレス闘魂烈伝よりは数倍マシ。というか、比較したらファイプロに失礼。そこら辺は腐っても鯛というところか。

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GUNPEY EX・・・Produced by (c) バンダイ (\.2980)

WS本体と同時発売され、同ハードの普及に大きく貢献した名作パズル・GUNPEYがWSカラー対応ソフトとして再登場。

基本的なルールに一切変更はありません。ただ、カラー対応になったことで、同色消しというルールが加えられています。これは、同じ色でライン (従来は黒1色だったのが、今回は赤・青・緑の3パターンが入り交じって出てくる) を繋げると、ボーナスポイントとして3000点入る他、ラインが消滅するまでのタイムラグが若干長くなり、後付けや離れわざといった連鎖パターンが作りやすいという特典がある。特に、タイムラグが長くなるのは、ラインのせり上がりスピードが上がってきた時には非常に有効です。

その他の変更点として、従来あったストーリーモードが廃止され、代わりにタイムアタックモードが追加されました。これは、制限時間2分あるいは5分以内でのスコアを競うもので、かなりアツクなります。他の落ちモノでよくあるモードだったので追加されて喜んでいる人も多いのではないでしょうか (GUNPEYのレビューでタイムアタックモードが欲しいと書いた私は非常に嬉しいです)。

ストーリーモードが廃止されたことで不用になったのでしょうか、従来使われていたキャラクタは一切出てきません (ちなみに、対戦モードで使用する技自体は従来のモノを踏襲しています)。背景画面も風景や幾何学模様になっています。なお、この背景画面は各モードで高い得点を取るごとに新しいグラフィックが追加されていき、ユーザーが任意に選ぶことが出来ます。絵が変わるだけで特にゲーム自体に変化がある訳ではありませんが、自分の知らない背景画面で遊んでいる人がいればその人は自分よりも高いスコアを取ってるということが一目で分かります。無理な対戦申し込みは避けましょう (笑)。

ゲームシステムの変更でウレシイ点が2つ。ひとつは、ゲームの途中中断機能が付いたこと。ゲーム中いつでもポーズ→セーブ→オフ、する事が出来るので移動中に遊んでいる場合などに非常に重宝します。もっとも、高次元のレベルで遊んでいる場合には下手に中断すると再開してすぐにゲームオーバーということもありえうるので注意が必要ですね (主に、パズルモードでの使用がメインになるのではないでしょうか)。そして、もうひとつはライン競り上げのタイムラグが無くなったこと。これはラインの出現の仕方に関わってた事なのですが、従来は右からスクロールしてきてラインが表示されるという感じだったので、ライン競り上げのボタンを押してもすぐにせり上がらずにイライラしました。しかし、今回は次のラインが一瞬で表示されるようになったので、せり上げボタンを押すと小気味良く反応してくれます。特にタイムアタックモードではライン競り上げは必須なのでこの仕様変更はとても嬉しいです。

ランクの判定は相変わらず厳しいですが、同色消しの影響でスコア自体は取りやすくなっているような気がします (特に、面クリア型のステージモード)。ただ、新しいルールを取り入れても破綻せず、逆に前作よりもバランスが良いと思います。ただ、問題点もあります。それは、発色が悪いこと。赤・緑・青の3色のラインがあるのですが、とにかく赤と緑の区別が付きにくいです。もっとも、これは私自身の問題なのかもしれないので言及は避けておきます。また、グラフィック関連で背景が選べると書いたのですが、この背景も凝ったモノの場合、プレイフィールドに干渉してきて見にくくなります。まぁ、これもそういう変な背景を選ばなければ良いだけなので大きな問題では無いと思いますけどね。

進化というほどの劇的な変化はありませんが、FF目当てでWSカラーを買ったユーザーでも手軽に楽しめるゲームだと思います。まだGUNPEYをやった事の無い人は是非この機会にプレイしてみてはいかがでしょうか?

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ライムライダーケロリカン・・・Produced by (c) バンダイ (\.3980)

パラッパラッパーの監修でお馴染みの松浦雅也氏が企画・監修を行ったWSカラー用のリズムゲー。

ゲーム云々という前にまず注目なのがパッケージ。大きさ自体は他のWSカラー用ソフトの箱と同じなのですが、開け方が違う。なんか、チョコレートの箱みたいにパカッて開けてフタがベローンって伸びてるの (それじゃ、分からんって (笑))。で、そのフタの裏にはキャラクタのグラフィックが大っきく描かれてたりしてかなりカラフルになってます。

問題はそれだけじゃなくて、中に入ってる説明書も普通じゃない。なんか、トレカみたいになってて1枚1枚にキャラクタが描かれていて、その裏にゲームの説明が載っているという凝りよう。もっとも、説明書としては読みにくいというか、もっと詳しい説明を書いてくれという感じがしないでもないですが。でも、この企画はナカナカオモシロイと思います。同じ3980円のソフトならゲームだけじゃなくこういう所にも凝っていてもらった方がお買い得感が高いですしね。

さて、肝心のゲームの方ですが、基本システムはリズムゲーです。ブースター率いるワルノリ軍団の攻撃 (といってもただ単に突っ込んでくるだけですが) をケロリカンを操作して撃退して行くというストーリーで、それぞれの敵に合わせた攻撃法 (ボタンの組み合わせ) で敵の動き (リズム) に合わせて攻撃すれば撃退出来ます。ステージは全部で4つあって各々違うノリの曲に合わせて敵が出現します。概してゆっくりのテンポの曲よりも早いテンポの曲の方が簡単だと思うのは私だけでしょうか?

このゲームの面白い所は、同じ曲であっても敵の出現パターンがプレイの度に変わるということ。既存の音楽ゲームは1つの曲の楽譜は決まっていて1度極めてしまうとソレっきりであったが、このゲームではそういうことが無いです。攻略法はたてにくく苦労するかもしれませんが、長く遊べる様な気はしますね。

ただ、パラッパラッパーもそうだったんですが、自分の思うタイミングとゲームのタイミングが上手く合わないっていうか、ノリ自体が非常に掴みにくいゲームです。その一つの要因にミスした時にそのまま先に進むのではなく、フレーズを巻き戻して再度押し直すというのがあります。これは一見良さげなシステムですが、曲によってはパターンの変わり目などにぶつかり、上手くノリのタイミングが掴めなくて連続ミス>ゲームオーバーというパターンが良くあります。また、各キャラクタによって画面上に出現する間隔は違うのにボタンを押すタイミングは同じ (各キャラには動きが有って、その動きがキャラによって異なる為) という仕様の為、目で追いながらプレイすると混乱する時が有ります (目で見てないとどのボタンを押すかすら分からずにミスしてしまいますけどね (笑))。

あと、本体を30度傾けてプレイするのは、X,Y,A,Bボタンの全てを使う為という話を松浦さんがインタビューで答えてましたが、ハッキリ言って意味無し。A,B,X1,X2が有れば十分です。というか、X,Yの同時押しなんてWSカラー本体を持った状態では無理です (手がデカイ人なら別ですが)。Xボタン同士なら難なく同時押し (ナナメ入れ?) も可能だと思うんですけどね。なんか、ボタンを使う!っていうアイディアは良いと思うんですが、実際に遊んだ時のスタイルとかもちゃんと考慮に入れて欲しいものですね。

ヘッドフォンアダプタを使ってプレイしてみたんですが、それほど劇的に綺麗な音という訳でもないですが、聴けたもんじゃない!というレベルではありませんし、曲自体は結構気に入ってます。生物なのかオブジェなのか分からない敵キャラデザイン (そのリアクションも含めて) や主人公のデザインもポップで好きです (フォントは読みにくくてキライだけど)。もっとも、見た目がキライだったら最初から買ってませんけどね (笑)。ステージ開始前のデモで敵キャラのやっつけ方が表示されるのは親切でマルだし、コンフィグでワンキー設定 (どれか一つのボタンで全ての敵を撃退できる) が付いてるのもライトユーザー向けで良いと思います。

ただ、どうも最初の期待が大きかったせいか、満足感が薄いんですよねぇ。上手くノリに合わせられない (前ノリ気味) ので、3周目以降ほとんど満足にクリア出来ないってのもあるし、ちゃんとボタンに反応しない (特にYボタンでやっつけるキャラが連続で出て来た場合、連打が出来ない (他のキャラでは出来るのに)) といったおかしな挙動が有ったり。あと、パラッパほどストーリーの展開が無い (っていうか、ステージの背景が変わるだけ) っていうのも単調さに拍車をかけてるような気がします。中には作者が同じという事でパラッパのようなゲームを期待している人もいるでしょうが、そういう人達には肩透かしのソフトだと思います。ぜひ、続編を出していただきたいものです。

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TERRORS2・・・Produced by (c) バンダイ (\.3980)

ノベルシアターと銘打って発売されたTERRORS。まぁ、最初に開発されたものだけあってシステムに関しても、シナリオに関しても満足の出来る内容ではなかったのですが、ジャンル的には (WSの携帯性やハード性能の限界も含めて) 非常にWS向きだったことはたしかでした。そういう意味では続編が登場することは何ら不思議な事ではなく、逆に嬉しい事でした。

今回WSカラー対応 (専用ではないので、モノクロ機でも動作します) になったことで注目すべき点は2点。それはグラフィックのカラー化とサウンドの強化です。グラフィックに関しては、まぁ賛否両論あると思うのですが、個人的にはこういったミステリーモノの場合、モノクロの方が恐怖感を煽って好きです。ただ、このソフトのグラフィックが悪い訳ではありません。同時表示可能色数が少ないのに非常に綺麗に見えます (注:光源の具合によってはまったく見えなくなるのも事実ですが)。まぁ、火曜サスペンス劇場を見てるような雰囲気を味わえるのは間違い無いので、そういったドラマが好きな人にはナイス?な改良でしょう (笑)。ちなみに、試しにモノクロ機での画面も見てみましたが、こっちはこっちで怖い雰囲気が増してて良いカンジです。

サウンドに関しては、新たにWSカラーに搭載されたハイパーサウンド機能を駆使して迫力のあるサウンドが・・・と期待してたんですが、聴いてみてもピンと来ませんでした。もちろん、TERRORSの明らかにノイズと分かるようなモノは入っていなかったのですが、革新的とまで言いきれるほどのモノではないです。で、試しにモノクロ機でも聴いてみたところ、なるほどというカンジで納得しました。同じ設定 (ヘッドフォンアダプタで同じ音量に設定) で聴いてみると、音の厚みが全然違いました。WSカラーの方が全然音が深いです。というか、モノクロ機の場合には明らかに機械的にいじってるなぁというのが分かるんですが、WSカラーの方はもちろん機械的にいじってはいるんだけど自然に近いいじり方なので不快度が低いのです。

さらに不快度を下げているのは、余計なヴォイスが入っていないこと。レビューでも書きましたがTERRORSは、素人丸出しのアイドルくずれどもが余計なセリフまで喋るようになってたのでせっかくの雰囲気がぶち壊し。ホラーどころか学芸会並みのコメディに成り下がってたんですが、今回は悲鳴とかうめきといった演出的に効果を狙った場所以外でヴォイスは入ってこない (みたい) なので純粋に物語に入っていけて良いです。もし、前のレビューを見てこういう風にしてくれたのなら嬉しい限りですね (ま、そんなことはありえないと思うけど (笑))。ちなみに、今回このゲームに登場しているのは後藤理沙、上原まゆみ、眞鍋かをり、一戸奈美、山川恵里佳、酒井若菜、平井理央、君嶋ゆかり、村田あゆみ、石川佳奈、安岡力也、山浦まみ、藤川のぞみ、藤田雅子、水谷春香。なんか、ある意味スゴイ顔ぶれ。ギャラも大変でしょうに (ま、ゲームやらないアイドルオタクも巻き込もうっていう魂胆なのかもしれないけど (笑))。

今回、シナリオは3つ (+オマケ1つ) に減りました。ただ、前作のように数だけあって中身が無いのに比べると、数は少ないけどそれなりに遊べるシナリオになっているのは良いと思います。まぁ、どれも何処かで見たり聴いたりしたような内容ではありますけど、『あれ、俺はこういうエンディングにしようとは思ってなかった』とか『このあとに主人公達は一体どうなるんだろう』的な後味があって繰り返し遊ぼうという気が起きるのは前作にはなかったことです (まぁ、それでも10回以上遊ぶのはツライかな (苦笑))。

前作のレビューで希望した文章の早送り機能や選択肢までの自動スキップ機能が付いていないのは残念ですが、片手で操作出来る (Yボタンのみ) ようにしてもらえたのは嬉しい仕様変更です (やっぱり見られてる?)。前作に比べると結構良くなったような気がします。あとは細かい調整と、シナリオの充実が図られれば人気のシリーズになるのではないかと思います。とりあえず、旅行かなんかのお供にはちょうど良い1本かと。

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名探偵コナン・夕暮れの皇女・・・Produced by (c) バンダイ (\.3980)

WSのソフトを買うのはホントに久しぶり。GBAの発売とかも影響してたのは確かだけど、それ以上にWSに面白いソフトが少ないのが大きな理由だったりします (ホント、シッカリしてくれよ>バンダイ)。そんなWSソフト群の中にあって私が非常に気に入ってるシリーズが、この名探偵コナンシリーズです。

過去にリリースされた名探偵コナン・西の名探偵、最大の危機!?名探偵コナン・魔術師の挑戦状!ともマルバツールという推理システムがナカナカ秀逸で、アドベンチャーというよりもパズルゲームとして楽しんでいた訳ですが、今回もそのシステムは健在。今回は更にディテクトな美システムというのが追加されています。これは人々の証言や現場を調べる事でヒントとカギとなる言葉が出現、それらを組み合わせると次に進める (まぁ、フラグが立つということですな) というもの。具体的に言えば、いくつか出てくる推理のカギを、ヒントの欄に組み込み (各ヒントには推理のカギとなる言葉がいくつ必要か決められている) 正解だとストーリーが進展します。このヒントはフローチャートのように表示され、推理の流れを分かりやすくしています。

ただ、このディテクトナビシステムを含めたモード (コナン手帳モードという) のユーザーインタフェースが非常に使いにくい、というかユーザーに易しくないです。1回1回画面を切り替えるので操作が煩雑だし、間違ったカギを入力した時のキャンセルも出来ないし (キャンセルのBボタンを押すと、他の画面に移ってしまう)。また、システムの操作性以前にこのディテクトナビシステム自体もイマイチ好きになれません。というのも、結局コレって他のアドベンチャーゲームと同じフラグ立てだけが目的のモノであちこち動き回って証言を集めれば済むというもの。こういうお使い型のゲームって嫌いなんですよね。で、それに変わるシステムとしてマルバツールがあった訳なんですが、今回はディテクトナビシステムが前面に押し出されている為に、マルバツールを使う場面が非常に少なくなっています。ハッキリ言って、このシリーズのキモはマルバツールであり、それを放棄しているこのソフトはそれだけで私にとっては駄作と言わざるを得ません。

また、そのディテクトナビシステム自体の問題というか、ゲーム自体の問題としてバグが多数あります。通常、1回証言を聴いたり、物証を見つけたりしたらそこにフラグが立って新たな発見として記録、次回以降は特にリアクションが無いというのが普通ですが、このゲームの場合、1度取ったアイテムを何回も取ったりするし、ストーリーの抑制が無いからヒントを発見する順番によってはストーリーが全然噛み合わなかったり (まだ得ていない証言なのに、あたかも既に分かっているかのような展開になる)、とにかく作り込みがアマ過ぎます。まぁ、新たなシステムを作って今までに無いゲームを作ろうとする試み自体は多いに評価出来ますが、今までのシリーズの特長を潰してまでする必要があるのか?特長を活かしつつ新たなアレンジを加えるのが妥当なのではなかったのか?など、非常に悔やまれる部分が多いです。

あんまり、悪いことばかり書いているとクレームが来そうなので、このゲームの良い所も書いておきましょう。まず、グラフィックがカラーになったことはアニメファンには嬉しいでしょう。ただ、個人的にはTVは見ない、というか原作を読んでるので白黒でも全然関係なかったりします。むしろ色よりもドット数の細かさによる描き込みの方が重要。そういう意味じゃWSの液晶は非常に詳細できちんと絵が描けてると思います (良くカラーじゃなきゃダメという人がいるけど、普段見てるマンガは全部モノクロじゃん?そういう人達はマンガ自体を否定する気なんですかねぇ?)。あと、カラーになったとはいうものの、グラフィック自体は過去のシリーズの流用。それに色が付いただけというシロモノです。もう少し手を加えて欲しかったですね (沖野ヨーコなんか絶対デッサン狂ってるし)。

全2作とストーリー的に繋がりがあるということから、データの交換が出来ます。ただ、2つのソフトの商品コードを入力させたりするのはどうなのかな?私、2本とも買ったけど、クリアしたらすぐに売っちゃいましたからね (笑)。入力したくても入力できない。しかもそれが、新たなシナリオとかに関係してくるというのは・・・いくらなんでもやり過ぎ?オマケモードが増える程度の事で良かったと思うんですけどね。あと、全2作のダイジェストが入ってるのはマル。今回が初めてという人にもストーリーの流れが大体把握出来るようになっています。

さて、個人的に楽しみなのがマルバツールのみを楽しめるパズルモード。前作では削られていて非常にガッカリしたのですが、今回は本編のシナリオに出てくる問題数が少ないせいもあってか復活しています。本編のシナリオの中に出てくるヒントを集める毎に問題が増えていくのですが、本来の捜査と全然関係の無いことなのでちょっと水を差される格好になってしまうのは残念です。パズル自体は非常に解き応えがあるので完全に独立したモードとして確立していて欲しかったです。あと、私はサービスに参加していないので確認していませんが、ワンダーゲートを使うと新たな問題がダウンロード出来るそうです。うーん、定期的に問題が配信されるんだったらワンダーゲート買っても良いかな?

次にサウンドに関してですが・・・今までと変わり無いです。WSの音源を考えると、お世辞にも良いとは言えませんね。アニメの音楽を期待するのは酷だと思いますが、もう少し場面を盛り上げるような音楽にして欲しかったですね (曲もそうだけど、音自体もうすっぺらで何か力が抜ける)。音を消してプレイしても支障の無いゲームってのは、アドベンチャーとしては致命的かと。

シナリオは9つに分割されているのですが、一応ストーリー的に繋がりがあり、結構面白かったです。ただ、問題なのはあまりにも導入とかが長すぎること。基本的に操作が始まってコナン手帳モードに移行出来るようになるまでセーブが出来ないんですが、そこに至るまでのストーリーがあまりにも長過ぎ。電車の中で遊んでる時には気を付けないといつまでたってもセーブポイントにならず泣く泣く電源を落として電車を降りる、なんて事にも成りかねません。何処でもセーブ出来るようにしろとまでは言いませんが、レジューム機能は装備して欲しいですね。

なんか、段々と1作目の良さが失われてきたって言うか、遊んでて楽しく無くなってきたというか。今回はパズルモードが付いていたので救われましたけど、次回作は場合によっては買わないかもしれませんね。なんか、久しぶりに買ったのに非常にガッカリしました (それだけ期待も大きかったんですが)。という訳で、推理アドベンチャーにこだわらなくても良いので、マルバツールの問題をメインにしたゲームを作ってください、お願いします>バンダイ

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