ストリートファイター2X・リバイバル

一頃の異常なまでの盛り上がりぶりは無いものの未だにゲーセンで高い人気を誇る2D格闘ゲーム。ルーツを探っていけば電子ゲーム時代のボクシングまで溯ってしまいますが (ソレ、行き過ぎ (笑))、2D格闘というジャンルを確立しプレイヤーに対人対戦の楽しみを知らしめたのはストリートファイター2 (カプコン) だと言って間違い無いでしょう。私も、ゲーセンではやったことはありませんでしたが、SFC版は寮に居た同僚とかなり対戦したものでした。

ただ、元々あまりアクションが得意ではなかったということもあるのですが、試合を多くこなした割には腕はあまり上達せず (特定のキャラで修練しなかったというのもあると思うが)、さらに続編が次々と登場し、オリジナルの動きにすら付いていけなかった私には到底及びも付かない状態で、2D格闘ゲームとはここでオサラバということになってしまいました。ちょうど、この頃からGBにウェイトを置き始めたのも格闘ゲームから疎遠になる一因でした。何故なら、GBでも2D格闘ゲームは結構リリースされているのですが、お世辞にも良い出来とは言えませんでした (操作性も、ゲームシステムも、演出面も)。ネオジオポケットの登場で、やっと遊べる格闘ゲームが出てきたなってカンジですからね (そのネオポケのゲームでさえ演出面ではイマイチと言わざるを得ない状況・・・)。

まぁ、そういった状況の中、21世紀最初にして最後の2DマシンといわれるGBAで元祖の流れをくみ全シリーズ中でイチバンバランスが良いとされている2Xがリメイクされました。別に『格闘ゲームはやらない』と突っぱねても良かったのですが、手軽に遊べる携帯機で格闘ゲームが出来るというのはコツコツ練習するにはもってこいだし、今までの空白の期間を埋めることが出来る (別に埋めなくても良いんだけど (笑)) のではないかという期待を込めて買ってしまいました。

まず、グラフィックですが、これはかなり綺麗です。画面の比率から多少キャラの縮尺が変わってるようにも見えますが、キャミィのハイレグ具合や、ケツの感触なんか入魂のドット絵というカンジがします (笑)。キャラごとのアニメパターンも再現されてますし、何より携帯機でここまで出来るということに感動してしまいます (ま、SFC並の表示能力があるから当たり前かもしれないけど)。また、各キャラのステージも細かくリニューアルされてます。ダルシムのステージのインド象が1匹増えてたり、春麗のステージでは大量の自転車が画面を横切ったり。ガイルのステージではデカイ戦闘機が飛んでたりして改めてGBAの処理能力の高さが伺えます。ただ、ステージとキャラの組み合わせによっては背景にキャラが溶け込んでしまってみづらいということがあります。GBAの画面は暗いと感じている人は注意が必要です。もっとも、キャラ自体が大きいので全く動きが見えないということは無いです。レベル8や対人対戦時など瞬時の判断が必要な時にマズイことになるかもしれませんが (って、それは思いっきりヤバイじゃん (笑))

次に操作系ですが、GBAは攻撃に割り振れるボタンが4つ (デフォはA/Lがパンチ、B/Rがキック) しかありません。で、どうするかというと、ボタンを押す長さ (長押しで中攻撃、短押しで弱攻撃) で判断するか、同時押し (2つ同時押しで強攻撃) するかを選ぶ様になっています (ちなみに、デフォルトは前者)。ちなみに、各々のボタンに対する技の設定はコンフィグで変更することが出来るのであまり使わないなと思う技は操作しづらいボタンに設定するのも良いかもしれません。ただ、レベル8や高度な対戦をする場合、コンボを繋げることを考えるとちょっとキビシイ操作系かなという気がしないでもないです。慣れの問題とはいえ、実際に対戦している時にボタンを押す長さを意識したり、必殺技コマンドと絡めて2つ同時押しというのは熟練の技が必要です (状況によってどの強さの攻撃を使うかは変わってきますからね)。また、入力デバイスとしては非常に優秀な十字キーですが、格闘ゲームのコマンド入力には不向きと言われており、GBAの場合も例外ではありません。

そういった問題を少しでも解消する為でしょうか、本ゲームでは簡単コマンドというのが採用されています (というか、GBでリリースされていたモノも必殺技のコマンドは簡略化されていた)。これは、オリジナルでは複雑な操作でしか出せなかった必殺技をごく簡単な操作で出せるようにし、純粋に技の駆け引きを楽しんでもらおうというもの。たとえば、ザンギエフの必殺技スクリューパイルドライバーは威力の絶大さに反比例するごとく出すのが難しいのですが (十字キーを1回転させて攻撃ボタン)、簡単コマンドを使えば下上+攻撃ボタンでいとも簡単に出すことが出来ます。これは非常に便利!実際、私も簡単コマンドばかり使ってます。というか、私のようなヌルゲーマーは1度使うと元のコマンド入力には戻れません。ただ、そんな便利な簡単コマンドなんですが、何故か対人対戦では使えないらしいです (私は対戦をやってないので確かめてませんが、ファミ通の記事の中にそういう記述があった)。うーん、入力体系による有利不利を無くそうという意図なんでしょうかね?でも、簡単コマンドを使うような人は元々あまりこのゲームが得意な人ではない訳で、そういう人が普通のコマンド入力を使う人と対戦したら結果は目に見えてると思うんですが・・・ファミ通が勘違いしてると思いたいですな (こんなに良いゲームなのに勿体無い)。

対戦の話が出たのでその他のモードについても書いておきます。最初に選べるモードは、アーケード、トレーニング、オプション、対戦の4つです。このうち、オプションはアーケードモードの難易度やボタンの配置などの環境を設定する為のモード、トレーニングモードは文字通り練習モードで、立ち状態、ジャンプ、しゃがみ、ガード、ノーガードなどの動きをCOMキャラにさせて、技のタイミングや間合いの確認、必殺技の練習などが出来ます。実質、最初に遊べるモードはアーケードモードだけなのですが、注目してもらいたいのはモード選択画面の下に表示されているVSポイントという項目。これは何かと尋ねたら、文字通りバトルで勝つ毎に得られるポイントで、強い敵に勝つほど高いポイントが入るようになっている (はず) のです。だから、上手い人はクリアして一気に高いポイントを稼ぐことも出来るし、下手な人でも最初の敵を何回も倒すことでポイントを貯めていくことが出来ます。で、このポイントが溜まると・・・ご察しの通り隠しモードが登場します。点数は覚えていないのですが、増えるモードはサバイバル、タイムアタック、ギャラリーモード、そしてMAX9999ポイントを越えると隠しキャラの豪鬼が登場します。

サバイバルモードには、さらに5つのモードがあり、敵キャラ8人とのバトル、四天王とのバトル、豪鬼とのバトル、リュウ&ケン&豪鬼とのバトル、敵キャラ全員とのバトルが楽しめます。体力ゲージは1人勝ち抜く毎に一定量回復しますが、COMのレベルは高くかつ体力は満タンの状態で登場するので通常のアーケードモードでは物足りないという人にはもってこいのモードといえるでしょう。
タイムアタックモードは、文字通りクリアするまでのタイムを競うモードで、これにも車壊しやタル壊し (アーケードモードのボーナスゲームとして本作で復活しているミニゲーム)、5人抜き、10人抜き、30人抜き、50人抜き、そして100人抜きといった多彩なゲームが用意されています。特に100人抜きは如何に効率良く倒せるかがカギ。COMは疲れを知らないので長引くと人間は不利です (笑)。
ギャラリーモードは登場キャラのグラフィック (選択時のグラフィックやクリア時のデモ画面が見られ、その全てがGBA用に描き下ろされたモノになっている) が見れるというモノ。ヌルゲーマーの私にはありがたいのですが、クリアしていないキャラのクリアデモまで見られるというのはいかがなものか?!

隠しキャラの豪鬼についてですが、まぁ強いです (笑)。なんか隙無いし、技は卑怯な強さだし、スーパーコンボ (画面下にあるスーパーメーターが満タンの時に発動出来る) でKOした時にはの文字が出てきて派手だし (他のキャラの時はVの字)。ノーミスクリアしなきゃ使えないってことだったら一生使うことが出来なかったキャラだと思いますが、カプコンの親切な配慮でご贔屓キャラにさせていただいております (笑)。ファイナルファイトONEもそうだけど、下手な人でも時間をかければ隠し要素が使えるっていう配慮は嬉しいですね。今後リリースするソフトでも是非この姿勢は貫いて欲しいモノです。

まぁ、色々と細かいことを書いてきましたが、既存の2D格闘ゲームを期待するとちょっと肩透かしを喰らうかもしれません。グラフィックや演出は今までの携帯機の同種のゲームとは比べ物にならないくらい素晴らしいモノになっていますが (必殺技の掛け声はなんか昔の音っぽいというか、聴き取りにくいけど・・・って最初からこういう発音なのかな?)、やはり操作系に違和感を感じる人は多いでしょう。特に、2D格闘ゲームをやり込んでいる人にとっては、この違いは大きいでしょう。つーか、もとよりそういう人は素直に据え置き型かゲーセンで遊んでくださいってカンジですけど。逆に、私みたいにあまり格闘ゲームで遊んでなかった人にとっては、操作に対するこだわりが無いので (強攻撃ばっかりとかね (笑))、結構楽しめるかもしれません。レベルが低ければ適当に蹴ったり殴ったりするだけで勝てるのでストレス発散にもなるし、偶然だったとしても連携技が決まったりすると気持ち良いですしね (初心者が適当にやってもある程度勝てるというゲームのバランスが良いカンジ)。
結論、ゲーセンとは別のアクションゲームとして考えればかなりお買い得な一品です。携帯機向けにチューニングされた難易度 (操作系に対する負担軽減でもある) なので初心者にも安心です。対戦はまだしたことが無いから評価不能だけど、それなりの実力者同士がやれば結構盛り上がるかと。

最後に。カプコンは、リメイクが多いとは言えGBAでは非常に良い仕事をしています。現にカプコンのGBAソフトの酷評はあまり聴いたことがありません。とはいえ、あまり安易に続編のリメイクとかいうことはしないで欲しいですな (既にストゼロアッパーの移植が決まってるけど (苦笑))。

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逆転裁判

続編やリメイク、シリーズモノを連発していたカプコンが久々に出したオリジナルゲーム。アドベンチャーゲームというジャンル自体も最近では結構珍しい部類に入ると思いますし、ホントの意味でオリジナルという気がします。

設定もちょっと変わっていて、主人公が演じるのは弁護士。事件現場での調査、聞き込みなどで物証を集め、その物証を使い法廷で検事と戦い、被告人の無罪を勝ち取るという流れになっています。裁判を扱ったゲームということで結構難しいと思われてる方が多いみたいですが、実際には従来のお使い形式のアドベンチャーと本質はあまり変わりません。捜査モードではカーソルを動かし怪しそうな場所を徹底的に調べ、出てくる人物の話を聞きだし、それを元にまた調査をし、見つけた物証で目撃者などから新たな情報を得る・・・この流れの繰り返しです。しかも、必要な物証が集まるまでは話が先に進みません (話をする人が出てこないとか、怪しいと思っても物証を手にすることが出来ないとか)。結構、総当たり的なゲームの進め方をしても何ら問題は無いというのが正直な所。まぁ、あまりハードルを高くしても付いてこれない人が多いと思うし、従来のアドベンチャーというモノを鑑みるとこれはこれでアリの手法なのかな?という気はします。で、何はともあれ、必要な物証が全て集まると法廷モードに突入します。

で、本作のウリの法廷モードですが、まず証人の証言から始まります。この証言を良く聞き、自分が集めた物証と食い違う時には、その物証を突きつけると新たな展開が生まれます。また、証言に矛盾が無さそうな場合には、揺さ振りをかけることが出来ます。これは、言ってみれば誘導尋問のようなモノなのですが、急に態度が変わったり余計なことを口走ったりすることがあり、ここから解決の糸口が見つかるという様になっています。じゃ、とにかく揺さ振りをかければ良いのかというとさにあらず。法廷モードでは、ペナルティポイントが設定されています。変なところで揺さ振りをかけたり、間違った物証を突きつけたりすると裁判官に注意されてポイントが減り0になると被告人は有罪となってゲームオーバーになってしまいます。基本的に総当たりでやれば解けるモードなので、このようなペナルティを設けたのでしょうが結構良いシステムだと思います。総当たりの中だるみというのかな?余計な選択肢を選んで変に時間がかかってしまったりすることは無いですし (ちなみに、結構試してみましたがちゃんとそれなりのリアクションが用意されているのには驚いた)、ペナルティという脅迫感が、下手をすると裁判官の心証を損ねて被告を有罪にしてしまうという焦りと絶対に無罪にしなければという責任感を感じさせてくれます。選択肢も如何にも不自然だろう?というのがあったりするんですが、追いつめられてる情況で選択を迫られるので逆にウソくさい選択肢の方が真実味があったりして悩んだり。実際には、やはり真実は一つということが多いんですけどね (笑)。捜査モードが何回も行ったりきたり出来るのに比べて法廷モードは一発勝負なので余計に緊張感があります。もっとも、結構主人公の独白の中で『ここが勝負どころか?』とか『ここには矛盾はないな』みたいなのがあり、プレイヤーが何をしたら良いかがある程度分かる様になっています。先に、それほど難しくないと書いたのはこういうプレイヤーに対する配慮がこのゲームには結構多いからです。私もそうでしたが、多分このゲームでペナルティを全部喰らってゲームオーバーになった人はいないんじゃないかなぁ、と思います (いる?)

シナリオに関してはネタバレになるのであまり書けませんが、正にタイトル通りのシナリオが4つ用意されています。これで終わりだ!と思ったら新たな証言で別の方向に話が流れることは当たり前、こっちに有利だと思ったらすぐに相手の逆襲が、と2転3転する展開にハラハラしっぱなし。最終的に無罪を勝ち取るまではホントに安心出来ないスリルがあります (実際の裁判もそうだと思いますが)。特に後のシナリオになると、もう裁判なのかドラマなのか分からない展開で息つく暇ナシ (笑)。まぁ、大局的に見るとほぼ一本道のシナリオなのですが、それをカンジさせない所がウマイですね。まぁ、細かいことを言えば、時系列的にリアクションが合ってないとか (既に知られているはずの事実なのに、話をする相手は全然知らないとか)、唐突な展開で終わったり、それに対するフォローが無いなどの疑問点はあるのですが・・・。その辺は続編があると期待して良いんですかね (ぉぃぉぃ)?ちなみに、最初のシナリオはチュートリアルの意味も込め操作やゲームの進め方を順を追ってレクチャーしてくれます。それほど難しい操作を要求される訳では無いのですが、流れを知るにはかなり有効です。それでいて、ストーリーもおざなりになっておらず (良くレクチャーモードはその目的の為に内容が希薄になることが多い)、十分に楽しめる様になっています。難しそうだと思ってる人もこの最初のシナリオを解いていくうちに流れが掴めると思うので安心して買って大丈夫だと思います。

シナリオに出てくるキャラは主人公も含めて、かなり濃いです (笑)。性格的にイっちゃってる人間が多いというか・・・。さらに、その濃さを演出してるのがグラフィック。スト2ライクなグラフィックは見た目も濃いですが、キャラのリアクションが大きくコロコロ変わる表情を見ているだけで飽きません。とにかくアメコミのようなオーバーリアクションが多く、かなり笑えます。また、変わるとはいっても過剰なアニメでは無く (5コマ程度?)、ゲームの進行の妨げにならないのが良いところ。アニメシーンは最初見た時は驚くけど、2,3回見れば飽きるし何回も見てるとウザイだけになりますからね。このゲームでは、そういった動きを極力減らしつつ、盛り上がってきた時には絶妙なカットインを入れたりして効果的な演出をしています。演出といえばBGMも良いカンジ。特に法廷モードで核心に迫ってきた時の和風なBGMが好き。ま、大概すぐに逆転されて悲壮なBGMになるんですが (苦笑)。悲壮といえば、このゲームでは揺さ振りをかける時の『待った!』、物証を突きつける時の『意義あり!』、決定的な証拠を提出する時の『くらえ!』といったセリフは吹き出しと共に音声が出ます。コレが、自分が出す分には良いのですが、検事側から出された時は焦る焦る (笑)

シナリオが進むにつれ、捜査モードのお使い感が強くなり、単調な作業をしているカンジが強くなってくるのは仕方の無いところかな?アドベンチャーで難易度を上げるとすれば、物証集めのトリックを複雑にすることくらいしかないですからね。実際の事件でも何回も聞き込み、調査をするそうですし、ある意味リアルなのかも?ただ、ゲームの内容という点では他にあまりこれといった欠点は見受けられませんでした (先に書いた唐突な展開と、最後までフォローされない事項以外は)。

それよりも問題というか、気になったことがゲームのシステム自体に関する点。些細なことですが、捜査モードにおいて場所によっては2画面分の広さがあります。で、この切換をLボタンで行うのですが、どうしても左の画面に行く時はLボタンを押しても右の画面に行く時はRボタンを押してしまいがち (つーか、自然な動きだと思うけど)。もちろん、画面上にLボタンを押せという表示があるので間違う人は皆無だと思うんですが、何となく違和感がありました。ま、ホントに些細なことなのでどうでも良いんですが (ぉぃ)

また、ゲームを再開する時のメニューがちょっとおかしい。途中でゲームを保存して終了して、再度電源を入れた時にタイトル画面に『はじめから』『つづきから』というメニューが現れるのですが、何故かカーソルが合ってるのは『はじめから』の方。ゲームを再開したんだから『つづきから』を選ぶに決まってるじゃん?!何故にプレイヤーに余計なひと手間をかけさせるのか?しかも、デフォルトで選んでしまった場合の方が危険性が高い (せっかくの捜査が水の泡) というのに。これがどうにも腑に落ちない点です。合わせて、セーブファイルがひとつというのも気になるところ。まぁ、実際にはマルチエンディングでも無い限り、ひとつでも困ることは無いんでしょうけどね。ただ、予想外の事故 (途中で電池が切れるとその章の一番最初からになる!) の対策の為にも複数のセーブファイルを用意し、コピーしておけるようにして欲しかったなと。外でバッテリで遊ぶことが多い人間には結構切実な問題だと思います (って、私の体験談だけど (苦笑))。

システム的に気になる点はあるモノの、このゲームに対する姿勢というのかな?作り込みの良さを感じます。あと、やっぱりリメイクやシリーズモノの多いGBAでオリジナルゲームを出した意義は大きいですね。今後も斬新なアイディアの作品をリリースしていってもらいたいです。もちろん、本作の続編も忘れずにお願いします>カプコン。ただ、この手のゲームはシナリオ次第だからなぁ。そう簡単に続編が作れるとも思えなかったり。伏線というか、その後みたいなカンジで続けられなくは無いと思うんですけどね。今回有罪になった人達の減刑を勝ち取るシナリオとか、検事の側に立って裁判をするシナリオとか、もっと意表を突いて裁判官になるシナリオとか (笑)

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逆転裁判2

前作の発売から1年。これほど続編を待ち焦がれたのは久し振りというか、最近『移植やリメイクばっかで・・・』って文句言ってた自分の節操の無さに反省しきり。まぁ、移植だろうがリメイクだろうが良いモノは良いということで (ぉぃ)

まぁ、そんなことはさておき、実際問題として前作が出た時点ではそれほど注目されてなかったというかダークホース的な作品だったのは事実。それが、実際に遊んだ人達の口コミによってジワジワと人気が出始め、アンソロジーが出たり、GC版の移植の話が出たり、ROMカートリッジでありながら廉価版として再販売されたりと、一躍人気シリーズの仲間入りを果たしてしまいました (作った人達もビックリ (笑)?)

そうなると心配になるのが、前作と比べてどこが変わっているのか (改良されているのか)、あるいは逆にどこが変わっていないのか (面白いところはそのままに) というところ。まず、見た目で分かりやすい後者から説明すると、設定は前作から1年後のお話で (その割にチラシに主人公の成歩堂の年齢が28歳 (前作では24歳) になっているのが何とも (笑))、当然の事ながら主人公は変更ナシ。裁判官のオッサンも変更ナシ (ただし、性格は・・・(笑))。実はすっかり記憶に残ってなかった (笑) 亜内検事も変更ナシ。オバチャンにいたってはパワーアップ (笑)。シナリオが新しくなってるので容疑者とか犯人とかが変わるのは当然として、新たなライバル?として前作のラスボスの血縁者 (13歳で検事って労働基準法違反じゃないのか (笑)) が出てきたり、前作で登場した仲間や証言者も出てきたりして、前作の雰囲気そのまま・・・ではないんだな、若干一名 (まぁ、誰のことかは遊んでみれば分かると思いますが)。でも新たに登場するキャラはどいつもこいつも前よりもはるかにブッ飛んでると言って間違いナシ。コイツラのリアクション見てるだけで笑えます。

シナリオの方も相変わらず。第1話なんて、初めてのユーザーにレクチャーするためのチュートリアル的な内容になっているのですが、いきなり犯人に殴られて自分が弁護士であることすら気付かずに法廷で闘うという (笑)。実際にあったらコワイけど、導入ということを考えればナカナカ上手く考えたなぁというカンジですね。もちろん、この裁判をきっかけにして色んな話が続いていく訳ですが、今回はちょっと全体の流れの統一感というかまとまりが薄いようなカンジがします。正確に言うと、第4話になって雰囲気がガラリと変わる。前作では、ある一つの事件を根底にして時系列で話が進み、最後の最後で全てがひとつに繋がり、登場キャラの素性とか心情が『そういうことだったのか』というカンジで分かって大団円で終わったんですが、今回はそういうテーマのようなものが無い、というか薄い。ミツルギの行動にしてもカルマの行動にしても予想の範囲内というか、ナルホドの思わせぶりなセリフを見ても『どうせこういうことだろうな』という予想が立ってしまったし、第4話に繋げるには弱すぎる。何故なら『有罪のためなら』『勝利のためなら』というテーマは前作で既に語られていることであり、単なる確認作業に過ぎないから (もちろん、前作をプレイしていない人には必要だったのかもしれないけれども)

じゃあ、本作は駄作かというとさにあらず。さっきも書いたけどキャラのリアクションが楽しいし、シナリオ自体もどっかで見たようなトリックだったりするけれども (笑うライオンとかね)、証拠品を集めて証言を突き崩していく過程が楽しいというのも変わっていません。というか、今回から新たに加わったサイコ・ロックというシステムによってパワーアップしています。このシステムは、法廷パートのシステムを探偵パートに持ち込んだといえば良いのかな?正しい証拠品を突きつけないと証言が得られず、しかもペナルティを食らってしまうというシステムです。このシステムのキモは『サイコロックを解くための証拠品が集まってるかどうかはプレイヤーが判断するしかない』というところ。今までは、証拠品を総当たりでぶつけていけば新たな証言が得られましたが、本システムではそれは通用しません (だから、途中で質問を止めるというコマンドがある)。無論、全部の証拠品を集めてからサイコロックの解除に入れば総当たりでも解けますが (ペナルティーのメーターが0になっても、ゲームオーバーにはならない)、実際には他の証言者のサイコロックを解除して得た証拠品を使って別の証言者のサイコロックを解除する・・・という具合に複雑に絡み合っているので、証拠品が全部集まったかどうかを知ること自体が難しいです。これにより、ゲームの攻略が前作に比べてかなり難しくなっており (逆に、余計な手間が増えて面倒になったという言い方も出来ますが (苦笑))、やり応えがあると言えるでしょう (初めてプレイする人にはキツイかも)

そして、最終話のシナリオ、本作はこれに尽きます。このシナリオは従来のシナリオとは全くの正反対、すなわち『有罪と分かっている被告を弁護しなければならない』のです。もちろん、そういう状況になったのには深い理由がある訳ですが (ネタバレなのであえて書きません)、弁護士としてどうあるべきなのか、弁護士とは何なのかを苦悩する様が伝わってきます。特に、裁判の終盤になって傍聴席から『有罪に決まってる』『なんであんなヤツの弁護をするんだ』という陰口が聞こえてくる場面、画面を見ながら『んなこたぁ分かってる、でも仕方ないだろ』とか『この場合、どう判断したら良いんだ』と真剣に悩む自分がいました。前作も含めてずっとプレイしてきて初めてナルホドとの一体感を感じたというか、今まではとりあえずミスしても良いやってカンジだったんだけど、このシナリオだけはどうもそういう気になれなかったというか。いざ自分がそういう立場に置かれたらどうしたら良いのか、ということを考えさせられました。というのも現実の世界でも考えさせられる事件が多いから。事実は分からないけれど限りなくクロに近いといわれた『O.J.シンプソン』の事件なんか『カネさえありゃ何しても許されるのか』と弁護士を叩きたくなるし、未成年ってだけで赤ちゃん殺しても10年程度で出所出来る司法制度に疑問を感じる。逆に、明らかに微罪なのに周りの思惑を被せられて大罪になってしまう (アメリカの黒人に対する裁判に多いね) 場合は、検事に対する怒りを覚えたりする。でも、それって必ずどっちかの立場に立って物事を見てるからであって決して公平な判断とは言えないのかもしれない。じゃ、誰もが納得するにはどうしたら良いのか、それがこのシナリオに示されている回答ではないかと思います。
検事の理論に重点を置いた前作、弁護士の立場を重視した本作、両方遊ぶのをオススメします (前作で遊んでた方がニヤッとする場面が多いというのもあるしね)。ちょうど廉価版も出たことですしね。

ちと、話が飛躍しすぎたのでゲームの話に戻ることにして、といっても他の部分はほとんど変わってないので書くこともあまり無いんですが、ストーリーやトリック自体はそれほど難しくもないというか、ゲームということでかなり安直になってますが、やはりツッコミのナルホドという (ホントか (笑)?) だけあって、とにかくセリフ回しが秀逸です。ナルホドの心の声、特に法廷でのサイバンチョとの掛け合いでのそれは秀逸です。そういや今回『あひゃ』だの『きたー!』だの『ゴージャス』だの、なんか某掲示板に影響されたか?というのも多かったな。法廷パートに入ってもまともに裁判してるようには思えないのが実にこのゲームらしかった (笑)。あと、パターンが少ないとはいえ各キャラの動きね。かなり笑えるのが多い。この点に関しては完全に前作を上回ってるといえるでしょう。

最後にプレイしてて気になったことを挙げておきます。まず、シナリオのヴォリュームが増大した割にはシステムがそのままなのでプレイアビリティが若干低下しています。具体的には、テキストの表示スピード。前作以上にテキスト量が増えているのでデフォルトの表示スピードではちょっとツライです。説明書には一度表示したテキストはBでスキップ出来るようなことが書いてありますが、別の証言者と話したり、新たな証拠品が見つかってから再度話し掛けると同じテキスト内容なのにスキップされなかったりします。ただ、これに関しては簡単に直せるようなものじゃないという気もしてる。というのは、このゲームの場合、絶妙の間 (・・・・・が表示されてBGMが消えたりするトコロとか) というものがあり、早送りしちゃうとそれが台無しになってしまうのであえて早送りを付けてないという見方も出来るんですよね。うーん、難しいなぁ。

あと、セーブポイントの間隔が長いのもちょっと苦痛 (レジューム機能があるので中断自体はいつでも出来て便利なんですが)。まぁ、セーブポイントの間隔が短いと総当たりで解かれちゃう可能性があるからかもしれないけれども、今回ペナルティがメーター制になり更にシナリオをクリアしないと元に戻らないのでペナルティ食らいすぎてゲームオーバーになることが非常に多いです (ペナルティも質問の内容によって重要度が変わり、一気に半分以上減ったりすることがある・・・このシステム自体は緊張感を生む良い変更だと思うんですけどね)。

また、アドベンチャーという性格ゆえ1回クリアしたら終わりというゲームではあるのだけれど、前作は何度も遊んでしまうゲームだったと思います。映画でもマンガでも小説でも良いモノは結果が分かってても何回も見たくなるというか、お気に入りの場面は何度見ても感動しますよね。GBだとカエルの為に鐘は鳴るってゲームがそんなカンジだったんですが、同じ様な雰囲気を持っているように感じます。漫才の掛け合いのような登場人物のセリフの面白さ (成歩堂の心の中のツッコミのセリフとかも) は言うに及ばず、大袈裟過ぎないリアクションはゲームのテンポを良くしてるし、逆に要所要所でしか声やアニメの演出が入らないからこそ強く印象に残ります。本作もそういうカンジはあるのだけれども、やはりシナリオの区切りが長いというか、セーブポイント・・・というよりもセーブファイルといった方が良いのかな?がひとつしかない&捜査の手間が多いので結構気合入れて遊ばないといけないというのが再プレイの時のネックになってしまっているなぁと感じました。まぁ、この点に関しては自分でもチョット無茶言ってる気はしますけどね (笑)

GCに移植される話も出ているようですが、フルボイスやフルアニメになった時に (製作者が意図しなくてもユーザー側が要求するでしょうな『GCなんだから動いて当然』とか。で、製作者が意図してGBAのようなシステムにしても『手抜きだ』と言いやがる。たしかにアニメになれば別の楽しみ方があるけど、もっとゲームの本質を見ろと言いたい)、はたしてGBAと同じ様に何回も遊びたくなるゲームになるかが疑問です。凄いムービーで映画みたい、と言われるゲームはたくさんあるけれども、はたしてそのうちのどれだけが何回も遊びたいゲームなのだろうか。何回も繰り返し楽しまれるものでなければ映画 (何回も劇場に足を運んだり、レンタルで楽しんだり) を超えたことにはならないのではないだろうか。話がかなりズレたけれども、大作ばかりで気楽にゲームが楽しめなくなっている昨今、本作のような軽いノリで入っていけてそれでいてしっかりとシナリオも楽しめるようなゲームがもっと増えて欲しいと思います。ま、増えなくても良いからとりあえず続編を出して欲しいと願うばかり (今回ちょっと締めくくりがアレだったから、多分出るとは思うんですけどね (苦笑))

そういや、前作のレビューで『ゲームを再開する時のメニューがちょっとおかしい』と書いたら今回はちゃんと修正されてました。やっぱり同じこと思ってる人が多かったんでしょうねぇ。あ、あとポスターは『張る』じゃなくて『貼る』ですよ、念のため (他にも誤字脱字があるらしい (笑))

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逆転裁判3

シリーズを重ねるごとに着実にファンを増やし、前作前々作は廉価版がリリースされ、GBAソフトの (というかカプコンのソフトの中でも、といっても良いかもしれない) 代表作となった感のある逆転裁判シリーズ。その最新作が満を持してリリースされました・・・が今回は何故か前作の時のような宣伝が打たれなかったので (地域限定で色々あったりしたんだけど)、これ読んで知ったという人がいないか心配です (ぉぃ (笑))

今回は一応シリーズの区切りということで、シナリオは今までのシリーズを通してなぞとされていた人物、というかまぁその家系をめぐる問題が複雑に絡んでいます (まぁ脱線、というか関係の無いお遊びシナリオもありますけど)。で、通常、シリーズ化が進むと初心者が入りにくいというパターンになりがちですが、本作もそうです。いや入りにくいというのとは違うのか。誤解を恐れずに書くと、今までのシリーズをプレイしてないとキャラクタの面白さというかバックグラウンドが分からないので本作の楽しみが薄れるような気がするのです。極端な例えですけど、スターウォーズスターウォーズ・帝国の逆襲スターウォーズ・ジェダイの復讐は、各々が素晴らしいクオリティの映画でどれを見ても楽しめるのは間違いないですが、公開された順に見れば流れというか背景が明確に分かって「あぁ、これはこういうことか」みたいなのが分かる、というのに似てると思います。だからあえて最初に書いておきますけど、前作前々作をクリアしておくことをオススメします。その方が絶対に面白いです。さっきも書いたように廉価版も発売されてますし、中古でも見かけますから手に入れるのはそれほど難しくないでしょう。

まぁ、以上はあくまで主観の話で、実際には本作で初めて逆転裁判というゲームに接する人もいると思います。本シリーズで偉いというか感心するのは最初のシナリオは必ず初心者(初めてプレイする人含む)のために操作を説明しながら進めるシナリオになっているところ。しかもシナリオ自体がでは新米弁護士なので何も知らない、は記憶喪失になってしまって全てを忘れた、そして本作では主人公の師が新米時代の事件であり当然何も知らない、というようにシナリオが工夫されています。たしかにシリーズを重ねる毎に同じ主人公がまったく同じ様なシナリオでスタートしたら「成長の無いヤツ」ってなっちゃいますからね。とはいえまぁちょっと時代背景というか色々と矛盾が生じてきそうな設定ではあるんですけどね (苦笑)

今回、ゲームのシステムとしては変更になった点はありません。あくまでもシナリオが変わっただけというカンジです。まぁ下手に色んな要素を付け加えて遊びづらくなるよりは良いと思います。元々シナリオが命のゲームですしね。あ、ひとつだけ変わったことがあった。それはセーブ方式。といってもバックアップメモリがパスワード方式になったとかではなく (当たり前)、今までは特定のセーブポイントでしかセーブが出来なかったのが、本作ではスタートボタンを押せばいつでも中断セーブが出来るようになっています。これはおそらくシナリオのヴォリュームが増えたことが主な要因だと思いますが (クリアするのに単純に前作の2倍以上の時間はかかった (苦笑))、逆に証言の直前とか、証拠を突きつける手前でセーブして、間違ってたらもう一回そこからやり直す、という総当り的なプレイも可能になっており、正直緊張感に欠けるところがあるなぁという気はしました (まぁ、間違い即ゲームオーバーで遙かに前のセーブポイントからやり直さなければならないのとどっちが良いかと言われると、本作の方がストレスは少ないですけど)

もっとも本作では前作までのような突飛なトリックが無いというか、証言や時間に関わる証拠品をチェックしていけばすぐに謎が解けるし、事件のトリック自体も本シリーズのキーである霊媒というのを除けば古今東西の推理小説やドラマでありがちなモノなので、総当りで解くような場面は無いと思いますけどね。

シナリオの話になりますが (といってもネタバレになるようなことは書けませんが (笑))、本作では根底のテーマがテーマなだけにあまり突飛な展開が無かったのがちょっと残念というか物足りなかったかな、正直なところ。今までのシリーズは終わったなと思ったら全然関係無いと思ってたヤツが乱入してきたり、お前そんなんアリかよ!と思わず「異議あり!」といってしまいたくなる証言者が出てきたり、あるいは各々のキャラのリアクションが非常に楽しかったんですが、本作の場合は「あいつが出てきてないからまだ終わりじゃないな」とか読めちゃったり、キャラ自体も最初から濃くてリアクションが物足りなく感じるパターンが多かったなぁと感じました。まぁ、逆にいえばそういった脇道ではなく、本道に重点が置かれているとも言えるんですけどね。製作者の意図は分かりませんけど、ストーリーを読ませるのがメインで、そのために変にひねくれた選択肢を作ったり、本筋がぼやけるようなキャラクタを出さなかった、そんな気がします。

本作で一連のシリーズが(一応)完結ということもあり、非常にヴォリュームがあり完成度も高いと思います。ただ、個人的にはどれが好きかと言われると、本作、の順になります (まぁ、今までのレビューの内容を見れば分かると思いますが (苦笑))。ちょっと霊媒という現象を表に出し過ぎちゃって推理モノなのかオカルトモノなのか分からなくなってきてるってのもあるんだけど、今回は裁判のテーマというのが見えてこないというか、単純に綾里の家系にまつわるストーリーであり、ここに裁判という設定を持ち込む必要性があるのか?という感じがするのです。ここでいう裁判のテーマというのは、とりもなおさず主人公の心の葛藤であり (の最終シナリオは最高だと思う)、今回はどうもそういう心の葛藤みたいなものがあまり描かれていない (というか、当たり前の心情描写はある (被告を信じるとか) けど、それは一方向に向いたものであり葛藤=揺れ動くことは無い)。あくまでストーリーを進めていく上で主人公が自分の気持ちを確かめていくだけという印象があります。もちろん、それが悪いという訳ではなく単に私の嗜好とは違ったということなんですけどね。

まぁそういった私の個人的な主観を抜きにして考えれば、非常に良く出来た(シナリオだけでなくシステムの面でも)シリーズであり、漢字が読める人(子供にウケが悪いのはジャンル的な問題だけでなく文章の読解力も大きく影響してると思う)ならば楽しめると思います。是非一度プレイしてみることをオススメします (もちろん、その際は最初からプレイするのがベスト)

カタカタカタカタ・・・(笑)

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