タイトルの元ネタは誰が為に鐘は鳴る?

カエルの為に鐘は鳴る

Produced by (c) 任天堂
1992.09.14 発売 (\.3900)

92年というと、ちょっとGBの勢いが失速しかけてきた時期 (クソゲーが乱発されてたという言い方でも可 (笑))。そういった背景と、多くの人間が売れセンの続編に走っていた為にあまり知名度が高く無かったのですが (当時もあまり流行ってはいなかった)、GBが再注目され出した頃から隠れた名作として話が伝わり人気が高まりました。つーか、一時期某量販店で新品が680円で売られてたなんて信じられんでしょうな (笑)


こういった演出が随所にある

一応、ジャンルとしてはアクションアドベンチャーということになっています。ただ、画面の構成がゼルダに似ている為に間違って買ってしまった人も多いとか (笑)。ストーリーを大まかに書くと、主人公の王子とライバルの王子が、とある国のお姫様を救い出すために冒険に出る、というファンタジー色の濃いストーリー・・・なのですが、実際にはこれがファンタジーどころかコミカル色の強い正に活劇といったカンジで展開します。登場キャラの性格の濃さがその原因なのですが、特に主人公の性格はぶっ飛んでます。何ていうか、任天堂のゲームらしからぬ性格 (いわゆる王道の熱血漢では無い) というか、正義感はあるんだけど、何処か世間知らずで人とズレているカンジなのです。カネにモノを言わせてゴリ押ししようとするし (でも、根っからの悪じゃないからニクメナイ)、感情をストレートにぶつけるところは実に普通っぽい。で、そんな王子の心情を表すかのような演出が写真のような倍角文字での台詞の表示。こういう表現が要所要所に出てくる他、キャラによって吹き出しの位置を上下に分けたり、1度に表示出来るテキストの量を計算した上で考えられたメッセージをタイミングを計りながら表示してるので1つ1つのセリフが非常に活きています。また、それによりモノクロの小さいキャラでも非常に活き活きと動いて見えるからフシギです。


実にベタなケンカシーンですな (笑)

先ほど出たゼルダは基本的に特定の敵を倒さないと体力アップやアイテムの入手は出来ませんでしたが、本ゲームも宝箱の中のアイテムを取ってパワーアップするという点では同じだといえます。システムとして決定的な違いは戦闘がオートであるということ (このゲームの特徴のひとつでもあります)。これは、敵にぶつかれば勝手に戦闘が始まり、ステータスによって勝ち負けが決まるというもの。ザコはもちろんボス戦も同様なので (ただし、ラスボスのみマジなバトル)、もし万が一負けるようなことがあれば何かやり残したことがある (俗にアドベンチャーで良く言うフラグが立っていない) ということ。これによりゲームが進めやすくなっています (指標が目に見えて分かるので)。また、自分のステータスが何らかのカタチで上がると自分よりも弱い敵は戦闘が行われず彼方に吹き飛ばされてしまうようになります。小金を稼げなくなってしまいますが、余計な戦闘で体力を失うことが無いのは良いと思います。ゼルダはボス戦もそうですが、マップにたむろしてるザコを相手にするのも骨が折れますからね。このシステムによってアクションが苦手な人でもストーリーに集中することが出来るようになっていると思います。
ちなみに、バトルのシーンでは画像のようにベタなドタバタシーンが展開されます (笑)。このバトル中にBボタンでバトルを中断し逃げることも可能 (確率は低いけど)。危なくなったら即離脱!


カエルになるとジャンプ力が増す

さて、上でアクションの苦手な人でも・・・と書きましたが、実はこのゲームではダンジョンや建物の中に入るとサイドビュー方式のアクション画面に変わります (詐欺だ (ぉぃ))。ただし、基本的にそんな難しいアクションは要求されません。どっちかというとルートを抜ける為にはどうすれば良いか?という謎解きのウェイトが大きいです (その謎解き自体もそれほど難しくないですけど)。
で、その謎解きの要素の一つとして主人公は水に入るとカエルに変身する能力を持っています (というか、ストーリーの展開上、強引にそうさせられちゃったんですけど (笑))。カエルは、通常の人間の時に比べてジャンプ力があること、敵の兵士は何故かカエルを可愛がる (ゲームを進めてると理由は分かる) ので戦闘が無いことなどの特長がある反面、天敵であるヘビに弱い、防御力が低いのであっという間に敵にやられるなどの短所があります。


ニョロニョロ・・・

また、主人公はカエルだけでなくヘビにも変身することが出来ます (ま、これも強引に・・・)。ヘビはジャンプが出来ない代わりに、狭い通路をくぐり抜けることが出来ます。これらの能力は特定の場面だけで使って後はゲーム中で使うことが無いというようなものではなく、ゲームの最初から最後まで通して変身する機会があり、変身する場所やタイミングを考えながら攻略するのが面白いです (3つの状態に変身する為のアイテムや場所などの問題もあるので無駄に変身出来ないという点が)。
まぁ、ルートを確保する為のアイテム探しにあっちこっち行かなければならないという面倒くささはありますけど、そこら辺の感じ方は人それぞれってことで (笑)


おぉ、貴方はもしや麗しの・・・?!

しかしながら秀逸なのは、王子が変身能力を会得 (?) する過程もそうなんですが、シナリオが二転三転して先が読めないところ。ちょいとネタバレなんですが、主人公が最初にカエルから人間に戻る時、1度気絶しちゃわなきゃいけないのですが、普通にゲームを進めてる人ってノーミスクリアしようと思って気絶しそうになるとリセットとかしません (で、そうなると手詰まりだったりするんですが)?で、1度気絶してみると話が進むという。しかも、人間に戻る為のアイテムは既に登場済みで、何故にこの効果でこの名前?と思ってたのがナルホド!となったりする訳です。
もちろん、他の場面もかなりクセがあり、登場するキャラの個性の強さと王子の性格が相俟ってトンデモナイ展開になったりする訳です。それは、単にギャグであったり (また、このギャグが結構キテルのよ、埋蔵金を探してるコピーライターとかさ (笑))、ストーリーの進行に大きく関わったりするのですが、どれひとつとして無駄ではなく (ゼルダみたいにお使いの義務感が薄い) ゲームの世界観を作るのに欠かせないモノになっているのです (良くマンガでコマの外に一言が書いてあったり、コマの中にウケを狙ったような描き込みがあったりしますが、そんなカンジ?)。


みんな読んでるミルフィーユ・タイムス!

マンガと書きましたが、このゲームもある意味マンガと言えるかもしれません。自分の好きなマンガって、何回読み返しても面白いじゃないですか。好きな場面になるとドキドキしません?このゲームも正にそんなカンジ。何回でも繰り返し遊んじゃいたくなるゲームだと思います。
アイテムの数も少なく、使い方や操作方法はストーリーを進めていくうちに自然と分かる様になっているし、ミルフィーユ・タイムスというストーリーの進行具合が分かる壁新聞?があるので初心者でも立ち往生すること無く進めていけるので難易度が低く、そのぶん1回のプレイ時間が短くなってる (8時間くらいでクリアしちゃった気が) のも何度もリプレイしたくなる要因のひとつです。
大作と呼ばれるゲームを否定する気はありません。ただ、GBというショボイ (ぉぃ) ハードでも、シナリオや演出 (書き忘れたけど音楽も良いですよ、鐘の音とかね) の仕方次第ではこういった素晴らしいゲームが出来るということも忘れてはイケナイと思います。幸い、現在では中古屋巡りなどしなくても Loppi で入手することが出来ます。涙と笑いのニュータイプアドベンチャーを是非御堪能ください。


お買い得度:★★★★★(5)
イヤ、とにかくまず遊んでみそ、マジで (笑)