北庭
North garden

平安末期から鎌倉時代初期を生きた鴨長明が「方丈記」で仁和寺の僧、隆暁法印のことを書いている。「養和元年(1181)の大飢饉では京でも多くの人々が斃れ、一条から九条、京極の西、朱雀の東に限っても4万二千三百の死者が出た。隆暁はその一人一人を弔った」と。
前年に以仁王が平家追討の令旨を発して、源頼朝が伊豆で挙兵し、この年には平清盛が死去している。3年後には元暦の大地震があり、4年後に平家は壇ノ浦で滅んだ。
鴨長明の無常観はこの激動の時代に生まれ、800年後の我々も引き継いでいる精神のようだ。 次へ