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極軸設置誤差による追尾のズレ


【概要】

極軸に誤差がある場合、仮にピリオディックモーションエラーが無かったとしても、一定時間以上追尾すると誤差が生じてくる。 ノータッチガイドや一軸オートガイドをする場合には、このことが問題となってくる。

[概念図] - 極軸が北及び東にズレている場合
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要するに極軸の設置誤差があるということは、星の日周運動の回転軸と、赤道儀の回転軸がズレている状態である。 同一の赤緯でも、追尾しようとする恒星の時角によって、赤道儀の回転する円の大きさ(天空上の仮想円)が変わってくる。
これをドリフト法で修正する場合は、以下のようになる。

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【誤差の計算】

天文年鑑(2015年版)の巻末資料(P320)に「極軸の設定誤差による追尾誤差(著者:西條善弘)」という記事がある。 内容は以下の通りである。

■極軸の設定誤差による追尾誤差
赤道儀の極軸方向が、天の極に対して、時角Ηpの方向に角距離εpの大きさの据付け誤差がある時、赤緯δ、時角Ηの位置にある天体をt時間追尾した後の、時角方向の追尾角距ΔΗ、赤緯方向の追尾誤差の角距離Δδは以下の式で表わされる。 (注;Η、Ηp、tはhms単位なので、実際に計算を行うときは、「°」単位に直す。)
  Η' = Η - Ηp
  ΔΗ = εp tanδ(sin(Η' + t) - sin(Η'))
  Δδ = εp(cos(Η' + t) - cos(Η'))
全体での追尾誤差の角距離Δεの余弦は
  cosΔε = sinδ sin(δ + Δδ) + cosδ cos(δ + Δδ)cosΔΗ
で与えられるので、焦点距離fの望遠鏡での像面での星像の流れの大きさΔdは以下の式で表わされる。
  Δd = f tanΔε
この式を逆に利用すると、天体の追尾誤差から極軸を修正する方向と量がわかる。
Excel File
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初出:2017-09-20 改訂:2020-12-17
(C) YamD