洛北:大徳寺周辺・概略

 

大徳寺の場所

大徳寺は単独の観光地に近く、ここへバスで来て見たら、またバスに乗って移動、という形態になることが多いです。市街地の北西に位置し、京都駅や三条周辺からは交通によっては40分程度かかることもあります。

近くに今宮神社があり、歩いてすぐです。また、鷹峯などにも足を伸ばせます(徒歩なら鷹峯→大徳寺のほうが下り坂なのでラク、逆ならバスを活用しましょう)。禅宗つながりならば、北大路を西へ進むバスで金閣寺へ進み、さらに衣笠の禅寺巡りにも入れます。

大徳寺

大徳寺は、多数の塔頭を含む大型寺域。臨済宗大徳寺派の総本山であり、一休和尚ゆかりのお寺でもあれば、千利休や戦国大名に縁の深いお寺。

多くの塔頭は非公開・拝観謝絶(通常に公開されているのは4つのみ)ですが、ドラマの舞台になった際の特別公開や、冬の京都特別公開などもあるので、チェックしているといいものを見るチャンスも多いです。

個人的には高桐院が好きです。門をくぐってからの落ち着いた、やさしい緑のたたずまいがとても好き。上がってからもなんてことない楓の庭なんですが、座っているとやさしい心持ちになってくる、不思議な魅力があります。細川ガラシャの菩提寺ということが関係しているのかしていないのか、女性的と言いたくなる空気を醸しています。ちなみに、夏は庭にいるとよく蚊に刺されます。

また、瑞峰院龍源院も通常は公開されています。どちらもそう大きくない面積ですが、枯山水の凝縮度が高く、また白砂が深く波打つように波紋を描くのも大きな特色でしょう。龍安寺などと比べるとダイナミックな印象が強いものです。

有名なのは大仙院でしょう。和尚さんが積極的に案内してくれます。みのもんた「思いっきりテレビ!」のように、おばちゃんが一斉に頷くのを見たことがあります(いや、それが悪いと言っているわけではない)。私は、ほっといてほしい時は、行かなくなりました。(1990年頃までは、いまほど積極的な感じではなかった印象を持っています。)

最近、特別公開により、芳泉院を見ることが出来ました。これは一見の価値、あり。2001年の秋から2002年の2月までの限定公開の様子は、こちらです。

一休禅師ゆかりと言われる大徳寺。ただし、一休は禅本来の精神に立ち返ろうとして、風狂に生きました。大徳寺再興のために請われて住持となるも、ほとんど住み着かず、喜捨を集めて寺を建てれば、自らはさっさと出てゆく。そのような「人間本来無一物」の生き方を徹底した人を今とつなぐものが、豊かな財がなければ維持さえ難しい文化財になっていることを思うと、複雑な心境にもなります。もちろん、形にこだわらぬなら、形あるものも素直に味わえる、そういう心持ちもあるのでしょうけれど。

周辺情報をいくつか

大徳寺の西端より北上すると、今宮神社があります。祇園社(現在の八坂神社)と同様に鎮疫の神社として有名です。こちらは毎年四月第二日曜日に行われる「やすらい祭」がつとに有名。京都三奇祭の一つであり(他は太秦の牛祭、鞍馬は由木神社の火祭)、古式を残す疫病鎮護の祭りと言われています。この祭は日程が合わず見学したことがありませんが、近辺にお住まいの方のお話では、一度は見ておくといい、とのこと。

今宮神社の入り口から東へすぐのところに、かざりやという店があります。炭火であぶった「あぶり餅」のお店で、食べると疫病息災といわれる縁起物。こちらも有名。

味わいみやげついでに、大徳寺周辺には禅味豊かな老舗があります。一休禅師由来の大徳寺納豆を伝える老舗大徳寺一久、御菓子司の松屋藤兵衛はつとに名高いです。