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DiMAGE 7iの癖と使いこなし

 どんなカメラでも同様ですが、使いこなすためには癖を知らなければなりません。私は、今のところDiMAGE 7iを気に入って使っています。他の製品と比べて評価すると、今でも最高に近いと思います。もちろん、デジタル一眼レフも含めて。最大の理由は、露出補正も反映するEVF(電子ビューファインダー)ですね。

 こんなDiMAGE 7iですが、使い込むと気になる癖が見えてきます。それをどうやって回避しているか、どんな設定で使っているのかを、簡単に紹介します。同じシリーズの機種を持っている人に役立つでしょうから。

 当然ですが、ここで紹介している対処方法や使い方は、私の撮影スタイルに合わせたものです。RAWは使わず、トリミングもせず、銀塩リバーサル・フィルムのときと同じ気持ちで(つまり、撮影後の後処理で救おうと考えないで)撮影するというスタイルでの話です。その前提を理解して読んでください。なお、ファームウェアは最新版の1.11jに更新してあります。

緑色の被写体で、ピント合わせが苦手

 ピント合わせに関して分かったのは、緑色の被写体が苦手な点です。植物を撮影するとき、ピントの合わせたい葉や茎をファインダーの中央に置いても、中央近くにある別な色の被写体に合ってしまいます。中央に緑色しかない状況では、ピント合わせができず、降参するときもたまにあります。最悪なのは、緑色の被写体にピントが合ったと表示されたのに、実際にはピントがずれている場合です。EVFの解像度が低いため、ピントが合ってないか確認できません。もちろん、撮影後の液晶表示でも、同様に解像度が低いので確認は不可能です。仕方がないので、緑色の被写体に関しては、同じショットを2回撮影するように心掛けています(ときどき忘れますが)。

 このような現象は、少し苦手というレベルではありません。かなり苦手なようです。シャッターボタンの半押しを何度か繰り返しても、ピントが合わせられずに降参したり、周囲の緑色でない被写体にピントが合ったりします。ピント合わせのアルゴリズムが悪いのでしょうね。

 良い回避方法は、残念ながら見付けていません。一番有効と思われるのは、ズームの望遠を利用する方法です。撮影するズーム位置よりも望遠側に設定して、ピント合わせを行います。被写体を拡大することで、ピントが正確に合うようになりますから。シャッターボタンを半押ししたまま(望遠側で合わせたピントを保持したまま)で、撮影するズーム位置まで戻し、シャッターボタンを押します。結構面倒なので、これはと思う被写体でしか行っていません。

中央重点測光の露出で、たまに外れが生じる

 DiMAGE 7iの測光方式は、分割パターン測光、中央重点測光、平均測光の3つが備わっています(他に、特別なものとしてスポット測光もあります)。分割パターン測光は、露出補正が判断しづらいので、最初から使っていません。銀塩カメラで使い慣れている、中央重点測光をずっと使い続けています。

 使っているうちに、変な癖があると分かってきました。今まで使ってきた何台かの銀塩カメラの中央重点測光とは、特性が異なるみたいなのです。まれにですが、露出が合ってないショットが生じます。どんな条件のときに発生するかは、まだ分かっていません。

 中央重点測光を長く使っているので、この測光方式が苦手な被写体は頭の中に入ってます。苦手なときは、露出補正を加えたり、スポット測光で露出をロックしたりしています。DiMAGE 7iでは、補正が不要だと思った写真の一部で、たまに露出ミスが発生します。

 露出が合わない場合のズレの大きさですが、それほど大きくはありません。絞りで1段階程度でしょう。そのため、画像処理ソフトのレベル補正で直せます。しかし、私は、リバーサルと同じ意識で撮影してますから、困った癖だと思っています。

 絞りで1段階程度のためか、EVFで見ているときに気付かないのです。パソコンに取り込んで、サムネール表示したとき見付かります。今のところは、撮影後の後処理で修正しています。手動によるレベル補正です。

 露出の間違う条件が見付かりそうもないので、もしかして平均測光に切り替えた方がよいかも、などと考えています。平均測光だと、露出補正を行わなければならないショットが増えてイヤなのですが。

 デフォルトの露出補正の値は、-0.3に設定しています。何十枚か撮影した結果を見て、この程度の補正が適切だと思ったからです。これを基準にしながら、ショットごとの露出補正を考えます。

ホワイトバランスは、屋外だと昼光に

 ホワイトバランスの自動は、完全に補正しないタイプなので、苦手な被写体のパターンが数多くあります。たとえば、林の中で数本の木を撮影したとき、葉の緑に影響されて、木の幹にマゼンタがかぶります。

 仕方がないので、自動はすぐに使わなくなりました。代わりに、昼光を使っています。同様に、曇りの日には曇天の設定を試しました。こちらは、赤味が強く出過ぎて、好きになれませんでした。そのため、曇りの日でも昼光で撮影しています。

 もちろん、常に昼光で撮影するわけではありません。部屋の中などの人工照明の下では、自動を用います。完全に補正しないタイプなので、人工照明の色を残した感じで仕上り、私の好みに合ってます。

デフォルトの彩度が低いため、強調する設定で

 DiMAGE 7iで撮影した写真の色(彩度)は、かなり低めに設定してあります。見た目の印象ではなく、より正しい色(本当の色)を狙っているからでしょう。また、彩度を強調しないことで、彩度の高い被写体でも飽和しない利点があります。上級者向けのカメラとしては、適切な設定です。

 しかし、私のように、リバーサルと同じ意識で撮影する場合は、ちょっと困ります。そこで最初の頃は、彩度を+1に設定して撮影してました。それでも彩度が低いと感じたので、途中から+2に切り替えました。

 +2に設定した撮影を続けているうちに気付いたのですが、彩度の強調に偏りがあるように感じました。彩度が強い部分では、+2という強調が強く働くのですが、彩度が弱い部分では、あまり効かないようなのです。この結果は、画像処理としては正しく計算されているかも知れません。しかし、大事なのは、人間の感覚とズレてないことです。

 いろいろと悩んだ結果、最近になってビビッドを試すことにしました。まずは、ビビッドで彩度の補正なしを使い始めたところです。ビビッドだと色が飽和しやすいので、コントラストを-1に設定して使っています。今後は、彩度の補正も組合せながら、一番良い設定を求めたいと思います。

コントラストは、ショットごとに補正すべき

 デジカメ全般に言えることですが、銀塩フィルムに比べて、ラチチュードが狭すぎます。被写体の暗い部分に露出を合わせると、明るい部分が飛びやすいし、逆の場合には暗部がつぶれます。

 これを防ぐには、撮影時にコントラストを調整するしかありません。被写体の明暗が大きい場合には、コントラストを低く補正し、小さい場合には高く補正します。幸いなことに、DiMAGE 7iには、リアルタイムで更新するヒストグラムが付いてます。これを見ながら、適切なコントラスト設定を選べます。

 実際にやってみると、かなり大変でした。同じダイヤルで露出補正と切り替えるため、操作する手間が多いのです。仕方がないので、露出補正はスポット測光ボタンで行い、ダイヤルはコントラスト補正に固定しています。

 このような使い方でも、コントラストをショットごとに補正するのは面倒です。今のところは、これはと思う被写体でしか補正していません。それも、被写体の明暗差が大きいときだけです。被写体の明暗差が低い場合は、画像処理ソフトでコントラストを高めれば補正できますから。

 ラチチュードが狭いことを考慮し、最近は、コントラストのデフォルトを-1に設定しています。これで不足すると思うときだけ、コントラストをよりマイナス側に変えてます。

 被写体の明暗差が小さい場合は、そのままだと眠い写真に仕上がります。今後は、そんな被写体を写すとき、コントラストをプラス側に変更しようと考えています。理想的には、ショットごとにヒストグラムを確認し、必要なら補正すべきなのでしょうが、そこまで行う気にはなりません。良い被写体のときだけ、今トラスのと補正を考えようということです。

 コントラスト補正で忘れてならないのは、真っ白から真っ黒までの範囲を常に使うとは限らない点です。表現意図によっては、白側または黒側の端を意識的に使わず、補正する場合もあるからです。たとえば、幻想的な淡い写真を狙うなら、黒側端から10%とか20%がないようにコントラストを調整します。真っ黒とその近くが含まれないようにです。

 リアルタイムのヒストグラムを見れることで、真っ白から真っ黒まで全部を使うように補正したくなりますが、それが絶対的に正しいわけではありません。一番大事なのは表現意図で、それが伝わるようにコントラストも補正します。

ノイズが多いので、露光感度はできるだけ低く

 DiMAGE 7iの最大の問題は、ノイズの多さでしょう。いろいろと撮影した結果、次のようなルールを決めました。まず、ISO800の感度は、どうしても必要でない限り使いません。ISO400の感度も、できるだけ使わないようにします。通常は、ISO100または200で撮影するわけです。感度を自動に設定すると、ISO100か200が選ばれます。感度の切り替えが面倒なので、通常は自動で使ってます。

 被写体が暗い場合は、ISO200でも手ぶれが発生します。それを少しでも防ぐために、撮影の際には一脚を必ず持っていきます。一脚の効果は抜群で、手ぶれをかなり防げます。もちろん、被写体ぶれは防げませんが。

 表現意図の中には、ノイズが好ましくないものもあります。高級感、清潔感、緻密さなどです。これらを狙った撮影では、ノイズを少しでも減らそうと、感度をISO100に設定して写します。もしISO50があれば、それを使うでしょう。

上記以外は、たいていがデフォルトの設定

 DiMAGE 7iには、上記以外の設定もあります。ほとんどは、デフォルトの設定で使っています。シャープネスものまま標準です。

 撮影する写真に影響する設定では、デフォルトとは異なる値を選んでいるものが、1つだけあります。フラッシュモードで、後幕シンクロに変えています。この設定の方が、自然な写真に仕上がるからです。ただし、シャッター速度が遅いときには、フラッシュのタイミングが遅れる欠点はあります。この点は、仕方がないでしょう。

 写真に影響しない設定としては、いくつか変えたと思います。一番最初に変えたので、どれがデフォルトか覚えていません。具体的な設定値ですが、スポット測光ボタンに関してなら、機能をAEロックに、押したときだけロックする形にしています。他の設定も、自分の撮影スタイルに合わせて選びます。

 設定の登録が3つまで可能で、3つとも利用しています。1つは屋外用で、ホワイトバランスが昼光の設定です。もう1つは室内用で、ホワイトバランスが自動の設定です。残りは、その時点で試したい設定を入れます。現時点では、カラーがビビッドの設定です。

 こんな感じで、いろいろな設定を変えています。マニュアルはほとんど読み、すべての設定に目を通しました。ファームウェアのバージョンアップで機能が増えない限り、変更する点はあまりなさそうです。まだ試し続けている設定を除いて。

EVFが低解像度のために、失敗写真が少し発生

 最後に、EVFの問題点を取り上げましょう。EVFの機能自体は、とくに問題がありません。露出補正まで反映するので、かなり便利に使えてます。要望としては、EVF内に表示される情報として、35mm版換算のズーム位置を追加してほしいことぐらいです。

 問題なのは、EVFの解像度の低さです。被写体の細かな部分が見えないために、表現上の失敗写真が少し発生します。たとえば、色が目立つ小さな要素が、気が付かずに写ってしまったとか。これが一番の問題で、銀塩一眼レフでの撮影ではほとんどなかった失敗です。注意深く見れば見付かると思いますが、それは大変です。EVFの解像度を上げるのが現実的なの解決方法でしょう。

 解像度の低さは、望遠側のピントの確認でも困ります。DiMAGE 7iはたまにピントを外すことがあり、低解像度のEVFでは気が付かないのです。どんなカメラでもオートフォーカスは完全でないため、ファインダーでの確認は必須でしょう。その目的には、現状の解像度では足りないのです。

 では、どれだけあれば良いのでしょうか。最低でも、今と比べて、縦横とも2倍(画素数で4倍)は必要でしょう。それを実現する部品が存在するかは分かりません。もし存在したとしても、非常に高価だと思います。今の解像度は、現実的なコストを考えての選択だったのでしょう。後継機種に期待しています。

(作成:2003年7月11日)
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