あど思へか阿自久麻山の
筑波嶺にそがひに見ゆる葦穂山あしかるとがもさね見えなくに([万葉])
霰降り鹿島の神を祈りつつ
春がすみ霞の浦をゆく舟のよそにも見えぬ人を恋ひつつ(定家)
恋瀬川つれなき中にゆく水は年もせかれぬ涙なりけり(藤原家隆)
常よりも春べになれば桜川花の波こそまなく寄すらめ(貫之[後撰])
草枕 旅の憂へを 慰もる こともありやと 筑波嶺に 登りて見れば 尾花散る 師付の田居に 雁がねも 寒く来鳴きぬ 新治の 鳥羽の淡海も 秋風に 白波立ちぬ 筑波嶺の よけくを見れば 長き日に 思ひ積み来し 憂へはやみぬ([万葉])
よそにみて袖やぬれなん常陸なる高間の浦の沖つしら浪(光俊[続古今])
筑波嶺に雪かも降らるいなをかも愛しき子ろが布乾さるかも([万葉])
筑波嶺の峰より落つる男女の川恋ぞ積りて淵となりける(陽成院 後撰)
表紙 |畿内 東海道 南海道 東山道 北陸道 山陽道 山陰道 西海道|歌枕紀行|歌枕一覧 |