(Last update:09/10/20)
注意事項:
本改造に関して、
・管理人は、この記事を参考にした改造によって生じたいかなる損害にも責任を負いません。改造はあくまで自己責任で。
・管理人はいかなるご質問にもお答えしません。
・改造後はメーカー保証が受けられなくなります。
・本記事はあくまで管理人が入手したロットでの改造例です。今後製品基板の仕様変更により、改造ができなくなるかもしれません。
きっかけ
管理人の愛車・2008年型フィットも購入から1年半。そろそろエアコンの臭いも気になりだし、また最近犬を載せることも多いため犬の臭いも気になり始めた。そこで劇的な脱臭効果で思わず追加購入し続けているプラズマクラスターイオン発生器
SHARP
IG-B20 の車載を決意。
車載を考えた場合、IG-B20 は DC 4.6V/400mA 程度のコネクタ入力なので、電源回りは簡単に対応できるが、問題は電源スイッチ。IG-B20
の電源スイッチはソフトウエアスイッチで、しかも電源スイッチが風量設定スイッチを兼ねているため、風量強で動作させるには毎回電源スイッチを2回押さなければならない。さすがにこれでは不便なので、自動で電源を
ON できるようにしてしまおう、というわけ。
さて、アイデアは固まった。お盆のロング・ドライブまで時間が無いぞ! 速攻で製作だ!
分解調査
まずは製品底面のネジを2本外して分解開始。
底面を外すと、電源コネクタがすぐに現れ、電源はここから容易に引き出せることが確認できた。また追加回路を仕込むための十分なスペースがあることも確認でき、あとは電源スイッチ回りがどうなっているか、が焦点に。
で、目に入ったネジは全部外してみたのだが、ユニットがかなり強固に筐体内に押し込まれているためか、うまく基板を引き出すことができず、結局、完全分解は断念(爆)。
しかしよくよく覗き込むとスイッチ基板に繋がっていると思わしきフラットケーブル(この段階ではピン数不明で1ピンが赤でマーキングされていることだけがわかった)が見え、そのケーブルは底面のコネクタに繋がっているように思えた。ただし基板奥にも複数のコネクタがあり、底面に見えているケーブルが電源スイッチ基板からのものかどうかは定かではない。
で、ここでちょっと考えてみる。スイッチ基板にはスイッチ2つと LED が4つあるので、ありがちな
GND 共通(もしくは VCC 共通)接続だとすればおそらく 7pin になるはず。で底面に接続されているフラットケーブルを確認してみるとまさに
7pin ! ラッキー!
スイッチ基板内の回路は不明だが、ピン数から推察するに、単純にプルアップもしくはプルダウンされた制御マイコンのポートをスイッチで
GND もしくは VCC にショートする回路と思われる(こちらに掲載の推定回路参照)。この場合、スイッチを押した際にどれかのピンが
H か L になるはず、とアタリを付けた。そこでテスタで確認していくと 2 pin
が電源スイッチを押した時のみ H になることがわかった。
そこでこの 2pin を VCC にショートさせてみることに。ただし基板を完全に解析したわけではないので、電流制限無しで
VCC にショートすると一発で壊れる可能性もある ^^; 。1K の抵抗を介してショートしてみるとうまくスイッチが入った
(^^)v。そこで抵抗の値を少しづつ上げていき、4.7K まではスイッチが入ることを確認。
ここまでくればシメたもの。あとは PIC でこの 2pin の電圧レベルを制御すれば、簡単な外付け回路で一丁上がりだ
^^;
回路設計
要は短時間のパルスを出すだけなので、定番のタイマ IC 555 を使ったワンショット回路も考えられるが、(1)
風量強にするにはパルスが2発必要、(2) IG-B20 本体内蔵のため外付け部品は極力削減、の観点から
PIC を使用することに。詳細仕様は、
・A/D 変換は必要ないので、PIC12F629 を使用
・電源は本体から 4.6V をそのまま拝借(=3端子レギュレーター等は不要)
・風量はジャンパで設定。ジャンパ・オープンで風量強、ショートで風量弱とする
・電源が入ったらポートを 0.4秒間 H にする。風量強設定なら、さらに 1秒後、再度
0.4秒間 H にする
・動作終了後は SLEEP で放置
・電源スイッチを手動操作した場合に問題が起きないよう、PIC の出力にダイオードを入れておく
・動作を目視確認できるよう、モニタ LED をつけておく(オプション)
・動作を音で確認できるよう、自励式圧電ブザーによるモニタを可能にする(オプション)
オプション部品を除くと、5 個の部品で製作可能。チップ部品を使えばかなり小型に仕上がるハズ。本体側も信号線を
1本引き出すだけなので最小限の改造で済む (^^)
製作
今回は部品数が少ないので久々の空中配線。パスコンとダイオードにチップ部品を使って超小型に仕上げた。
追加回路への電源は電源ジャックか基板上のコネクタから容易に引き出せるのだが、制御信号(コネクタ
2pin)からの信号の引き出しは今回の改造の一番の難所かも(笑)。ピンを一度コネクタから引き抜いて、線をハンダ付けした後、再度コネクタに挿しなおせればベストだが、なかなかピンが抜けなかったのでコネクタを溶かさないよう一気にハンダ付けした。
で、最後に追加回路を紙で巻いて絶縁し、製品基板の下側の空きスペースに押し込んで固定した。
なお、転倒防止と防振には製品パッケージに入っていた発泡スチロールが便利。電源コネクタの部分だけカッターで切り込みを入れて車に積み込むことに(写真参照)。
車載
愛車(2008年型フィット)に載せてみた。おそらく相当なノイズ源と思われる(高電圧放電モノだから)ので、万が一でも
ETC やカーナビが誤動作しないよう、運転席からは離して設置することに。都合のいいことに、フィットにはちょうど
IG-B20 が収納できる手頃なポケットがトランクにあるので写真のように納まった。こういう設置場所の場合は、オプションの圧電ブザーを実装しておくと毎回の起動確認に便利だろう。
さて、車載の場合の懸念事項としては振動が挙げられよう。IG-B20 は電源コネクタが基板直付けではないので、振動に起因する金属疲労からのコネクタもげ(汗)や配線パターン剥離を心配しなくて済むのは幸いなのだが、電源プラグは振動を想定したものではないので、コネクタから抜けてしまうことは十分に考えられる。直に線を引き出すか、あるいはしっかりとした保持機構を有するコネクタに代えてしまうのが望ましい。実際、運用してみたところ電源プラグ抜けが多発したため、輪ゴムで電源プラグを本体に押さえ付けて運用している(爆)
あと、車載時の電源をどうするか、という点だが、管理人は先日製作した遅延電源から電源を取ることにした。容量的にまだ余裕があり、出力も丁度
4.6V 前後。加えて遅延機能もあって何かと便利なので (^^)。でもまぁ、普通の人が
IG-B20 の車載を考えるとしたらまずは電源をどうするかの方が切実だったりするだろうから、以下にヒントを。
純正 DC アダプタの出力は 4.6V/1A となっており、実測したところ電源 OFF(待機)状態で
5V、風量弱で 4.8V、風量強で 4.6V 強。電流は風量強時公称 2W なので、400mA
強流れるハズ。自作派なら入手容易な 5V 出力の DC/DC コンバーターで十分に代用可能だろう。よりお手軽コースとしては、携帯充電器や
USB 用電池パックなどで車載稼動させている報告例や、某ポータブルゲーム機のシガーアダプターがコネクタも同じで即使える、という情報もある。まぁ、コネクタの規格自体はいわゆる「EIAJ
極性統一 電圧区分2」(参考)なので、最近の
AC アダプタなら選択肢は多いだろう。
2009/10/20 追記: 単3電池(ニッケル水素電池でも可)を4本使用する純正電池パックが発売された。電源は
6V までは OK とメーカーが認めたわけですね ^^;
閑話休題。
今回は車のアクセサリー電源を使うことを前提にしているためにこのような追加回路が必要になったわけだが、常時電源ラインに繋いで停車時でも連続稼動、という選択肢もあり得る(実際にやっておられる猛者はこちら)。確かに常時稼動の方がより効果的と思われるが、管理人のような典型的週末ドライバー環境ではやはりバッテリー上がりが怖い
^^; ので、何らかの過放電対策を講じておいた方が無難。例えば 12V→5V 降圧コンバーターの制御とと過放電監視を
PIC にやらせて IG-B20 本体に内蔵するとか(2009/8/27 追記: その後 DC/DC
コンバーターも内蔵し、より便利な機能を付加して完成度を高めた。詳細はこちら)。
最後に
確かに表面的には改造が成功したが、製品基板をちゃんと解析したわけではないので、そもそも
2pin を強制的に H にするのはマズいかもしれない。そのうち壊れるかも(殴)。繰り返すが、改造するならあくまで自己責任で。
プログラム
改変自由。商用利用は厳禁。
Ver 1.0 (2009/08/04) asm & HEX ファイル |
Plasma_Starter_v10.zip |
おまけ(改良のヒント)
PIC 4pin を GND に落とすと 47K の抵抗が不要になるため部品4つで製作可能に。(ただしソースを変更しないと風量弱固定となる。)