(Last update:2011/11/07)
経緯:
「SI-3BG (CI-3BG) には手を出すな」。管理人は以前にそう書いた。
が。
困ったことに管理人は SI-3BG を持っている。しかも 5個も(爆)。
何とかこれを有効活用できないか、と考えついたのがこの作品。
コンセプト:
高線量地域専用の小型・軽量な警報器。
細かい数値は気にせず、とにかく「鳴ったら逃げろ!」という方向で。
ソフトウエア:
前々作と同じものを使用する。
LCD が無いぶん、ぱっと見では音が鳴るだけのチープなガイガーカウンターに見えてしまうが、内部ではちゃんと
CPM 計算しているので設定値でアラームがちゃんと鳴るし、RS-232C でデータも取れる(低感度の
SI-3BG ではほとんど無用だが)。
なお今回は LCD もスイッチも実装しないので、あらかじめ SI-3BG 用に初期設定(GM管電圧=400V、アラーム設定値=4cpm、アラーム時のみブザー発動)を済ませた
HEX ファイル(下記に掲載)を PIC に焼いている。
ハードウエア:
回路は前々作と同じだが、下記で公開している
SI-3BG 版ファームでは外付けプルアップ抵抗が不要になっている。
SI-3BG は感度が低いので LCD をつけたところで宝の持ち腐れ^^; よって今回は
LCD もスイッチも実装せず小型化を目指す(とはいってもユニバーサル基板+非チップ部品では限界は見えているが
^^; )。
LCD がないので動作状況は LED でモニタする。簡易表示用 LED と放射線検出
LED ので合計3 つを実装するが、これで最低限、緑 LED が点滅していれば正常動作中であることは判る(点滅すらしていなかったら多分電池切れ
^^;)。なお写真の実装例では LED を個別に実装すると面倒なので超高輝度 3色
(RGB) LED x 1 としている。
電源は小型リチウムイオン電池 + 充電 IC + 5V 昇圧コンバーターとしたが、実装スペースが許せば単五電池(1.5V)の方が充電の手間が省けて便利だろう。
なお放射線検出パルスは今回はアノード側で検出している(アノード抵抗は
10MΩ + 1MΩとした)。そのおかげで前々作、前作と悩まされた楽しめたノイズは発生せず一発で動作した
^^v
なお、クロック源は手持ちの都合上クリスタルを使ったが、RS-232C 出力を使用しない限り精度は必要ないので、コンデンサ内蔵型のセラミック発振子で十分。
ケーシング:
今回は某 100円ショップで売っていた石鹸ケースを利用。SI-3BG がぴったりと収まるサイズで厚みも丁度いい。またケースが肉薄で
LED の点灯が透けて見えるため、ケース加工はしないことにした。(そのため充電は基板を丸ごと取り出して行うことになるが、どのみちデモ的性格の作品なのでこれでヨシとする)
ともあれ、写真の通りとてもガイガーカウンターとは思えない外観に仕上がった
^^; (ってかただの石鹸箱にしか見エマセン・・・・汗)
運用:
SI-3BG の感度は非汚染地域で 0.1 〜 0.2cpm とまったく使い物にならないが、汚染の深刻な飯館村(2011/6現在、役場前で
3μSv/h 程度)なら 4 cpm 程度にはなる・・・と思われる。アラーム設定値を
4cpm にしておけば同程度のホットスポットがあればアラームが鳴ってくれる・・・ハズだ。緊急避難地域でもないのにアラームが鳴ったらもう逃げるしか(汗)。
ちなみに茨城南部でも瞬間的に 2cpm を叩き出すことがある @o@。ソフトウエアの仕様上、アラーム設定値を連続して
5 秒間超えないとアラームは鳴らないので、マグレ検出で鳴ったりはしないはずだが、飯館村とまではいかなくてもそこそこ高線量の場所に行けば鳴る可能性はある。
改良案:
ちゃんと基板をおこしてチップ部品を使えばもっと小型化できるだろう。
また AC アダプタで常時稼動にして原発周辺の住宅内に火災警報機のように常設設置するのもアリ・・・ってかそれが一番いいかも。これまで多くの原発事故が隠蔽されてきたことを考えれば、一家に一台あって損は無いはずだ。
最後に:
SI-3BG も値崩れして 1000円前後で手に入るようになったので、 全部で 3000円もあれば作れるだろう。原発周辺居住者には安価ながらそれなりの「御守り」にはなるかも・・・って、そもそもこれが鳴るような場所はあってはならないのだが。
プログラム:
上の実装例のように LCD や スイッチを配線しなくてもいいよう、SI-3BG 用に初期設定したファームウエアを下記に載せておく。もちろん回路図通り
LCD やスイッチを配線すれば設定値は後から変更可能だし、こちらの最新ファームに変更することも可能だ。
なお製作後、電源を入れて1分後に派手にブザー(アラーム)が鳴り出したら、高圧発生回路で余計なノイズが発生しているとみて間違いない(LCD
を繋ぐと、電源 ON と同時に数万以上のカウントが表示されるはず)。その場合はこちらを参考にしてノイズを押さえ込もう。
SI-3BG 用 HEX ファイル |
GC_5.20_SI-3BG.zip (外付けプルアップ抵抗不要) |
おまけ(SI-3BG のオーバードライブについて):
ヤフオクを見ていると、明らかに感度が高い(ように見える) SI-3BG を使ったキットが見受けられる。実際に入手したわけではないが、動画を見る限りあのカウント具合はオーバードライブと推察される。
基本的に SI-3BG は 400V 動作推奨。500V 以上はプラトー領域から外れてしまい、電圧が少しズレただけで感度が大幅に変わってくる。管理人も実際に試してみたが、400V
で 0.2cpm、500V で 0.5cpm、600V で 9cpm、700V で 28cpm と一気に右肩上がりとなった(複数個体で試したので個体差によるものではない)。
そもそも SI-3BG の小さい容積で SBM20 以上のバックグラウンドカウントが出ること自体異常である。こちらにも参考になるデータがあるが、オーバードライブすればするほど「嘘カウント」が増え、本物のカウントが埋もれてしまう。個人的にオーバードライブを楽しむならともかく、商品として売るのはいかがなものだろうか。