SBM20 版ガイガーカウンターの製作 (2011/06/18〜2011/06/30)

(Last update:2011/08/26)


基板表

裏面にリチウムイオン電池が
あるため、高圧回路は空中配線
基板裏

ノイズ対策で四苦八苦した跡が
生々しく残っていたり ^^;
16文字 LCD で一覧性 UP

SBM20 を使用した作品としてはかなり
コンパクトにまとまった・・・と思う
厚み方向の実装具合。

LCD 裏面は高圧回路に近いため、
カプトンテープを貼って絶縁対策を
施してある。
タカチ SW-130 にピッタリと納まる。

上蓋が LCD を固定してくれるので、
ネジ止めせずとも基板はしっかりと
固定される。

スイッチや USB コネクタはホットボンドで
固定。見栄えは悪いがケースに
入れてしまえばどうせ見えないし ^^;
上面図。

実装したスイッチは2つだけ。

LED も放射線検出 LED (緑) だけ。
側面に USB 充電コネクタと
電源スイッチを配置。照光スイッチは
充電モニタになる。

バックライト付き LCD を使うと
LCD がもっと飛び出しマス ^^;

製作の動機:

 前作を勤務先で見せびらかしたところ(殴)、貸し出し要請が ^^;

 ただ前作は一般人に貸し出すには不要な機能が多く、操作も複雑。マイカ板 GM 管の破損も心配だ ^^;。そこで機能・表示を必要最小限に絞り、物理的衝撃に強くて感度も高い SBM20 を使ったものを製作することにした。


実装コンセプト:

 一般人への貸し出しを想定したシンプルなものに。

 ・16文字 LCD で一覧性を高め、表示モード変更を不要に
 ・必要最小限のスイッチだけ実装
 ・SBM20 を使いつつ小型に
 ・屋外使用を想定した視認性


ハードウエア、ソフトウエア:

 基本的にハードもソフトも前作と同じ。

 異なるのは 16文字 LCD(バックライト無しで薄いタイプ)にしたことと、アノード抵抗を大きめにしたこと。8.2MΩ ではクエンチングが不十分のようだったので 4.7MΩを足して 12.9MΩ に変更してある。(先人達の製作例も 10M〜15MΩあたりが多いようだ)

 なお使用しているリチウムイオン電池 (350mAh) は秋葉の某店で \210 で投売りされているもの。充電回路を付けてもコストパフォーマンスは抜群だし、総消費電流が 10mA に満たないので計算上 35時間程度も動くのも good ^^v


実装:

 ユーザーの設定は表示モードを含めてほとんどが EEPROM に保存され、電源再投入時にちゃんと再現される。よって基板上のスイッチで基本項目を一度設定してしまえば、あとはケース上に SW3(ブザー音 ON/OFF )と SW4(再測定開始)のみ実装すれば十分。

 ケースにはタカチの SW-130( W40 x H25 x D130 )を使用して小型に納めた。ユニバーサル基板 + SBM20 + LCD + 電池搭載の作品としては結構限界に近いサイズではなかろうか。

 特に厚み方向を合わせるために電池を基板裏面に貼り付けているのだが、当然この部分は半田付けができないので、基板表面の高圧回路は空中配線にしている。(素直に両面ユニバーサル基板を使うべきだったかも・・・)

 今回、唯一残念だったのはアラーム LED を取り付けるスペースが確保できなかったこと。写真の通り、LCD がケース上面の大部分を占め、もともと空きスペースが少ないのに加え、ノイズ対策(下記参照)で当初予定していた部品レイアウトを変更せざるを得なくなったのが敗因。無理矢理変な位置に LED を付けてもカッコ悪いので今回は実装を見送ることにした。

 なお SBM20 自体はβ線とγ線の両方が検出可能だが、プラスチックケースに入れるとβ線の感度が少なからず落ちる。もともと SBM20 は 137Cs のγ線エネルギー分布に対してあまり感度が良くないので、ホットスポット探しに使うならケース側面に孔を開けるなどの対策が必要となる。

 一方、ある程度の目安でもいいから吸収線量を測りたいという場合は逆にβ線を遮蔽する必要があるので、SBM20 をアルミパイプに入れる、ケースをアルミホイルでぐるぐる巻きにする、最初からアルミのケースに入れる、といった対策が必要となる。


測定:

 早速、牛久市在住の知人に貸し出したところ、

 ・(参考値)つくば市・万博記念公園 24cpm 程度
 ・自宅室内(リビング)20cpm 程度
 ・自宅庭先 35cpm 程度
 ・自宅前の側溝(水はけ悪い)60〜70cpm @o@

 との計測結果が出たとのこと。つくばと牛久の放射線量の違いが明確に出たこと、特に自宅前側溝の値の高さに驚いていた。(そりゃ驚くよね、管理人も始めて測定したときはびっくりしたもの ^^; しかも事故前なら通常ありえない値だし @o@)


今回の失敗:

 今回は久々に苦しめ楽しめた(汗)

 使用している高圧発生回路は e電子工房さんの HP にも記載があるようにノイズをかなりバラまく。前作でも配線の手直しを余儀なくされたわけだが、今回は解決に時間がかかってしまった。

 結論から言うと、今回は GND 配線を FET 本体から概ね 1cm 以上離すことがポイントだった。(FET のソースは GND に落とさざるをえないので、その先の引き回しが重要)

 おそらくちゃんと基板を起こしてベタアースをしっかりと作ればこのような問題は起きないと思うのだが、管理人のようにユニバーサル基板+部品の足の切れっ端で配線すると太いアースがとり辛く、このような症状が出てしまう模様。管理人はアナログ回路の基礎知識や経験が無いため、こんな簡単な原因でも究明〜解決まで丸 1日もかかってしまった(トホホ)。

 ちなみに前作でもノイズ対策を迫られたわけだが、前作ではたまたま GND ラインが FET から十分離れていたため、パルス検出部のハイ・インピーダンスな配線を物理的に離すだけで解決できた模様。

 いずれにしろこの高圧回路を使用したガイガーカウンターの最大のポイントは、いかにこの高圧回路からのノイズを拾わないか、であり、特にユニバーサル基板で実装する場合は要注意である。


2011/07/14 追記:

 その後、こちらを参考にアノード側検出を検証してみた。カソード側検出は GM 管に触れると派手に誤カウントするが、アノード側検出ではまったく平気(汗)。やはりカソードを GND に接地することでインピーダンスを落とせるアノード側検出の方が理にかなっているようだ。(後日作でもアノード検出にしたらノイズトラブルは発生せず一発で動作した)

 アノード側検出は信号検出に高耐圧コンデンサが余計に必要だが、管理人的には安定度重視でアノード側検出がお薦め。


謝辞:

 GM 管用高圧発生回路はこちらを、数値演算はこちらを、RS-232C 回りのコードはこちらを参考にさせていただきました。開発者様各位にお礼申し上げます。


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