平型のフォノケーブル
オヤイデ製の比較的お安いフォノケーブル、d+シリーズを手に入れたので、使用中のオルトフォンのフォノケーブルと比較してみました。 平たいケーブルとそれに合わせた異形のプラグが特長です。柔らかく、非常に曲げやすいので、取り回しは間違いなく良好です。 テストに使ったのは、トーレンスTD-126Mk3、Van den Hul MC-10 Special と、Octave EQ.2 のほうのセットです。 二重シールドのオルトフォン線は、ちょっと曲がりにくく、裏が狭いこちらのシステムでは、ちょっと曲げが狭苦しい。 左がオルトフォン、右がオヤイデ。 音を聴いてみると アナログケーブルでは音が変わります。それは普通。とりわけ、フォノケーブルは、MM型のカートリッジにおいては、100ピコファラド/m くらいの電線の静電容量が、計算上でも、特性の高域を変えることが示せるし、実測にもかかります。 しかし、MC型では、内部インピーダンスが10Ω程度、受けるアンプ側が1kΩ以下なので、数字上は、100ピコファラド程度の線の静電容量は関係ないはず。しかし、それでも音は変わる。ただし、ケーブルによる音の変化はわずかで、かつ変化は、デジタルイコライザDEQ2496で、1オクターブ程度の範囲を0.5dB変えれば、評価が逆転してしまう程度の違いとの認識です。 今回は、どれほど変わるのか、変化は実測できるのか、が、私の興味でした。 まずは聴いてみますと、Oyaideのほうが、少し明るい音に変わる。何度かオルトフォンと聴きなおしましたが、これは気のせいではなさそう。 実測してみる いつもの通り、テストレコードで、周波数特性を計りました。 赤がオルトフォン、青がオヤイデ。 いつもの計測では縦目盛が5dB/divにしていますが、この計測では倍精度の2.5dB/div です。 ややや! オヤイデの方が高域が少し高いな・・・・と思ってはいけないのです。よくある早とちりです。こういう実験では、かならず、「同じ条件ではどれくらい再現性があるか」を確認しなければなりません。 可能なら100回くらい計れればいいのですが、それは面倒なので、オルトフォンに戻して、二回ともオルトフォンで計測し、同じように重ねてみます。 どうですかねえ。いつもの5dB/divの精度なら、ほとんど重なると思いますが、倍精度ではこのくらいの誤差が毎度高域に出るわけです。ということは、上の計測例では、「オヤイデの方が高域が高い」かどうかは微妙。「オヤイデの高域が低くはない」くらいは言えそうですが、この計測では、「精度が不足で、差ははっきりわからなかった」というのが結論でしょう。 そこで、奥の手です。 片チャンネルだけ変えてみる 左チャンネルだけをオヤイデにしてみて、中央定位が非常によいバイオリン曲を聴いてみました。 これで、ちゃんと中央にバイオリンが定位すれば、「音の変化は気のせいかも」ということになるわけなのですが、実際に起こったことは、 明らかにバイオリンの定位が、オルトフォンを繋いだ方にずれる。 かつ、そのせいか、定位はかなり曖昧になる。 え、こんなに違うの?ってくらい。 この方法は、かなり敏感ですね。定量的計測ではないですが、電線で音が変わったのが「気のせいでない」のだけは、しっかり確認できました。 ただ、音が明るくなるオヤイデを繋いだ方に定位が寄る、のではなく、その逆なのが、ややこしい。これはどうしてかはわかりません。左右入れ替えても、同じでした。定位は、オルトフォンを繋いだ方に寄る。 DEQ2496を持っていないのであれば、ポップスはオヤイデ、クラシックはオルトフォン、とするかもしれない感じです。もちろん、現実には、私はDEQ2496の設定をポップスとクラシックで変えているので、この変化は私には不要です。結局、接続ケーブルは、オルトフォンのままにしておくことにしました。 ただし、オヤイデは価格が1/4であることを考えると、あらためて買うなら、オヤイデの方がダントツにコスパが良いのは間違いないです。平ケーブルの取り回しも、想像以上によかったです。
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