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言葉(4)







翌朝ダガーが目を覚ますと、そこにジタンの姿はなかった。
一時は良好だった体調だが、今日はだるさのあまり彼女は天井を見つめたまま動くことはなかった。
喉はひどく渇いているのに、胃は相変わらず水さえも受け付ける気配はない。
ぼんやりとし、鈍痛に締め付けられる頭と節々の痛む体。
それも全て発熱のせいだろう。
意識も途切れがちだ。
その時、ガチャリと部屋のドアが開いた音がした。
横たわっている状態では誰が入ってきたかが分からないが、きっとそれはジタンだ、と思ったダガーは彼に声をかけた。
「ジタン?」
自分でも驚くほどかすれた声。
昨日にもまして力の入らない全身の活動に彼女はため息をついた。
更に
「ちげーよっ」
入ってきたのはジタンではない、ときた。
彼女は正直にがっかりして、ため息をついてしまった。
「ジタンは?」
小さな足音に問い掛けると、入ってきた黒魔道士の少年はダガーのベッドの隣に来た。
そして彼は首を振る。
「いないよ」
「いない?」
ガチャリ、と再びドアが開く。
「クルル、来てたのね」
ミコトの声だ。
彼女は新しい水桶とタオルを持ってきたらしい。
そしてダガーは、初めてビビの子供の中で一番口の悪い彼の名がクルルなのだと知った。
「ダガーが、目ェ覚ましてるぞ」
「ほんと?おはよう、ダガー」
ミコトまでもがダガーの顔を覗きこむ。
二人に上から見つめられ、なんとなく眩しく感じたダガーは目をつむった。
「おはよう、ミコト」
「調子は、どう?」
「、、、、、、あんまり良くないみたい」
「そう、でもきっと良くなるわ」
ミコトの声がやけに明るいことに気がついてダガーは目を開けた。
眩しいと思って目をつむったダガーだが、やはりミコトの笑顔が本当に眩しかったのだ。
なぜこんなに機嫌が良いのだろうか。
「どうして?」
「きっとジタンが何とかしてくれるわ」
「?そういえばジタンは?いないってどういうこと?」
彼女は機嫌がいいわけではないらしい。
なんというか、無理に明るさを出していたようだ。
いつもと変わりないと思われたミコトの笑顔がその一瞬歪んだ。
それは極めて短い一瞬だったが、ダガーはそれを見逃さなかった。
「ね?どういうこと?」
それでごまかせるとでも思っているように、今度は笑顔を崩さないミコト。
ダガーはクルルのほうに目をやった。
子供である彼は心の中を隠すのがまだ得意ではない。
なんとも苦々しい顔をしているクルルにダガーは矛先を向けることにした。
「ね、クルル。ジタンはどこにいるの?」
「ぅぇっ!?い、いや、、おれは知らないよぉ!!」
「ジタンがいないって言ったのはクルルでしょ?」
「っでもっ、、、!」
「ダガー」
ミコトがいきなり横から、少年を問い詰めるダガーの手を、握った。
冷たい手に触れられて、驚いたダガーはクルルからミコトのほうに気を向けた。
「ダガー、落ち込まないでね。ジタンならきっと大丈夫だから」
「?」
ミコトは床に膝をつき、横たわるダガーと目線が同じなるようにして、彼女をまっすぐ見つめた。
「ジタンは―――――」



昨日の夜半。
寝息を立てるダガーを抱きしめたままジタンは黒い窓の外を見ていた。
そんなとき、ミコトがゆっくりと部屋のドアを開けた。
「?」
「ちょっと来て」
彼女はダガーを起こさぬよう静かに言う。
彼はダガーをそっとベッドに戻した。
「おっと」
その瞬間、彼女の手からクローバーが落ちた。
ジタンにとって嬉しくない念の込められたクローバー。
少しためらいながらもジタンはそれを拾い、机の上に置くとミコトに続いた。

「一つ、分かったことがあるの」
村の集会場のような場所でミコトが挑戦するかのようにじっとジタンを見た。
その場にいるのはミコトだけではない、ダガーの治療にかかわったジェノムや黒魔道士達。
スタイナーはジタンよりも先にそこに来ていた。
「ダガーの病は霧の影響らしいの」
「霧?」
突然のことに驚きながら、ジタンは眉をひそめて首を傾げた。
「霧はもう出てないはずだろう?」
「霧の残りがあるのよ。空気中で有害な物質に変化した霧が風か何かでこの大陸全域に広がっている」
「霧がなくなってからだいぶたつではないか。それでも人体に影響するほど残っているというのであるか?」
「そういうことね、霧は魂の塵なのよ?そう簡単に分解されたりはしないわ」
「じゃあ、なんでダガーだけに影響が?ずっとここに住んでるお前らは平気だったんだろ?」
「おそらく」
ミコトはダガーから採血してとった彼女の血液のデータを書いた紙を睨んだ。
「召喚士の血を引く者のみに影響するのだと思う。仮説でしかないけど」
無意識に固く握り締めていた手に汗がにじむ。
ジタンは乾いた唇を開いた。
「で?ダガーは治るのか?」
ミコトは彼の質問に、後ろにいる黒魔道士を振り返った。
ミコトと黒魔道士は少しだけ気まずそうな顔をした後、仕方ない、といったように頷きあった。
「特効薬がないわけではないわ」
「特効薬?」
「そ、そのような物があるならば、なぜそれを使わなかったのだ!?」
スタイナーが思わず叫び、ジタンがそれを制した。
「なにか理由があるんだろ?」
出来ることならなんでもしてくれると約束してくれた彼らがその薬を使わなかったのだ。
どうしてもその薬を使うことが出来ない理由がなにかあるに決まっている。
鋭いな、とミコトの隣の少年が苦笑した。
「ダガーさんに万能薬を使用しても効かなかったのを覚えていますか?」
「あぁ、覚えてる」
「基本的にはあの万能薬で治るんです」
「基本的には、とは?」
「少し特殊な万能薬が必要なのです。」
スタイナーとジタンは顔を引き締めた。
彼らは何が何でもその特効薬を手に入れるつもりでいた。
ダガーを助ける術であるならば、たとえそれが困難だったとしても。
「どんな万能薬なんだ?」
「万能薬がピモピモ草で出来ているのはご存じですか?」
「ピモピモ草?」
「この大陸にのみ自生していて、薬草代わりによく使われる草です。」
「それで?そのピモピモ草を探せばいいのか?」
逸るジタンに今度はミコトが残念そうに首を横に振った。
彼女は古めかしい図鑑を机の上に広げる。
細い指が指すのはたった今話にあがったばかりのピモピモ草。
「少し特殊な万能薬が必要って言ったでしょう?だから素であるピモピモ草も特殊な物よ」
「能書きはいいんだ。それはどんなピモピモ草なんだ?どうしたら手に入る?オレはそれが知りたい」
「イーファの樹に生えているピモピモ草」
「それではイーファの樹に行くだけでよいではないか」
重そうな鎧がガチャリと音を立てて、スタイナーが首を傾げる。
ミコトは再度首を横に振った。
「今もっとも有害な霧の変化物があるイーファの樹で育ったピモピモ草ならば、その草自体にその変化物を分解することの出来る能力があるはず。それで作った万能薬を使えばダガーは治るわ。でも、、、」
「でも?」
「本来ピモピモ草は綺麗な空気のあるところにしか育たない。イーファの樹なんて、あんな有害な空気のところに、分解能力を持ったピモピモ草があるとは思えない」
「そんな!!」
スタイナーは落胆し、床に膝をついた。
近くにいた黒魔道士の少年が彼をなだめるように彼の隣にしゃがみ込む。
「特効薬がないわけではないってさっきは言ったけど、実際は『もし、あったら』という話であって、可能性は、ゼロに、限りなく、近い」
口調は相変わらずしっかりしているが、泣きそうなミコト。
彼女はさらに言葉を付け足した。
「それに、イーファの樹には以前よりも狂暴化したモンスターが棲息しているわ。それだけじゃない、あれだけ霧の残りが濃い場所だもの、召喚士でなくとも影響を受ける可能性は大よ」
泣きそうなのは彼女だけではない。
自分たちの運命を変えてくれた仲間の一人の命が、今消えようとしているのだ。
ジェノム達黒魔道士達はみな、悲痛そのものの顔をしていた。
だが、ひどいしかめっ面でそれを聞いていたジタンが、次の瞬間、しっかりと顔を上げた。
「オレは行くよ。可能性が少しでもあるのなら、それに賭けたい」
その場にいた皆が驚いてジタンを見る。
彼の顔はもはや、愛する者を救うための術を真剣に聞く男の顔ではなかった。
これから、何か悪戯でもしでかそうとする少年のような笑顔。
だが、それは決してダガーの体の状態と、その特効薬の入手の困難さを軽視しているわけではない。
その顔に迷いは見られなかった。
スタイナーはこんな彼の笑顔を以前に見たことがあった。
彼はその笑顔をよく覚えている。
「やめろっ!貴様は行くな!!自分が行く!!!」
だから思わずスタイナーは立ち上がり、かと思うとジタンの胸ぐらを乱暴に引っ張り上げていた。
彼のその笑顔には、無邪気そうな裏に巨大なる決心がある。
以前も、ジタンはその決心をこの笑顔にだしたことがあったではないか。

              『王女様』

「貴様はここに残れ!!!ピモピモ草は自分が必ずや見つけてこよう!!!」

         『わたくしめの勝手をお許しください』

「やなこった」
「何ぃ〜っ!?!?!?貴様は、、、、、、、!!!!!!」

暴れるイーファの樹。
飛び立つ飛空挺。
今にもその枝が襲ってきそうな大地の上で、貴様はそんな笑顔をしていたな。
一人の男を助けるために、
貴様はその笑顔でガーネット様に手を振っていたな。
その笑顔がどれだけガーネット様を悲しませていたか知っているか?
その記憶がどれだけガーネット様を苦しませていたか知っているか?
貴様は
               貴様は、、、、、!!!!

「目が覚めて貴様がいなかったら、ガーネット様はどう思う!?貴様はガーネット様のお気持ちを考えたことがあるのか!?!?!?」

彼はダガーが時折ジタンのために涙を流していたのを見てきた。
だから、尚更ジタンの行動が許せなかった。
しかし、

「あるよ」

返事はあまりにもシンプルだった。
強く歯を食いしばったスタイナーはジタンの胸ぐらを決して放そうとはしない。
「でもオレは行く」
スタイナーが、命を懸けてまで人の命を救おうとするジタンのその度胸をも、ガーネットと見合うと見込んだのは事実。

だが

「人には心を決めなければならぬ時がある、そう言ったのは貴様。だが、貴様の決心は、あの男を救ったときに終わったはずだ!今度は自分が決心する番なのだ!!勝手なことを言うな!!」

もうガーネット様を悲しませるようなことはやめろ

「勝手は承知さ。でも」
笑顔ながらも強い力でジタンがスタイナーの手を払った。
驚いた顔のまま、スタイナーは行き場をなくした手をおろす。
「愛してるから、オレが助けたい。この手で。俺自身の力で。」
どこまでも純粋で透明な笑顔は、スタイナーに言葉をなくさせた。
どうしてそんなに強くいられるのだろうか。
男女関係なく、彼の勇気には誰もを魅了する力がある。
「それが、オレ自身を証明することにつながるんでね」

だめだ、かなわない

スタイナーは強ばらせていた顔をわずかに緩めた。
微笑みとは遠いものだが、険しく睨んでいた顔はもうそこにない。
一人の人間として、自分を証明しようとしている男を止める訳にはいかないだろう。
むしろその心は、見習うべきだと思ったのだ。 
だが、それでも譲れぬことが一つ。
彼は声を張り上げた。
「わかった!行くがいい!!ただし!自分もついていかせてもらう!!!一人で行かせて貴様に死なれでもしたらガーネット様に申し訳がたたんからな!!!」
既にこの強い瞳の持ち主のやり方を認め、生き生きとしたスタイナーにジタンは苦笑した。
たぶん、もう何を言っても聞かないだろう。
彼はスタイナーの差し出した手をぱしんと打った。
「わかったよ。日が昇ったら出発だ。」


宿に戻ると、ジタンは未だ眠る女王の枕元に立って彼女をを見た。
頬には涙の後。
寝息をたてる彼女が、僅かに苦しげな顔をして寝返りを打つ。
また、熱が上がったのかもしれない。
急がなければならない。
「・・・・」
やはり、一人で行った方が目的のものは早く見つけられるように思う。
彼は視線をダガーから外さぬまま、表情を変えずにスタイナーに呟くように言った。
「朝まで仮眠をとった方がいいかもな」
彼女はよく眠っている。

絶対に、助けるからな

「自分は遠慮させてもらう。寝過ごしてしまってはかなわんしな。それに」
早速旅支度を始めていたスタイナーがジタンを振り返った。
そのあまりにも鋭い眼光にジタンは思わず彼を見る。
疑わしそうな目がにやりと笑った。
「貴様が抜け出さないとも限らない。見張らせてもらおう」
「・・・・・。それじゃあオレも寝ない。眠気覚ましにコーヒーでも入れるよ」
すっかり部屋のコーヒーセットを気に入ったジタンはこれまでもたびたびそれを使っていた。
本来、お茶くみは女性の仕事とされている時代だが、そんなことはお構いなし。
彼は早くダガーにコーヒーを入れてやりたいと思っていた。
「許せ」
と、突然コーヒーセットに手をかけたジタンが呟いた。
どこまでもぼそりとした声だったが聞こえたらしくスタイナーが首を傾げる。
「は?」
「いや、何でもない」
ジタンの口元がかすかに笑っていた。
それが心なしか不敵に見えて、疑いを増したスタイナーは、絶対に眠るまい、と更に心に誓った。
だが、

「ぐごぉー、、、、」
夜明け前の暗い部屋に、いびきが響きわたる。
「悪いな、スタイナー」
ジタンは床に横たわるスタイナーに毛布を掛けてやった。
普段は絶対にしないそんな行為は、申し訳なさから来たものだろう。
眠らない、と言い張っていたアレクサンドリアの騎士は意外にもあっさりと眠りについてしまった。
「でも、誰かが残らないとダガーが可哀相だろ?」
ジタンがコーヒーに混ぜたスリプル草がよく効いている。
以前は自分が誰かさんにこんな風に眠らされたが、やはり、この効き目は恐ろしいほどだと彼は思った。
「ダガーをヨロシクな」
彼は、ぐっすりと眠ってしまってそれを聞いているはずもないスタイナーに愛する女のことを頼む。
無事に帰ってこれる保証はない。
ぐっすりと床で眠ってしまったこの男もそんなことは覚悟していたはずだ。
だが、やはりこの地にダガーだけを残して誰も帰ってこなかったとなれば、彼女は悲しみのうちに病に飲まれて行くだろう。
そんなことはしたくない。
「頼りにしてるぜ、スタイナー」
足音が遠ざかり、扉が静かに閉まる
部屋の中は再び静寂と闇に包まれた。

その後、彼はビビの墓の前に立った。
「墓参り、ちゃんと出来なくてごめんな。」
誰もいないその場に、彼の声だけが闇に消えていく。
「ダガーが治ったら今度はちゃんとやるから」
そう微笑むと、彼はそっと握っていた手を開いた。
手の上には、四つ葉の、クローバー。
ダガーが自分のために願いを込めてくれた大切なものだが、残念ながら受け取るわけにはいかない。
「だから頼みがある。オレが帰ってくるまで、ダガーのことを頼むよ。おっさんだけに任せるのは不安だけど、ビビがついてりゃ安心だ」
おっさんには内緒な、と付け足すと、彼は声を出して笑った。
そろそろ、空から星々が姿を消し始める時刻だ。
「そろそろ行かなきゃな。そうそう、四つ葉は願いを叶えるクローバーだそうだ。ダガーが治るように、一緒に念を込めてくれよ」
ジタンがしおれた四つ葉のクローバーを、よく見せるようにして差し出すと、風がざわめき、クローバーを撫でていった。
光の気配に彼が顔を上げる。
東の空が白み始めた。
もうじき夜が明けるのだ。
「それじゃあ、行ってくるよ」
ジタンは再び宿に戻ると、部屋の二人を起こさぬよう、そっと旅荷をつかんだ。
夜明けの空は淋しさと希望を湛えている。
森も、まだ目を覚まさない。
朝一番、約束どうり日の出と同時に、ジタンは誰にも気づかれぬうちに村を発ったのだった。



「そんな!!!」
ミコトに自分が眠っていたこの一晩に決まったことを聞かされ、ダガーは具合が悪いことも忘れて思わず体を起こした。
それがあまりにも勢いがよくて、彼女はふらり、と前のめりになる。
ミコトが慌てて彼女の体を支えると、ダガーが泣きそうな顔でミコトの手を握り返してきた。
「どうしてっ!?どうしていかせたの!?」
真っ白になるほど手を握りしめられ、ミコトが痛そうに顔をしかめる。
あまりに悲痛な瞳に見つめられ、彼女は目をそらすので精一杯だった。
「彼は、誰にも止められない」

あぁ!!なんてひどい!!

ダガーは顔を覆った。
胸が苦しい、息が苦しい。
こんな時、声を上げて泣いてしまえば、どんなに楽になれるだろうか。
だが、昨晩流しきり乾ききった涙はでてこない。
彼女はそのままで尋ねる。
くぐもった声が重々しい。
「じゃあ、ジタンもスタイナーも、帰ってこないかもしれないのね?」
「スタイナーならいるけどね」
「えっ?」
ダガーが顔を上げると、視界にちょうど部屋の扉を開けて入ってきたスタイナーの姿が入ってきた。
ひどく不機嫌そうな顔。
朝から滝のような汗を流している。
怪訝そうな顔で、話が違うじゃない、と見てくるダガーに、ミコトは苦笑した。
「ジタンは、スタイナーにスリプル草の入ったコーヒーを飲ませて一人で行ってしまったらしいのよ」
それが聞こえたらしくスタイナーは久しく見る敬礼をしてダガーに跪いた。
「ガーネット様!申し訳ありません!」
スタイナーの息が切れているのは、たぶん、自分の不甲斐なさに腹を立て、朝から剣を振り回してきたせいなのだろう。
「これより自分は、ジタンを追ってイーファの樹に行って参ります!!」
「スタイナー、、、やめて、、、」
「故に、どうか自分らが戻るまでご無事で、、、!!」
「アデルバート・スタイナー!!!」
ダガーは思わず怒鳴ってしまっていた。
自分の声が頭に響き、ものすごく不快だった。
どうしてもこんなにも具合が悪いのだろうか。
「ガーネット様、、、」
今にも部屋を飛び出して行かんばかりだったスタイナーは、そこで戸惑わずにはいられなくなった。
女王の細い指が腕に食い込んできたのだ。
「お願い、、、、行かないで、、、、。」
もう誰も失いたくない。
自分もどこにも行きたくない。
ダガーのその想いはかなえられるのだろうか。

晴れた涼しい日の朝。
ミコトは部屋の窓を開け放した。
透き通った空の向こうに、今は活動していない巨大な樹が見える。
彼女はそれを見上げながら、愛するものに取り残されていった少女に向かって呟かずにはいられなかった。
「大丈夫、ダガー。ジタンなら、きっと、絶対、帰ってくるわ」


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前回よりも長くなりそうですーっ
4話まで来ましたがまだ完結してないですよっ!
最近長編にもなれてきた、かな?


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