愛という形(6)
お友達がやっていたので、ちょっとマネ(ごめんね)
この小説は音楽つきで聞いてほしいな、って思いました。
でも、いろいろ著作権の問題とかでMIDIは用意できないのです。
だからもし、FF9のサントラでもお持ちでしたら曲、聞きながら読んでくださると嬉しいです。
(BGM:DISK3 とどかぬ想い)
急に走り去ったブルーの髪の女性を見送った後、残されたダガーは胸元で拳にしていた手をぎゅっとした。
彼女の気持ちを知っていたからこそ、彼女の行為がいじらしく、そして、嬉しかった。
言葉にした感謝の気持ちは、彼女まで届かなかったようだけれど
「ありがとう」
もう一度呟いた言葉は、自己満足にしかならないということもわかっていたけれど、
それでも、それは、言わずにはいられなかった。
ありがとう。
何度感謝の言葉を呟いても、彼女の気遣いに足ることはないと思ったから。
「あいつも、よくやるよな」
「、、えっ、、、、、、、?」
急に背後からかけられた声に驚いて、ダガーは振りかえった。
ルビィが走り去ってしまった今、ここには自分以外誰もいないだろうと思っていた。
呟いた感謝の言葉を聞いていたのは、ルビィではなく。
それは、少し低めの、男性の声の持ち主。
振りかえったダガーは思わず唖然としていた。
「ブランク?もしかしてずっと聞いてたの?」
「え?いやぁ、うーん、つけてきたわけじゃないんだけど、通りかかったらなんか二人ではなしてたからさ」
「なに?つけてきたの?」
「ち、違うって!」
当人のブランクはさりげなく登場したつもりだった。
だが、はたからしてみれば、明らかにずっとそこで張っていたと思われる登場の仕方だったので、疑われてしまうのは無理もない。
ブランクは、ダガーが驚いて目を丸くしているのに気がついてそしてようやく自分の不自然さに気がついた。そして弁明を始めることになったのだが。
とうのダガーはと言うとそれを聞き入れる様子もない。
焦るブランクをよそに、余裕で腕を組んでいる。
「立ち聞きはよくないと思うんだけど?」
「す、すいません」
自分の弁解なんかが、少しも通用していないことに気がついたブランクは正直に謝る。
といっても、彼の謝ろう、と言う意思とは無関係によるものだった。
なんというか、ダガーの言葉に迫力があって、彼はほぼ、謝らなくては行けない、というような強迫観念によって謝ったようなものだった。
たぶん、そんな風にダガーの言動にどことなく威厳と迫力とがあるのは、彼女の職業のせいなのだろうが。
「で、でもほら、友達のことだし、気になってよ」
「友達って、私のことかしら?」
「も、もちろん、ダガーもだし、あとルビィもジタンも皆オレの友達だからさ、し、心配してるわけよ。な?」
「ふぅん?」
「…………」
ブランクは、ダガーと一緒にいるジタンを見ては、よく、情けないなぁとジタンを鼻で笑う。
それというのも、ジタンがダガーに対して下手(したて)に出ていることが多いから。
ジタンはいつもへらへらとしてダガーに合わせようとしてばかりいる様に見える。
男は女をリードするもんだ。
などとよく嘯くブランクからすると、そんなジタンが情けなく見えていたのも無理がないわけだが。
だがしかし、今、この状況でブランクは、ジタンの気持ちがわかったような気がした。
ダガーに対していると、どうしても下手に出ずにはいられなくなってしまうようで。
とは言っても、ジタンがダガーに弱い理由はそれだけではないのだが。
「ま、まぁ、今はそんな話、どうでもいいだろ?」
「よくないけどね。」
「…………」
「しょうがないから、私の情けでルビィには黙っててあげるわ。で?あなたも何かお話があってきた来たんじゃなくって?」
やはりどうしても偉そうな態度になってしまうダガーは、くんでいた腕を下ろした。
そして、ふぅっと息をつくと、さっきまでルビィと一緒に座っていたベンチに再度座り、隣をぱんぱんと叩いて『座れば?』とブランクに目配せする。
無意識に下手に出てしまう自分と、自分より年下のくせに上手に出るダガーとに、ブランクも呆れたようにため息をついて、それでも彼は仕方なくダガーに従う。
「たいした話じゃないんだけどよ。ただ、ちょっとした報告な」
「うん」
「ジタンのことなんだ」
「…………」
ジタンの話とわかるやいなや、ダガーが顔色を変える。
ブランクもそのことに気がついたが、あえて口は出さないでおいた。
彼は気づかれない程度にだけ視線をダガーに向ける。
「アイツさ。不器用なんだよ」
「、、、、、、、、」
姫は、膝の上に乗せた拳を結んで。
表情は変わらないけれど、これから話す内容に興味がないはずはない。
「それでな。式場に行かなかったこと、本当はすぐにでも謝りに行きたかったはずなんだ。でも、アイツ、不器用だし、その上、意地っ張りだからさ。なんて謝ったらいいかわからない、あわせる顔がないから会いになんか行けないって言っちゃって、なかなか動き出さないんだよ。」
「…………」
「な?わかってくれよ」
「………」
なんというか、大抵の男とは、カワイイ女の子の悲しそうな顔には弱いもので。
ブランクもそんな男の一人だったりして。
ブランクが、彼の言葉を信じていいのか、否か、思いつめたような複雑な表情のダガーに、すぐに言葉が返せないのも無理なかった。
しかし、姫にこんな顔させるなんて、ジタンは姫に何の恨みがあるってんだ。
可哀想に。
「ようするに、だな」
ダガーを、どうも女王の威厳で偉そうだ、と思うブランクは、自分が、年上であることをいいことに兄貴顔をしていることになど気づいていない。
「頼むよ。ジタンってガキっぽいとこあるだろ?それで、意地張って、結局自分からは謝れないんだよ。だからさ、『しょーがない奴』って思ってさ、ダガーからアイツに会いに行ってくれねェかな?」
「………」
「ホントだぜ。ジタンは本当にダガーと仲直りしたいって思ってる」
タンタラスに拾われるまで、ブランクは人道はずれたひどい不良の道を歩んでいた。(いや、いまでも盗賊をやっているあたり人道を外れているわけだが)
そんな彼が、タンタラスに入った当初に、子供ながら正義感の強かったジタンとぶつからなかったはずもなく。
不良だったころ敵対していたグループのトップであったマーカスと、不良時代にぶつかったことを別とすると、ブランクは、タンタラスのメンバーの中ではジタンとは人一倍たくさん喧嘩した。
殴り合って互いをボコボコにしたことも、その後二人そろって泣いてしまったこともある。
だが、そんな過程の中で、いや、そんな過程があったからこそ、ブランクが今一番仲を良し、としているのがジタンその人なのだ。
いつでも自分のほうが年上で、どうしても面倒を見るような形をとりたくなってしまうのも、その名残なのかもしれない。
だからブランクは、そんなジタンのことになると、結局はほうっておけない。
「ただ意地っ張りなだけ?」
「そういうことだ。ルビィも言ってたと思うけど、ジタンのこと、許してやってくれよ。」
「、、、、、、、、、、、、、、、」
「オレからもダガーにお願い」
どんな顔をしているだろう、どんな反応をしているだろう、とブランクは隣のダガーの顔を覗き込んだ。
目が合うと、それに気がついた彼女は戸惑った顔をする。
「オレが嘘つくと思う?」
「、、、、、、、、、、、、、、、思う。」
「がーん!!それ、ちょっとショックかも、、、」
「ごめん、冗談よ」
にこっと笑うブランク。
「だよな。当然だよ。オレは、姫には、嘘つかない」
ダガーがやっと笑ったので、ブランクは安心した。
「タンタラスの人って、お人好しの人が多いのね」
「はぃ?」
『ダガーは謎が多いから一緒にいて面白いんだ』
いつか、ジタンがそう言っていた。
今まで生きてきたうちの半生を世間知らずの王族として生きてきたせいか、並みはずれた奇抜さを持ち合わせたダガーは、非常にミステリアスである。
今も、彼女が意味ありげにくすくすと笑う理由が、ブランクにはわからない。
それは、ダガーの奇抜さのせいではなく、ブランクの鈍さのせいだったのかもしれないが。
「?」
「ごめんごめん。いいの、気にしないで。それよりあなたも、人のことばっかり構ってないで、ルビィを大切にしてあげたら?」
「でぇっ!?」
「私、なにかおかしなこと言ったかしら?」
「い、いえ、言ってないっす;;;」
やはり、ダガーにはペースを崩される。
まいったな、と、ブランクは照れ笑いした。
『人のことを構わずに自分のことを』
それは、前にブランクがジタンに言った言葉でもあった。
自分はダガーとの仲を曖昧にしたままで、ルビィとブランクはどうなんだとしつこく聞いてくるジタンに言った言葉。
その言葉をそっくりそのままそのジタンの彼女に返されてしまった。
一瞬、それがジタンによる仕返しではないかとも思ったが、今のジタンとダガーにはそんな策略を企てる余裕はないはずで。
たぶん、このダガーのセリフは彼女自身が考えたものなのだろう。
不良で(過去形?)盗賊なブランクとは違い、王室で専属家庭教師までつけられ、教育を受けていたダガーはたぶん、それなりの知識も知能もあるはずだ。
本気で彼女と口論したら、簡単に言いくるめられてしまう気がする。
「うん、ルビィとあなたのおかげで、考えがまとまった気がするわ。」
「そりゃよかった。御役に立てて光栄です」
びしっ、と、以前アレクサンドリア兵に成りすまし、姫誘拐作戦を企てた際にバクーに覚えさせられたアレクサンドリア城の敬礼をブランクはして見せた。
それに答えて、優雅に微笑んだダガーは今は来てもいない豪華なドレスの裾をつまむ仕草をして腰を折る。
「ありがとうございます」
「どーいたしまして。ほい、じゃあ、早くジタンのとこに行った行った!」
世話焼きの盗賊はあまり面と向かって感謝されるのが苦手だった。
あの男所帯の盗賊団の中では、さほど礼儀など重んじられない。
なんと言っても、あの盗賊団を率いているのは、無礼も礼儀も関係無しのバクーなのだ。
「うんっ!」
生き生きと走り去る女王様の背中。
まったく、しょうがないなぁジタンの奴、と。
自然と微笑んでしまう頬を、誰に隠す必要もないのに、ブランクは照れたように顔を少し俯けて、アジトへの道を歩き出した。
To
be
continued
えーと、やっぱり、み、短かったですか?
いや、わかってはいたのですが。
やはり、今まで長かったのにほぼ半分の長さにしてしまったことは失敗でしたでしょうか?
えー、私のとろさの事情上、執筆活動もかなりとろい。
そこで、一回の更新料をさほど長くしないでこまめに更新する、という方針にかえようかと考えていたのですが、どうでしょう?
いままで一回の更新に二つくらいの章を更新していたのですが、それを一つにすることによってもっと短期間で更新できる気がするのですが、、、、、、。
うーん、やっぱり賛否両論ありますよね;;;
あんまり批判が出るようでしたら、やめます(笑)もとにもどします(笑)
とかいって、それでも更新ペース変わらなかったら、、、、泣けるなぁ。
というか、怒られちゃいそうですね。
とりあえず、こんな新しい方法で、また頑張ってみますねー。
それはさておき、ここまできてわたくしはある大失敗に気がついた!(どどーん!)
ああ、、、、なんか、情けない間違いなのですが、いや、ストーリー上はさほど関係ないのですが、、、、
愛という形(1)で、マーカスがプリマビスタのエンジンルームの点検をしてるじゃないッスか?
そ、そこで、シナはエンジンのことをほとんど知らない、とか書いてましたけど;;;;;
よ、よ、よく考えたら!シナ!ゲーム上でプリマビスタのエンジンをいじるジタンを注意していたのは他でもなく君ではなかったか!
しかも、情報によるとシナ殿、君はなんと飛空挺技師の家系だとか、、、、そして、エンジンを作ることもするとか、、、、、
ガーン!ごめんよシナ!わたくしは君を勘違いをしておりました!
この場をお借りしてシナ殿に謝罪を申し上げさせていただきます!
ごめんなさい!シナ!!!!!!