158. 福島駅西口
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福島駅は通過することはあっても下車したのは、おそらく30年ぶりである。
2016年9月16日の午後、福島駅西口の「コラッセふくしま」で行なわれる
水文・水資源学会の特別講演のために下車した。
新幹線のプラットホームから西口広場を見下ろすと石造りのモニュメントが
目に入る(写真①)。西口広場に下りて説明文を読むと、モニュメントの高さは
12m、幅は15m、奥行は20.5m、稲田石による総石張りである。
竣功年は昭和57(1982)年11月、東北新幹線開業の年である。
写真① 福島駅の新幹線プラットホームから見下ろした西口駅前広場のモニュメント。
このモニュメントは、西を雄大な吾妻連峰と東をなだらかな阿武隈高地などの
山々に囲まれた、自然豊かな福島盆地をイメージしてデザインされている。
白色の二つの突き出た部分が吾妻山、地面近くの中央に丸くみどり色に見える
のが福島盆地である。福島盆地を囲むような白色の円環が周囲の山々、手前側が
阿武隈高地である。白い円環から二つの突き出た部分に繋がる線は、駅の西に
見える吾妻山から左右に伸びる稜線を表現している。福島のイメージにピッタリ
である。
モニュメントを見上げると、鐘がある。朝8時から夜の8時まで、定時には鐘の
音と共に古関裕而作曲のメロディーが流れるという。鐘の上にあるステンドグラス
には、吾妻山に多く自生する「シャクナゲ」の花が描かれている(写真②)。
思い起こせば、シャクナゲは、昭和56~57(1981~82)年、
私たちが吾妻小富士の旧噴火口を盆地に見たてて気象観測に行くとき、途中で
見た低木の花であった。
写真② モニュメント上部。
古関裕而は、明治42(1909)年に福島市で生れた作曲家であり、戦後の
名曲とされる「長崎の鐘」、「君の名は」、「とんがり帽子」など約5千曲を
発表している。私はこのモニュメントから、これらのメロディーを懐かしく
思い出した。
福島駅西口の駅舎は初めてみる眺めである(写真③)。西口一帯は新しく開発
されたようで、大きなホテルなどが並んでいる。私の講演会場は、西口から
すぐ北方向の「コラッセふくしま」である(写真④)。この建物は平成15年
(2003年)に完成した12階建ての複合施設である。1~2階は福島県観光
物産館など、3~5階に会議室・大ホールがある。
写真③ 西口の通りから見た福島駅舎。
写真④ 駅西口の北側のビル、右手奥はコラッセふくしま。
「コラッセ」は京ことばの「おこしやす」、「おいでやす」と同じ響きに感じる。
「どうぞ、こちらにお出でください」を意味する福島方言だという。
私は1時間の特別講演で、地球温暖化の正しい値を求めた方法や、近年の都市が
地球温暖化以上に都市化によって高温化・乾燥化していることを示した。
例えば東京の平均湿度について、昔は80%だったが近年は60%に減少、
霧日は年間50日前後から最近はほぼゼロになった。
さらに、私が最近、夢中になっている湧き水や井戸水の水温を測っていること
を紹介した。通常の方法で地球温暖化を求めるには、気温を正確に毎日毎時に
観測しなければならないが、湧水や井戸水の水温は時間変化が小さく、年に
数回の観測でよく、地球温暖化のほか地域の環境変化が容易に求められる。
それゆえ、全国から集まった参加者の皆さんに、測ってみませんか、と呼びかけ
たのである。
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